飛鳥杏華の気まぐれモノローグ

<2002年>

6月18日(火)

 チュニジア戦に勝利して決勝トーナメント進出を果たした日本代表。しかし、決勝トーナメント初戦でトルコに敗退…。もう少し上に行けると思っていたのだが、残念な結果に…。一方、韓国はイタリアを撃破! しかし、審判の判定には疑問も…。それにしても、イタリアは審判に泣かされ続けてるなぁ…。(ちょっとかわいそう…。汗)

 12日、予選リーグも各組の最終戦に入り、次々と結果が出ていく。死のF組にもついに結果が出た。優勝候補の筆頭格だったアルゼンチンがスウェーデンと引き分けて敗退するという残念な結果になった。勝ち残ったのはスウェーデンとイングランドだ。日本と最後のテストマッチをしたスウェーデンにはちょっと情も移ってるから、できれば御礼対決ということで、再戦できればいいなと思った。

 一方、スペインは順当勝ち。いつもは苦しむ予選を圧倒的な強さで勝ち抜き、今度こそ優勝という勢いが感じられる。大ボケだったのは南アフリカだ。何か計算違いをしていて、負けても決勝トーナメントに進めると思っていたのか、終盤の戦い方も消極的だった。試合が終わってから予選敗退したことを知ったのか、呆然としていた。選手はかわいそうだが、スタッフはまぬけだな…。(汗)

 13日、苦しい立場に追い込まれたイタリアと余裕のメキシコの対戦。ほぼ全般に渡って、その立場の差が見事に表れていた。メキシコは確かにうまいが、イタリアに期待していた私としてはイライラの募る試合だった。強豪でも追い込まれるとここまでなさけない試合をしてしまうものなんだな…。最後には何とかデルピエロの同点ゴールで引き分け、2位通過で決勝トーナメントには進めたが、期待していたのとは随分違う結果だなぁ…。(汗)

 トルコとコスタリカの決勝トーナメント進出争いは、トルコに軍配が上がった。1勝1分けのコスタリカと1分け1敗のトルコ、それだけ見ればコスタリカの方が有利に見えたが、最後の相手が違いすぎた。コスタリカもブラジルからよく点をとったが、それ以上にとられて敗退…。やはり最終戦に強豪を残しているチームが厳しいということか…。ポルトガル戦を残している韓国の運命やいかに…? アメリカは連敗して敗退が決まったポーランドが相手だしなー。(汗)

 14日、いよいよ日本代表が決勝トーナメント進出を決める日が来た。チュニジアには申し訳ないが、そういう気持ちにしかなれなかった。(笑) しかし、この日の試合は昼間だ。仕事の都合上、休むわけにもいかない…。ロビーにあるお客様用のTVをサービスを兼ねてつけっぱなしにしておくという手を考えていたのだが、こんな日に大して大きくもない博物館に来る客はいなかった…。(苦笑)

 でも、上司は話のわかる人で、どこかの県庁とは違い、「こんなことは滅多にないことなんだから、ぜひ見なさい!」と言ってくれた。ただ、滅多にないことと言われてしまうのは抵抗あるなぁ…。これからは4年に1度、必ずあって欲しいことなのだが…。まあ、「日本で開かれるW杯で」という前置きがつくなら、確かに滅多にないことだが…。(汗)

 さて、上司のお墨付きをもらったといっても、TVにかじりついてるわけにもいかないから、自分の席から遠目にチラチラと見て、ときどきTVの前へ行ってしばらく見るということの繰り返しだった。前半はそれほど動きがなかったが、前半終了間際は危ないシーンがいくつかあった。引き分けでもOKの試合だが、守りに入るとチュニジアのスピードにやられる心配がある。ちょっと嫌なムードで折り返した。

 だが、ここでトルシエの采配が冴えた。後半から森島と市川を投入…。しかも、1、2戦で得点をあげた稲本を下げてだ。普通なら、ラッキーボーイの稲本を下げることは考えないだろう。だが、この日の稲本は疲れ気味なのか、動きが目立たなかった。攻撃的メンバーを2人投入しつつ、明神をボランチに回して守備も忘れなかったところが渋かった。これが見事に当たり、投入した2人から得点が生まれた。2点差以上で勝てば決勝トーナメント進出の望みのあったチュニジアも、もうあきらめた感じで、最後は完勝というイメージだった。

