飛鳥杏華の気まぐれモノローグ

<1998年>

10月27日(火)

 呪泉郷端展示即売会2は、まずまずの盛況のうちに終了。人手不足の中で、何とか大過無くイベントをやり遂げたスタッフに感謝したい。今後もこんなイベントが持てるといいのだが、他力本願ではいけないかな…。(汗)

 21日、「犬夜叉」では、ついに四魂の玉誕生の経緯が語られた。かつて、妖怪たちを滅していた巫女、翠子(みどりこ)。それを倒すために、翠子に想いを寄せていた男の心の隙につけ込んで、男の体を触媒として合体した妖怪たちとの七日七晩に及ぶ死闘…。

 桔梗にあさましい想いを抱いていた鬼蜘蛛の体を触媒として奈落が誕生した経緯によく似ている。そう、歴史は繰り返す…。いや、玉が繰り返させているのだ。犬夜叉たちも、桔梗も、奈落もすべて玉の因果によって操られているという図式である。

 すべての根源は四魂の玉であって、玉自身が何か意志のようなものを持ってすべてを操っているのではないかという考え方は、すでに昨年から(他の考察者の受け売りではあるが)持っていた。Nifty-Serveで、かごめたちが玉集めをする理由(必然性)や目的が見つからないというような意見が出たときに、実は玉自身が集めさせてるんじゃないかということを書いた覚えがある。

 だから、これはある程度は予想の範囲で、やっぱりそう来たかという感覚なのだが、実際にそう来られると、四魂の玉の作品上における位置づけが非常につかみにくくなってきてしまった。(あくまで、考察者側の立場から考えてのことだが…。苦笑)

 もともとこの考え方を示した考察者は、四魂の玉こそ高橋留美子だと考えていた。そして、犬夜叉は「犬夜叉」という作品そのものを示す存在だと…。すべてを操るものだから、玉こそ作者そのものだという考えは確かに納得がいく。しかし、そうなると玉の因果を犬夜叉が断ち切ると言っているのは、どういう意味になるのだろう?

 翠子、そして桔梗と繰り返された悲劇…。このまま行けば、玉を清める力を持つかごめにもそれが起こる危険性があるわけだ。その前に犬夜叉としては玉の因果を断ち切りたいというのが表面的な解釈になるわけだが、そこに潜む作者の意図とは…? うーむ、なかなか奥が深い…。

 さて帰宅後、そろそろ呪泉郷端展示即売会2のための色紙描きをしようと思ったのだが、結局何もしなかった。というか、「犬夜叉」の四魂の玉のことで頭がいっぱいになってしまって、それ以外のことが考えられなかったのだ。この辺は同人考察者の性なのかもしれない。ただの邪推にもっともな理由づけをしてるに過ぎないのかもしれないが…。(汗)

 22日、今日こそはと一念発起して、帰りに文房具店で色鉛筆(24色)を買った。色鉛筆なんて、赤と青以外は小学生のとき以来だ。色紙は墨1色でもいいのかもしれないが、やはりみんなカラーで描いてくるだろう。1つだけ単色だったら、かえって渋くていいかもしれないが、やはり見劣りするだろうと思ったのだ。

 とりあえずこの日は下描きまでで色は塗らなかったが、手描きのカラーに慣れていないだけに色塗りには大いに不安がある。どう塗ったらいいのか、具体的なイメージが浮かばない。土曜日は、翌日の出発準備とオフ会でつぶれるだろうから、失敗したら色紙を再度購入して描き直すほどの時間的余裕はない。失敗したら、あきらめよう。(あっさり。笑)

 23日、帰宅後、色紙の色塗りをする。一応できたが、何かやっぱり見栄えがしない。絵柄はかすみおねーさんだから、他に描いてる人はあまりいないだろう。直接比較されないのは助かるが…。もらい手がつかなかったらどうしよう?(かなり弱気…。汗)

 もっと絵を磨かないと…。私の場合、漫画になってなんぼってとこがあって、イラストではとうてい他の作家にはかなわない。かなわないからって、それを認めてあきらめちゃうのもなんだし…。はぁ〜っ、うまくなりたい。こんな私でも、「うまい」と言ってくれる人からすれば、贅沢な悩みなのかもしれないが…。

 24日、昼頃までに秋葉原に着ければ、オフ会で会う人たちの1部と一緒にお宝探しツアーに参加できるので、何とかしようと準備を進めたのだが、全然間に合わなかった。(汗) ようやく、出発できる状態でなったのが、14時過ぎだった。中野へ行くという話だったので、行けばうまいこと会えるかもしれないとも思ったが、以前に聞いた「びびっと」のことが気になったので、神保町の方に行くことにした。

 高橋先生の大学生時代の作品が載っている日本女子大漫画研究会・没の会誌「びびっと」が神保町で5万円で売られているという情報を得たのは1週間以上前だったが、なかなかその店も見つからなかったし、見つかったあとも回る余裕がなかった。もっとも、5万では、さすがの私も買う気が起こらないが…。(汗)

