飛鳥杏華の気まぐれモノローグ

<1998年>

11月17日(火)

 毎度のことながら、執筆初期の低調に陥る飛鳥…。いや、もう初期なんて言える時期じゃない。すでに終盤にさしかかってきているというのに、絵コンテは進まない。今回、この作品を描くのは無理かもしれない。そろそろ決断の時が来たようだ。

 11日、「犬夜叉」は、いよいよ水神との戦いに突入…。と思ったのだが、あまごいの鉾の力で犬夜叉たちは社の外の水の底へと放り出される。はっきり言って勝負にならないという展開だった。しかし、太郎丸を守っていたがために、ともに社に戻されたかごめの矢が水神の左手を奪った。

 ここで注目すべきなのは、かごめの矢は当たった(刺さった)のではなく、つかみ取られたにもかかわらず、水神の左手を吹き飛ばしたという事実だ。かごめは桔梗の生まれ変わりであり、それなりの霊力を秘めているだろうことは、物語の最初から匂わされてきている。その力が徐々に発揮されはじめたと見ていいのだろうか。

 一方、外に放り出された面々だが、また弥勒がやってくれた。珊瑚の生死を確認し、水を飲んでいると判断して人工呼吸を…。やってることは確かに間違いではないのだが、生死を確認するのにわざわざ胸に耳をあてる必要もないし、マウス・ツー・マウスの人工呼吸にしても、本来は横からするもので折り重なる必要はない。直前で気づいた珊瑚にひっぱたかれた弥勒は誤解だと主張するが、ちょっと誤解とは言い切れないだろう。(笑)

 しかし、ひっぱたかれて顔に手形の跡がつくというのは初期のるーみっく作品を思い出させるノリだ。珊瑚も一応拒否の姿勢は示しているものの、顔を赤くしてたりしてまるっきり怒っているという様子でもない。この2人の関係がこの先どうなっていくのかはわからないが、当分こんなノリが続いてくれると個人的にはうれしい。

 さて、水神の正体だが、やはりニセモノだった。前回、安直に思えるけれども、あえてありうるとして予想の1つに挙げたのだが、やはりそう来たかという感じだった。なぜ、予想ができるかというと、敵キャラの流れがそういう一貫した方向性を持ってきているからだ。奈落、桃果人、そして水神と…。

 奈落は様々な人間の姿を借りて、その人物になりすます。要するにニセモノなのだ。桃果人は仙術を手っ取り早く身につけるために師匠の仙人を食って妖怪化した仙人のニセモノだった。水神は本物の水神をだまして神器を奪い、水神になりすましている。そして彼らは皆、人を食らう…。共通しているのだ。それに対して犬夜叉は人を食うような奴は許せねえと言う…。

 これは単なる偶然で似通ってしまっているのだろうか? 私にはそうは思えないのだ。すでに高橋先生の中で特定のターゲットが定まっていて、それが犬夜叉の敵となる者の設定に表れててきているのではないかという気がしてならない。

 そう考えると、桔梗にしても骨と土の偽り(ニセモノ)の体でこの世に留まっているし、再び鉄砕牙を狙って犬夜叉を襲った殺生丸も借り物の腕を使っていた。ニセモノ、借り物、他人になりすますとなると、自分を含めたパロディ同人などは、まさにやばい存在となるわけだが…。(汗)

 さて、この日は絵コンテの続きにかかった。少し進んだが、また引っかかってストップしてしまう。あまり場面展開のない作品だけにコマの運びや構成が難しいのだ。適度に省略を入れてテンポをよくしないといけないのだが、心理的描写と時間の推移も入れたい。下手なくせに難しいこと考えすぎなんだろうか…?(汗)

 12日、絵コンテは進まない。一旦描いた部分を没にして練り直してみるが、これも気に入らない。ストーリー自体は完全に頭の中でできあがっているのだが、いざかたちにしようとすると難しい。適当で済ませられるのなら、ことは簡単なのだろう。しかし、それでは後悔するだけだ。後悔するくらいなら、描かない方がマシだ…。

 それはそうと、この日は久々に週刊ヤングサンデーを買って帰った。次週19日発売の号から2号連続で「1ポンドの福音」の新シリーズが掲載されるというので、次号予告を確かめる意味で買ったのだ。これで久々に「犬夜叉」以外の作品が読める。「1ポンド」は約2年半ぶりだ。

 シスターが恋いをした? 予告には思わせぶりなことが書かれている。そろそろ2人の関係を大きく動かそうということなのだろうか? 確かに、そろそろ佳境にはいってきてもいい頃だろう。2話だから、それほど大きな話にはならないと思うが、どんな展開を見せてくれるのか楽しみだ。

 13日、金曜日だ。縁起が悪いと世間では言われるが、るーみっくファンなら諸星あたるの誕生日を連想する。4月でないのと仏滅が1日ズレているのが残念だが…。(笑)

