飛鳥杏華の気まぐれモノローグ

<2001年>

12月11日(火)

 いよいよ入稿目前! ようやく漫画のネタも決まり、急ピッチで執筆しているが、どう考えても物理的に時間が足りない。目次を2本立てにして最終日決戦に臨むつもりだが、果たして結果はどう出るか…?(汗)

 5日、原作「犬夜叉」だが、銀骨と煉骨の連携に手を焼きながらも、銀骨を斬り捨ててかごめを救いに向かった犬夜叉…。煉骨にかまっている暇はなかったが、煉骨の方も深追いはしなかった。このあたりが、ちょっと他のキャラと一味違う。蛇骨とはまた違った魅力があるな…。一方、その蛇骨は蛇骨刀をかいくぐって攻めてきた鋼牙に厄介さを感じていたが、鋼牙の方はかごめの危機を知ると迷わず救出に向かった。「本っ当に迷わず退くよなー。」という手下の言葉が何とも笑える。が、意地を張らずに退けるところが、ある意味、鋼牙の優れたところでもあるのだろう。

 思っていたとおり、七宝の狐火はみんなを炎から守ることはできたが、息が止まるのを防ぐことまではできなかった。ここで若くて素直なファンなら、驚いたりあせったりするかもしれないところだが、すっかりスレている私は、これは「らんま」の最終話パターンだなと読んでしまった。実際、そんな感じだったのだが、実はその前に冥加がみんなの毒を吸い出していたという事実があった。そう…、そうなのだ! 冥加の存在と能力をすっかり失念していた。さすが高橋先生、容易には想像のつかない展開をやはり用意していた。(って、気づかなかったのは、私だけ? 汗)

 そして極めつけはは、犬夜叉の涙だろう。七宝との絡みが、その前の伏線も合わせて絶妙だ。ここも「犬夜叉」の名場面の1つとして、多くのファンに支持されることになるだろう。湿っぽいのが嫌いな人は逆に嫌うかもしれないが、私は結構好きだ。アニメ化されるのが、今から楽しみである。(それまで続いてくれよな。汗)

 さて、この日はレビュー(各話本編犬聞録)と各話使用BGMリストの扉ページの作成をした。前者は、分析にあたって使用した各種資料をコラージュしたものにした。あまりこれらの資料を持っていることを自慢してるように見られることはしたくなかったのだが、脚本・演出、作画・設定、声優・アフレコ、刺激的表現の緩和といったことについての記述が詰め込まれているので、ただ単にある回のワンシーンの映像を貼りつけるより、ずっとコーナーの内容を表すものになるだろうと思い、このかたちに踏み切った。

 後者は、曲名照会の元になっている音楽篇のCDジャケットと収録曲名を下半分に載せて体裁を整えた。いちいち自分が持っているCDを見直さなくても、どこにその曲が収録されているかわかるようにという配慮のつもりだ。これは多分、次号も同じデザインになるだろう。芸はないが、資料としてあっちこっち探さねばならないのは効率が悪い。そういう意味では、悪くないはずだ。読む方は手抜きと思うかもしれないが…。(汗)

 それはいいのだが、ここへきてまだいい漫画のネタが浮かばない。スランプというより、もう老化なのかもしれない…。(汗) あきらめちゃいけないが、何とか帳尻を合わせてこれたこれまでと同じと思ってもいけないだろう。しばらく忘れていたが、今年は厄年(本厄)なのだし、悪いことが起こっても不思議はないのだ。まあ、同人誌の新刊を落とす程度の災いで済むなら、よかったと思わなければいけないのだろう。新刊のために命を落としたら、再発行のチャンスは2度と訪れないのだし…。

 6日、漫画のメドが立たないので、目次を2本立てで作成する。それによって、若干左右ページが入れ替わる原稿があるので、(右ページのみ)右肩に入れているコーナータイトルの有無を変え、2通りの原稿を用意した。さらにアニメ放送データ集の扉ページの作成に取りかかる。デザインにちょっと悩んだが、原画を担当している制作会社ごとに特徴的な絵を拾ってきて並べ、改めて比較してもらうことにした。

 この日は、アニメ放送データ集の扉を完成させるところまではいかなかったが、もう時間の問題である。あとは、中表紙に貼るタイトルロゴを作ってプリントアウトに臨むことになる。できれば、漫画のタイトルとセリフも作成しておきたいところだったが、ネタも決まっていないのではプリントアウトしようがない。これは、入稿前日の昼休みまでに作成するしかないが…。(汗)

 7日、アニメ放送データ集の扉を完成させ、中表紙のタイトルロゴも作り、とりあえずすぐに描けそうな中表紙イラストのデザインに取りかかった。まずは初期の部分だから、犬夜叉とかごめでキャラは決まりだが、どういうデザインにするか…。といっても、あまり凝った構図も浮かんでこない。まだそんなにラブラブな時期ではないから、その辺をちょっと意識しようと思いながらノートにラフを描いてるうちにほぼ絵柄が固まった。

