飛鳥杏華の気まぐれモノローグ

<1998年>

7月14日(火)

 表紙の入稿は何とか完了。いよいよ、1枚も完成してない本文原稿の執筆に入る。日程的に思いっきり苦しいことには変わりがないのだが、もう突っ走しかない。昨年も何とかなったんだ。何とか帳尻を合わせてしまう男、飛鳥杏華の本領を発揮すれば…。3ヶ月遅れだった本業の方も、それで何とかしたんだし…。(おいおい。汗)

 8日、「犬夜叉」だが、前回は桔梗シリーズの重さからの転換がきかず、妙に軽さを感じてしまっのだが、今回からはストーリーに入っていけた。しかし、いきなり犬夜叉が仙人に食われてしまうとは…。胃袋の中で人間化が始まって、早くも最大のピンチだ…。ということは、そこが必ずしもメインではないと考えることもできる。

 むしろ、今回のシリーズの中心となるのは、かごめたちが迷い込んだ箱庭の世界ではないだろうか。仙人が作った、自分だけの狭く小さな理想の世界とでも言おうか? もっとも、逃げ出す人間がいるのだから、理想的かどうかは疑問も残るが…。

 現実から逃避して、そんな狭く、小さな世界に安住しようとすることへの警鐘だろうか? だとすると、我々にとってかなり耳の痛い話となるだろう。ある意味で、漫画・アニメファンや同人などは、そういう世界の住人と言えるからだ。特に、自ら同人誌を作っている同人は、仙人的存在と言えなくもない。(汗)

 とりあえずは、続きの展開を見守りたい。そんなに長いシリーズにはならないと思うが、何か裏に重い内容が見えるかもしれない。コミケが近いだけに、余計にこの内容は怖いけど、それがまた楽しみでもある。1度こういう読み方を覚えてしまった人間は、もう普通の人間には戻れない…。やっぱ、ある意味で仙人だな…。(汗)

 さて、表紙用CGの制作だが、袴等の赤の影つけを完了した。白目を作るところまで入っておきたかったのだが、ちょっと無理だった。残すは目と唇の処理のみだ。もちろん、背景という大問題があるのだが、何とか間に合いそうな気配はある。10日の徹夜は避けられないかもしれないが…。

 9日、表紙用CGは目の処理がアップ、ロングとも完了した。もうほとんど完成に見えるところまできた。唇もなんとかしたかったのだが、目だけで午前3時近くまでかかってしまった。唇までやったら、完全に徹夜になってしまう。徹夜明けで飲み会はつらい。しかも、幹事だ…。

 とはいえ、できれば10日の夜は背景とロゴだけにしたかった。そこで、ファイルをノートパソコンのHDDの方にコピーする。昼休みにCG制作を行うという背水モードに突入だ。できなくてもしかたないから、とにかく可能性だけは追求しようというわけだ。果たして、功を奏するか否か?

 10日、昼休みにノートパソコンで作業を行う。実は、Vol.1のときには常用していた作戦だ。が、Pentium90MHzのCPUと24MBのメモリでは遅くて能率が悪い。そのために、Vol.2のときに断念し、以来、使っていなかった。しかし、もう背に腹は代えられない。背水の陣だ。

 実質的な進展がなくとも、色の決定や唇処理の感覚がつかめるだけでもいいと思った。が、一応、基本的なかたちができるまで進んだ。あとは、微修正とハイライトを入れるだけだ。帰宅してすぐ終わるだろう。そこから背景に入れば、ロゴは11日の午前中にして、徹夜しなくて済みそうな気配だ。一気に希望が広がる…。

 夜の宴会を一次会のみで引き上げ、21時から続きの作業に入った。唇処理は思ったよりかかってしまったが、午前0時には終わった。さて、いよいよ背景だ。もちろん、手描きで描いてる時間はない…。(偉そうに言うなって…。汗)

 そこで、Vol.2のときと同じく実写合成を試みる。もっとも、Vol.2ときは狙ってやったのであって、今回のような苦し紛れではない。だから、作業的には同じでも、Vol.2は誇れるが、今回は恥ずかしいと言わざるをえない。それでも、そんな状況下でのベストは尽くすつもりだ。

 11日、日付がすでに変わっているので、前夜の続きだが、こっちに書こう。背景に使用する画像を選定する作業に入る。よい風景写真があれば、解像度の高い画像が得られるのだが、残念ながら、みんな人物が入ったものばかりだ。風景を写したものとなると、ビデオしかない。

 Vol.2もそうだった。Vol.2に使用したのは、長野県のみどり湖の映像だ。実は、ここだけの話だが、よく見ると湖の対岸の上に白くガードレールが写っているのだ。(汗) 適度にぼけているので、言わないとわからないのだが…。(笑)

 このぼかしだが、実は意識したものではない。ビデオからの取り込みでは、解像度の低い画像しか得られない。これを強引に表紙用CGのサイズまで拡大するので、いやでもぼけてしまうのだ。Vol.2のときは、これがケガの功名となってキャラが引き立った。しかし、今回はそうはいかなかった。