 ブックパワーRBというその店に入ると、棚の上の非常にわかりにくいところに「びびっと」のVol.3とVol.4が飾られていた。ともに値段は5万円だ。Vol.4はすでに持っているが、Vol.3を見たのはこれが初めてだった。しかし、この値段はちょっと相場を無視しているように思えてならない。まあ、古書の売値は店主の裁量や買い取り時の値段が大きく影響するから相場などないに等しいのだが、それにしてもである。

 確かに希少価値の高い本ではあるのだが、私なら1万円まで下がらなければ買わないだろう。5万円でも欲しいという根性のあるコレクターの方は、神保町で古書店MAP等を調べて訪れてみるといいと思う。

 私としては、Vol.3に収録されている「不良青年団」が読みたければ、「少年サンデーグラフィック うる星やつら」第2巻(小学館)の方を一般のファンにはお勧めしたい。Vol.4収録の「涅槃の方程式」の方は、これ以外には「高橋留美子選集」(銀嶺荘舎)しかない。が、これも5万円くらいはするので、どっちもどっちだ…。同じなら「びびっと」を選ぶのもいいだろうと思う。

 さて、夕方からはいよいよオフ会だ。総勢25人の妖しい面々が上野から御徒町へと移動し、お好み焼き屋さんでまずは親睦を深めた。といっても、ちょっと店内が狭かったこともあって、場所をあまり移動できなかったため、反対側のサイドにいた人たちとはほとんど話ができず、名前と顔が一致しないまま終わってしまった。

 結構、頻繁にオフ会を開いていて顔見知りがもともと多い人たちはそれで充分だったのかもしれないが、私を含めて何人かは初めての参加だった。せめて、軽く名前と出身地くらいの自己紹介は欲しかったのだが…。(汗)

 2次会は、すぐ向かいのカラオケBOXだった。るーみっく関連の曲を中心に合唱したり、それぞれの得意技を披露したりして2時間半ほどの時を過ごし、解散した。みんな、私に比べれば遥かに若いのだが、結構渋い曲も出てきてなかなか濃い。女性陣も物怖じせず、歌い慣れている感じだ。うちのバンドのボーカルに欲しいくらいだ。(来てくれないだろーなぁ、あのバンドじゃ…。汗)

 25日、呪泉郷端展示即売会2(豊島区民センター)に参加した。サークル入場時刻より少し前に着いたのだが、スタッフの準備が間に合わないようで、なかなか受け付けが始まらなかった。この辺はやはり手作りイベントの弱点だ。もちろん、反省はしてもらわねば困るが、少しは大目に見てあげたいと思う。イベントを仕切る側の苦労は、一刻会で充分に思い知らされているから…。

 それでも、予定どおり即売会は開催され、まずまずの盛況を見せた。もちろん、コミックマーケットや大手のイベントのような混雑はないが、どのサークルもコミケ以外の他の即売会に出るよりは遥かに売れただろうと思う。

 客層もかなりコミケとは違っていたように思う。若い層が非常に多くなっていて、初めて同人誌を見るというような人たちも結構いたように思えた。最初に私のところへ来た兄弟は、兄が中学生か高学年の小学生、弟は明らかに小学生だった。一刻会の「そると」11号を気に入ったようで、買おうとしたのだが、1000円という値段を聞いてあきらめてしまった。

 さすがに彼らにとって1000円は重かったに違いない。自分の本ではないから、値引きするわけにもいかないと思ったのでそのままにしてしまったが、いくらなら買えるか聞いて不足分を私が援助してあげればよかったと後悔した。

 正午近くになると、前日のオフ会組がやって来て、私のブース前にはちょっとした人だかりができた。この一団とともに「そると」11号が持ち込み分を完売…。厚くて重いので10冊しか持ってこなかったのだが、まだまだ欲しそうな人がいた。もっと持ってくるべきだったと後悔する。(何か、後悔しっぱなしだな…。汗)

 さらに、もう1つの後悔はやはり色紙だ。描き慣れてる人たちの中に並ぶと思いっきり見劣りする。希望者がいなかったら、マジで恥ずかしいし、悔しい…。あれだけ集まるなら、今回は出すべきじゃなかったかもしれない。(汗)

 そんな後悔もあったが、やはりるーみっくのサークルが並んだ即売会はうれしい。買い手としても張り合いがある。それに、やはりるーみっくファン同士という安心感がある。小さい即売会ならではののんびりした雰囲気も好きだ。

 また、るーみっくファンの中でもかなり上位にランクされるコレクターの方たちとも会えた。そのうちの1人が、脇の休憩スペースのような場所で「うる星やつら 高橋留美子自選傑作集」のビデオやアニメの原画などを広げ、欲しいという人たちにタダで提供していた。