 とりあえず、韓国よりも一足お先に決勝トーナメント進出を決めた。まあ、これは単純にスケジュールの問題なのだが、これで韓国の人たちは敗退するわけにいかないという気持ちが強くなっただろう。これまで開催国が決勝トーナメント進出を逃したことがないというW杯の歴史もあるし、共催国であり、過去の経緯もあって、どうしても競争意識を持たざるをえない日本が勝ち進んだとなっては、敗退することは許されないというくらい強い思いがあったに違いない。

 だが、韓国チームは全然心配なかった。正直言って強かった。その強い気持ちが、敗退したくないとあせるポルトガルの弱気とも重なって、前半途中から終始韓国ペースだった。失礼ながら戦前はよくて引き分けかと思っていたのだが、悪くても引き分けという試合だった。ただ、判定については韓国有利という印象は確かに拭い去れなかった。もちろん、あのカニ挟みが一発レッドなのは当然だ。あれがレッドでなかったら、フランスのアンリのレッドとの差が大きすぎる。しかし、ベトの2枚目のイエローはちょっとかわいそうに思えた。ファウルではあったが…。

 2人少なくなったポルトガルが引き分けで逃げ、他力本願で決勝トーナメント進出を果たそうと防戦一方になったのはしかたないところだろう。実際、よくこらえていた。本調子を取り戻したフィーゴを決勝トーナメントで見たかったので、個人的には引き分けを望んでいたのだが、韓国の勢いはそれを許さなかった…。それにしても、朴のゴールは見事としか言いようがない。日本のストライカーも見習って欲しいな…。(無理か? 高原ならあるいは…って、代表落ちしてるけど…。汗)

 15日、とりあえず日韓揃って決勝トーナメント進出を果たせてよかった。日本の対戦相手はトルコ、韓国はイタリアとなった。何かまた同じようなシチュエーションが続くな。もっとも、日本がトルコに負けない保証はない。世間では勝てるという声が多いし、私も勝てない相手ではないと思う。勝ち進んだ顔ぶれの中では比較的戦いやすい相手ではないかと思う。それだけに逆に嫌な感じもしていた。むしろ、ブラジルとぶつかって華々しく散ってしまった方が、あきらめはつく…。そういう意味では、イタリアと戦う韓国の方が雑念なく戦えていいのかもしれないなんて思っていたのだが…。

 さて、この日から決勝トーナメントがスタートだ。まずは、ドイツ対パラグアイのカリスマGK対決だったが、ドイツのカーンに軍配が上がった。試合は一進一退で、延長に入りそうな気配だったが、終了間際に一瞬の隙を突いてドイツがゴールを決め、そのまま逃げきった。パラグアイは、延長を見越してスロベニア戦で活躍した二人を温存しようとしたのが失敗だった。その辺は駆け引きだし、もし延長にもつれ込んでいたら、パラグアイの作戦が当たっていたかもしれない。非常に微妙な試合だった。

 夜はイングランドとデンマークの対戦だが、予想外に差が開いてしまった。フランス戦で見せたデンマークの出来からすると、もっと接戦になるかと思ったのだが、やはりイングランドが強いということなのだろう。何だかんだ言いつつ、結果を出してくるところはさすがだ。デンマークはエースのトマソンの故障も痛かったが、全般的にほとんど何もさせてもらえなかった感じだった。そうなると、フランスはもっとよくない状態だったんだな…。日本でも勝てたかも…。(そこまで言ったら失礼かな…? 汗)

 16日、ギックリ腰から1ヶ月たったが、まだ完全には痛みが引かない。もう、この痛みは完治しないかもしれないなー。即売会で重い本を持ち帰りするのが、だんだんつらくなってくる。ただ歩き回るだけでも、結構腰にくるし…。誰か荷物運びしてくれないかなー?(でも、あと何年自分で運べるか、マジで心配なんだよね…。汗)

 この日はスウェーデン対セネガル、スペイン対アイルランドの2試合だったが、どちらもすごい試合だった。死力を尽くしての延長戦…。セネガルとスペインが勝ち進んだが、スウェーデンとアイルランドもすばらしかった。ここで敗退はもったいないが、勝負の世界だからしかたあるまい。スウェーデンには勝って日本とのテストマッチ御礼対決を期待したのだが、サッカーとしてはセネガルの個人技も見応えがある。ゴールポストに当たったシュートが明暗を分けただけに、スウェーデンはかわいそうという気もするが…。