 画像候補は比較的すぐに決まり、取り込みもすぐに終わった。しかし、拡大して背景に当てはめると、どうもしっくりこない…。ぼけ具合が前回のようにうまくマッチしないのだ。これで時間がかかってしまった。候補は、長野県の上田城跡、志賀高原、みどり湖などだが、普通の風景ではどうにもダメだった…。

 色的には、桔梗の服装が巫女の装束だから、緑か青系統がいい。そこでふと頭の中に思い浮かんだのが、志賀高原の映像の中にあった高天ヶ原の青空と入道雲だった。雲なら多少ぼけても大丈夫だ。早速、画像取り込みを行って合わせてみる。ちょっと物足りない感もあるが、きれいに決まっている。これで決定だ!

 ここまでたどりついたのが、実に午前6時だった。もう、完全に徹夜だ。ここで少し寝てもよかったのだが、とにかく全部済ませてからにしようと思った。ロゴの作業を午前9時に終えて朝食をとる。さらに細かな処理を経て、MacフォーマットのMOにファイルを収めるのに昼までかかった。

 昼食後、ひと休みして午後2時、入稿に向かった。入稿は30分程度で問題なく終わった。ただ1つ、問題があったとすれば、本文原稿のページ数を48ページと申告したことくらいだろう。予定より8ページ多く申告してしまったのだ。

 えらく少ないページ数だと思うだろう。前回が80ページ(本文76ページ)だから、大幅なダウンだ。もっとも今回は、初めて依頼中心で作ろうとしたのだが、うまくOKがもらえずに参加者数が半分になってしまったという状況がある。ページ数は、しっかりそれに比例しているだけだ。

 とはいえ、全体で50ページを切るのはいやだった。恥ずかしいと思った。本文48ページなら、全体で52ページ…。これはもう、意地以外の何物でもない。これが、本文入稿を危機に陥れる可能性は高いのだが…。(汗)

 入稿からの帰宅後、午後3時から3時間ほど睡眠をとる。夕方から、本文の原稿にとりかかることもできたが、やはり疲労がひどい。この日はとりあえず、充電に努めた。もっとも、翌朝午前4時にはW杯サッカーの3位決定戦をしっかり見ていたが…。(どこが充電じゃ!? 笑)

 12日、下描きの残りに手をつける。残りといっても、7ページある。さらに、8ページ多く申告したことで、追加作品の絵コンテも切らないとならない。とりあえず、この日は下描き4ページを仕上げた。

 そこへ朗報…。執筆者の1人から新たにイラストを2ページ追加で描いてくれるという連絡が入った。これでオーバー分の負担は6ページ。もともと、前回を振り返る文章と今回を総括する文章2ページが入る予定があるから、絵原稿の負担は4ページだ。苦しいには違いないが…。(汗)

 またこの日、「うる星やつら」小学館文庫版が8月8日に発売されるという情報が入ってきた。まずは、第1巻と第2巻が同時発売だ。定価は610円(税込み)。恐らく、「めぞん一刻」のときと同じようなかたちで、以後、発売されるのだろう。

 何かパターン化されてきている。そのうち、「らんま」のワイド版が出て、「うる星」の総集編が出て、いずれ「らんま」の総集編が出るに違いない。その頃には、「犬夜叉」のワイド版も出ているかも…。(笑)

 13日、明け方は当然(?)、W杯サッカーの決勝をTV観戦だ。3−0という大差は予想外だったが、フランスが勝つだろうとは最初から思っていた。ここまでの戦いぶりを見たかぎりではという話だが、ブラジルはいまひとつ志気が低いように思われてならなかった。ブラジルも好きなチームだから、立て直すためにもここで負けて、次回は予選からたたき上げてきて欲しいという気持ちもあった。

 さて、下描きは5ページをこなした。あとはイラストを描く。なぜなら、今回の漫画にはかすみおねーさんが登場していないからだ。やっぱり、飛鳥杏華なら1冊に1枚はかすみおねーさんを描かないとおさまらない。描けば確実に1冊売れるあてもあるし…。(こらこら。笑)

 そのかすみおねーさんのイラストの構図を決めるラフを描いたところまでで終わりにした。そのあと、中表紙のデザインを考えたのだが、時間ばかり食って全然いい絵柄が浮かばなかった。今回もまたいちばん最後の作業になりそうだ。(汗)

 14日、中表紙の絵柄で悩んでいても時間がもったいないだけなので、ペン入れに入る。冬の続きからだ。漫画作品、全24ページのうち8ページ目の途中からのスタート。考えてみたら、やっぱり苦しい…。(汗)

 あと2週間でペン入れとトーンと修正とネーム貼りですかい? すごくやばいのでは…?(汗) とにかく、ここの更新作業のあともペンを入れて力技で進めていくしかない。かなり細かい背景がある作品が多いのだが…。(うーむ、失敗したかなぁ…。汗)

メニューに戻る