 実際、るーみっくファンの私にはそんなに悪い日ではなかった。午後から東京ビッグサイトで開かれているCOM JAPAM 1998を見学できたからだ。毎度のことながら、業務に関連のある展示会は公用扱いで行かせてもらえるのでありがたい。もちろん、業務で使えそうな新技術についてはチェックを入れねばならないが…。

 しかし、半日でも歩き回ると疲れる。思っていたほど、興味の対象となるものがなかったし…。そのあたりが、よくないことなのかもしれない。この日最もついてなかったのは、帰りのバスが東京駅まで45分もかかったことだ。混んでもゆりかもめの方がずっとマシだった。(汗)

 帰宅後、絵コンテと並行して一刻会の「そると」に描くカットの絵柄を考えた。カットの絵柄はすぐに決まったのだが、絵コンテの方はダメだ。この先、一刻会の方の原稿が忙しくなることを考えると、もうこの作品をかたちにするのは無理かもしれない。

 何とも弱気な発言だが、前から描きたかった作品だ。中途半端なかたちで出したくはない。そう考えると、来年夏の「REAL LOVE」Vol.4で出した方がいいかもしれない。あまり出す時期には左右されない作品だし…。ま、言い訳には違いないが…。(汗)

 14日、一刻会の「そると」用のカットを1日かかって仕上げた。一応、自分の担当分はこれで終わりだ。しかし、そのコーナーで必要とするカットはまだかなりの枚数が残っている。会員に1人2キャラということで募集をかけているのだが、描き手があまり集まっていない。この先も期待薄だ…。会長はどうするつもりなのだろう? 全キャラが揃わないと格好がつかないコーナーなのだが…。(汗)

 15日、「そると」の編集のため日野へ出向く。昨年は、全然原稿が集まらず、12月のあたまにたった1回だけ編集して終わりという状況だった。そうしてできた「そると」12号は、何とも不満が残るものとなってしまった。

 その点、今年の13号も心配だったのだが、今年は何とか原稿が集まってきているようだ。ページ数は昨年とあまり変わらないかもしれない。しかし、私と会長で何とかページ稼ぎをして穴埋めした12号とは違って、会員から自発的に原稿が届いている。ささやかではあるが、再出発に希望の光が見えてきた。

 しかし、作画のレベル差はレンジが広い。まあ、同人サークルではなく、あくまでFCサークルなので力量は問わないのが原則だから、当然と言えば当然なのだが、これをまとめる編集者としてはなかなかつらいものがある。(笑) 原稿用紙も様々だ…。少年マガジン特製原稿用紙が混じっていたりするのも、何かすごい…。(作画レベルは、さすがプロだ…。汗)

 さて、編集作業そのものは、各コーナーごとのおおよそのページ割りを考えた程度で、夕方には終わった。となればもう、あとは麻雀しかない。(笑) というわけで、5時間ほどやらせてもらった。しかし、考えてみれば、この5時間に原稿を描いておれば、どれほど描けたことか…? うーむ、ちょっと時間を無駄にしてしまったかなと思わず反省もしてしまった。(汗)

 16日、代休をあてたので、1日中原稿を描いた。といっても、一刻会の方のだ。前日の編集の際に、いろいろとまた引き受けてしまったのだ。自分で描きたいものもあったのだからしかないのだが、懸念していたコーナーの残りキャラの穴埋めも全部1人で引き受けてしまった。数えてみると10キャラも残っていた。これを23日までに上げなくてはならない。いやー、何ておバカなんだろう!(笑)

 それでも、自分の描きたかった原稿3ページと、コーナーのカット4キャラ分の下描きまで終わった。カットの方は、ほとんど原作の1シーンから取った構図なので、若干面白味に欠けるが、絵はあくまで挿し絵なので、とりあえずよしとしてもらうとしよう。(こらこら…。笑)

 17日、帰りがけに「犬夜叉」の第8巻を1日早く買った。近所の書店では、たいてい1日か2日早く出ているので、この日も当然出ているだろうと思ったのだが、ぱっと見たところでは見つからなかった。今回は正規発売日でないと出ないのかなと思って帰りかけたのだが、同日発売の他の単行本はちゃんと平積みにされているではないか…。で、改めてよく見ると、他の単行本の谷間に1冊だけ「犬夜叉」の第8巻が残っていた。

 ちょっと待て! ということは、もうそんなに売れたってことか? 奥にはまだあって、とりあえずこの日店頭に並べた分がなくなったに過ぎないのかもしれないが…。うーむ、「犬夜叉」の単行本もかなり売れ行きがよくなってきているようだ。まさか、私の近所だけってこともないだろうし…。(笑)

 さて、帰宅後はここの更新だ。最近ちょっとアクセス数が落ちてきている。執筆時期にかかると、大きな更新ができないからつらいところなのだが、とりあえずこのあいだ撮影してきた伊香保温泉の画像と「めぞん一刻」の「湯治者たち」の舞台となった温泉を比較するページを作ってみようと思う。

 これから作業するから、今日の更新に間に合うかどうかは不明だが、遅くとも来週には出せるだろう。原稿の方も進めないとやばいのだが…。(笑)

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