 アイルランドの粘りには本当に感動する。サポーターのおっさんも涙を流していた。スペイン選手の故障で数的に優位に立った延長で決められなかったのが、結果としては響いたかたちになってしまった。個人的にはスペインが負けると先がつまらなくなるという気持ちもあったが、あそこまでいくとアイルランドを応援したくなった。ここまで残ってくるチームは、どこもそれ相応の魅力を持っているということだろう。日本も魅せてくれるだろうか…? 期待したいところだが…。

 17日、この日のメキシコ対アメリカは、メキシコの方がうまさで勝ると思っていたのだが、アメリカのスピードがそれを凌駕した感じだった。一方、ブラジル対ベルギーは、ベルギーの健闘がブラジルを脅かした。予想以上にベルギーの出来がよく、微妙な判定で前半のウィルモッツのゴールが取り消されなければ、かなりブラジルもあせっただろう。が、ペースを取り戻したブラジルの攻撃はさすがだ。先制され、攻めるしかなくなったベルギーにとって、2点目はしかたのない失点だったろう。残念だが、健闘に拍手を贈りたい。

 18日、いよいよ日本対トルコの対決だ。が、この日も昼間の試合…。上司は理解あるから、職場で見ることは問題ないのだが、この日は夕方から工場幹部の送別会でバンドの演奏に行かねばならない。後半の最後の方が時間的に見られない…。その予定は前々からわかっていたから、ブラジルとはぶつかって欲しくなかったが、この日になるのもあまりうれしくはなかった。そんな私の気持ちが反映されるわけはないはずなのだが、試合も何ともスッキリしないものになってしまった。(汗)

 先発メンバーが発表されたとき、西澤はちょっと驚いたが、三都主の先発にはちょっと期待した。実際の布陣を見るまでは、三都主を左サイドに入れ、西澤の1トップ、中田(英)と小野の2シャドウかと思ったからだ。ところが、TVの解説で三都主と西澤の2トップと聞いて、不安が広がった。確かに三都主のFW起用はファンや一部の解説者が推していたものだが、その布陣で試したことがこれまで一度もない。直前の非公開練習ではやったのかもしれないが、大事な決勝トーナメント初戦でそんな冒険をするのは危険ではないのか?

 実際、前半はチーム全体が慣れない布陣にギクシャクしていた感があった。その影響なのかどうかはわからないが、集中力を欠いたプレーからトルコに早々と先制点を許してしまう。中田(浩)のイージーなパスミスからコーナーキックを与え、セットプレーでは中央のウミト・ダバラをまったくのフリーにしてしまった。予選リーグではロシア戦以降、体を張って失点を防ぐ厳しい守備をしてきたのに、あまりにもあっさりとした失点だった。そして、結局はこれが致命傷になってしまった…。

 それでも前半の終了近くになると、三都主も慣れてきて大分攻撃の流れがよくなってきていた。圧巻はあの三都主のフリーキックがゴールの左角を叩いたシーン。あれが入っていれば文句なしだったが、入らなくてもトルコに与えた驚異は大きかったはずだ。これまで近い距離からのフリーキッカーは中田(英)か小野で、ともに右利きだから壁の作り方やGKのポジショニングも右利きを意識していればよかった。それが、左利きの三都主も蹴るとなると、両方に対する警戒が必要になるからだ…。

 実際、あのシーンで左利きの三都主を想定していなかったトルコの選手は、誰も一歩も動けなかった。これ以降、三都主を意識することで壁の位置がずれて中田(英)や小野にコースが開く可能性もあるし、両方を防ぐために壁の枚数を増やせばその他の選手のマークがゆるくなる。それに、フリーキックが驚異となると、ゴール近くでは不用意にファウルを取られないように警戒するから、チェックが甘くなる可能性もある。後半に向けていい材料だったのだ。ところが、その三都主をトルシエは後半開始からあっさり下げてしまった。(汗)

 チュニジア戦と同じく稲本に代えて市川というのはわかるが、三都主を下げてしまったのは解せなかった。代えるなら、病み上がりの西澤だろう。逆に、西澤を活かしたいのなら鈴木ではなく、同じC大阪でコンビのとれている森島をここから投入すべきだったろう。どちらの意味でもハズレだったように思う。チュニジア戦では冴えを見せたトルシエ采配だったが、大事なところで馬脚をあらわしてしまった…。(やはり、W杯決勝トーナメントでの経験のなさからだろうか…。汗)