 例の兄弟もその恩恵にあずかって喜んでいた。彼らはどう見ても「らんま」以降のファンで、「うる星」はほとんど知らないだろうが、ビデオを見てこれから好きになるかもしれない。私もちゃっかり恩恵にあずかってしまった。本来は、もっと若い人たちに配りたかったということなのだが…。(汗)

 もっとも、私も一刻会のイベントなどへの提供を考えてのことだ。お宝探しでもそうだが、常にそういうことを考えてしまう。全部提供しないところは、さすがにズルいが…。(だって、いくつになっても欲しいものは欲しいんだいっ! 性格がコドモだからね。笑)

 さて、飛鳥の幸運はもうしばらく続いた。14時半からタイムサービスで葉書大のイラスト争奪戦が行われた知り合いのサークルで、いちばん競争率の高かったイラストのジャンケン争奪戦を勝ち抜いてしまったのだ。片肌脱いだ男乱馬といういかにも女性向けを意識したイラストで、私以外は当然のごとく全員女性だった。何か、ものすごく悪いことをしてしまった気もするが、その絵がいちばん完成度が高いと思ったのだからしかたがない。それに、ここで運を使い果たしたし…。(笑)

 15時からはいよいよ色紙の抽選会が始まった。いちばん恐れていた時だ…。(汗) 開票されて並べられた投票用紙をカンニングしに行ったが、案の定「飛鳥鳳凰堂」の名は見つからない…。これはいよいよピンチだ。(汗、汗、汗)

 しかし、世の中には奇特な方もいるものだ。ちゃんと、私の色紙を希望した人もいた。やはりというか、何というか、かすみおねーさんが好きな人だった。しかも、あとでブースに来てお礼まで言ってくださるわ、本を買わずに色紙だけもらってはすまないと、各1冊ずつ買ってくださるわ、本当にありがたいことだ。

 そして、例の兄弟は兄が希望の色紙を当て、「兄ちゃん、えらい!」と弟も大喜びしていた。実に見ていて微笑ましい光景だった。彼らにとって、この即売会はとてもいい思い出となっただろう。私はしっかりハズレたが…。(笑)

 さて、即売会は15時半に予定どおり終了。飛鳥は一刻会の面々とカラオケ、食事、麻雀と、いつものお約束のような打ち上げをして帰宅した。運を使い果たした飛鳥の麻雀の成績が散々だったのは、言うまでもない。(笑)

 26日、疲れがたまって仕事にならん…だろうと思っていたのだが、案外爽快だった。そんなこともあって、職場のバンド仲間の知人のパソコンの設定を頼まれると、ホイホイと引き受けてしまった。その知人というのが女性だと聞いたから…というわけではない。それも少しはあるけど…。(こらこら。汗)

 少し早めに退場して、その女性の住むマンションで買ったばかりのノートパソコンをインターネットができるまでに設定してやった。が、これが意外と手間取った。わけがわからないままいろいろと試したようで、こんなところに何でと思うような数字が入力されていたりして、それに気づくまでにかなり時間を食ってしまった。(それが原因で電話がつながらなかったのだ。汗)

 Windows98のオンライン・ユーザー登録、プロバイダーのオンライン・サインアップ、ダイヤルアップ接続の設定までしてインターネットにつなぎ、一通り基本的な操作を教えたのだが、それが終わったのはちょうど横浜ベイスターズの優勝が決まった頃だった。結局、帰宅してから何もできなかった。(汗)

 27日、ここの更新作業だが、今週はこの「気まぐれモノローグ」に書くことが多くて、ものすごく時間がかかってしまった。特に、呪泉郷端展示即売会2のくだりは長くなってしまっている。まあ、来られなかった人に雰囲気を伝えたいという気持ちもあるし、やむをえないところだ。今回は超特大号ということでたっぷり読んでもらおう。(笑)

 いろいろあったので書き忘れていたが、24日に実は「ダストスパート!!」が掲載されている週刊少年サンデー増刊(1979年7月号)を手に入れていた。いままで「ダストスパート!!」の初出掲載誌は、いくら探しても見つからなかったから、ある意味で「うる星やつら」第1話掲載のものよりも貴重かもしれないと思っていたのだが、巻頭カラーの回にもかかわらず、案外安い値段だった。

 それもそのはず、カラーページの1部に汚れが付着していたのだ。まあこの値段だし、印刷時の汚れではしかたあるまいと納得しつつ、とりあえずそのカラーページから高橋留美子漫画作品一覧の引用カットを取り込んで、画像を差し替えた。

 さらに、飛鳥鳳凰堂のページの既刊同人誌の在庫部数も更新。これで、「REAL LOVE」Vol.2の残りはいよいよ40部を切った。来年の夏までにはハケてくれそうだ。もっとも、売り物が減ると淋しくもなる。また、新しいのを作らないとな…。この気持ちと色紙の出来の悔しさをバネにがんばらなくちゃ!(笑)

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