 素人の私があれこれ言っても説得力はないのだが、守備面で明神を残しておきたい気持ちはわかる。が、負ければ終わりのトーナメントなのだし、危険を冒しても攻めにいくべきだったと思う。市川は明神に代えて投入し、疲れからかパッとしない稲本に代えて森島を1.5列目投入、小野を稲本のいた左ボランチに、三都主を左サイドに回すという方が個人的にはよかったように思う。それでも打開できなければ、ラスト20分で市川に代えて中山の投入という具合に、ゴールをゲットできる人間を増やすべきだったように思う。終了間際の森島の投入では、あまりにも遅すぎた…。(汗)

 結局、何ともスッキリしない疑問の残る戦い方で日本のW杯が終わってしまった。これなら、ブラジルとあたって華々しく散った方がよかった。失うものは何もないし、余計なことを考えずに済んだろう。何か燃え尽きたという感じがしない。燃え残りがくすぶったままだ…。でもまあ、どんな終わり方をしても、優勝でないかぎりは何かしら燃え残るものはあるんだろうな…。まだ2回目の日本なら、こんなものかもしれない。満足するより、不満を残した方が次の励みになるとか、あまりそういう負け惜しみ的な考え方はしたくないけど…。

 さて、夜は韓国の番だ。相手はイタリア…。クロアチア、メキシコとの戦いぶりを見ていると、ポルトガルに勝った韓国なら行けるかもしれないと思った。しかし、日本と同じように前半の早い時間帯に失点して、その後、後半も攻め続けるがなかなか得点にならない。イタリアの自慢の堅い守備にだんだん敗色が濃厚になってくる。ところが、ここで監督の手腕の差が出てくる。韓国のヒディンク監督は負けたら終わりだとばかりに守備の選手に代えてFWの選手を次々と投入してきた。FWが4人、5人なんて、本来なら無茶苦茶だ。チームにならない…。

 ところが、勝ちたいという執念がそんな偏ったメンバー構成を見事にチームとして機能させた。ボールを持ったらゴールゲッターが何人もペナルティーエリア内に入ってくる。どこからでも攻められる。どこから来るかわからない…。これにはさすがのイタリアもびびった感じだった。自慢の守りで1点を死守する態勢に入ったイタリアだったが、この韓国の執念のプレッシャーの前についに終了寸前、同点に持ち込まれる。そして、延長戦へと突入…。こうなるともう勢い的に韓国が有利だとは思ったが、このあと微妙な判定が続いた。

 トッティーのシミュレーションによるイエローカード累積での退場、トンマージのオフサイド判定、いずれも微妙だから誤審とは決めつけられないが、全体的に韓国に有利な判定というイメージはどうしてもつきまとった。それがホームタウン・アドバンテージというもので、スポーツではよくあることと言ってしまえばそれまでかもしれないが、この試合のモレノ主審は、後に自国の試合でも地元チームが逆転勝ちするまで12分ものロスタイム(表示は6分)をとって処分を受けている。問題のない人ではかったわけで、これを書いている今、あらためてあのときの判定がどうだったのか疑問が出てきてしまう。

 それらの判定(特にトンマージのオフサイド判定)がなければ、イタリアの勝ちがあったといえば確かにそうだが、試合全体は圧倒的に韓国が押しまくっていた。サッカーの場合にはそんなものはないが、格闘技なら韓国の判定勝ちは間違いないだろう。ただ、個人的にはイタリアに勝ち進んで欲しかった。それは単にイタリアが好きな強豪チームの1つで、この先、それら強豪同士の対決が見たかったからだ。共催国でお隣りの韓国を応援しないなんてけしからんと言う人もいるかもしれないが、それはお門違いだと思う。大阪に住んでいたって阪神タイガースより巨人が好きな人はいるだろうし、そんなレベルの話である。

 できることなら、韓国にはメキシコと対戦して欲しかった。そっちのブロックにいってくれていれば、比較的悩まなくて済んだ。決して日本が敗退したから、韓国も一緒に敗退して欲しかったわけではない。対戦した相手が好きなチームだったのが、勝ち進んでも100%素直に喜べない理由だった。もっとも、今回の韓国チームもかなり魅力的だ。あの分厚い攻撃は見ていてわくわくする。欧州の強豪たちもマジでタジタジだったし…。(何割かは判定におびえてた部分もあるかもしれないが…。笑)

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