 漫画のネタの方も、いいパロディネタが見つからないかと、今回の収録対象になっている回の原作を読み返してみた。と、北条くんネタで1つ浮かんできた。北条くんのボケを使えば、それこそ何通りもできるのだが、同じパターンばかりだと飽きるし、乱発は避けたいので、これ1つだけを確定にした。あとは、下ネタなら以前に考えたものがいくつかあるのだが、資料本に下ネタではギャップが激しすぎる。いくらまじめな分析を書いても、そんな下ネタ漫画を描いてる奴の分析じゃ説得力がなくなってしまうし…。(笑)

 もっとも、他の本で描いてきた下ネタ漫画を知られてれば同じことなのだが、同じ本に同居というのはちょっと避けたいところだ。ブレイク漫画だから、ギャグはいいと思うのだが、下ネタはちょっとね…。(汗) 最後の最後まできたら、その気持ちも揺らぐかもしれないが…。(おいおい。汗)

 8日、いよいよ職場でプリントアウトだ。帰りにそのまま劇団☆新感線の芝居に直行するのだが、荷物が重くなるのはやむをえまい。本当は昼休みだけの予定だったのだが、ちょっと分量が尋常ではない。下手をすると間に合わなくなるので、プリントアウトのオペレーションだけかけ、印刷中は本来の仕事をするというかたちで、朝からプリントアウトした。う〜む、完全に公私混同だな。(汗) 前の職場だったら、絶対にできなかっただろう。

 昼休みまでに結構いいところまでプリントできた。昼休み中もプリントは続けたが、とりあえず上がったものから校正してみる。11月25日にすでにプリントしたものから順に始めたのだが、すぐに誤字、脱字が見つかる。これはまずい…。かなりのページがプリントし直しになるかもしれない。(汗)

 悪い予感は当たってしまった…。次から次へと間違いが見つかる。ほとんどのページがやり直しだ。昼休み中に必死で校正と修正をしたが、後半の方のページは当然無理である。仕事中に校正と修正、再プリントをしたかったが、さすがにそこまで公私混同する度胸はなかった。残りは最終日前日までの各昼休みにコツコツプリントするしかない。漫画に割く時間が食われるのがつらいが、本文の方がガタガタでは本にならない。覚悟はしておかねばならないだろう…。

 そういう状況になってしまったので、本来ならあきらめるべきだったのだろうが、この日の席のよさを考えるとあきらめ切れず、結局、予定どおり劇団☆新感線の芝居を観にいった。まず、最初に調べたのが、高橋留美子先生からの生花の存在だ。今回は入口近くにあった。前回の「大江戸ロケット」のときは、ビッグコミック編集部と連名だったが、今回は高橋先生単独だ。前回はホリプロ主催で、今回は劇団☆新感線単独ということも関係しているのだろうか?

 それはともかくとして、今回の「直撃!ドラゴンロック3 −轟天VSエイリアン−」は、主人公の敵が「拳法を使うパンダ」だということが、情報としてすでに入ってきていた。どこかで聞いたような設定である。(笑) しかも、パンダの将軍が目つきの悪さでは定評のある粟根まことだというので、目つきの悪い拳法を使うパンダと条件がまた1つ揃ってしまった。ただ、残念ながら粟根まことはやせ型だ。太っていたら玄馬パンダによく似た敵になってただったろうに…。

 そんなこともあって期待していたのだが、芝居の方にはイマイチ乗り切れなかった。幕間に周囲の声に耳を傾けたが、同じ意見が多かった。ギャグがほとんどすべってしまって、しかも寒い…。(汗) いのうえ歌舞伎と称した芝居は、もともとシリアスな部分がメインで、ギャグが抑え気味だから、笑いが少なくなるのは当然なのだが、今回のようなポンチ系と言われる芝居はギャグが命のドタバタ劇だ。従来なら爆笑の連続なのだが、今回は爆笑まで至るシーンがほとんどなかったのだ。そもそも、開演前の場内アナウンスからすでにすべってしまっていた。

 今回は、場内アナウンスもウケを狙って作ってきていた。いつもどおり、演出効果の妨げになるので携帯電話など音の出る機器は電源を切るように呼びかけるのだが、そのあとで、「もし携帯が鳴った場合…、(急に声のトーンが低く、おどろおどろしくなって)何が起こるかわかりません。おーっほっほっほっほっ!(雷鳴)」とやって、何事もなかったかのようにアナウンスを続けるというものだったのだが、しっかりすべってしまった。(汗)

 これは、芝居の冒頭で携帯を鳴らした観客の男(実は劇団員)がステージに引きずり出されてボコボコにされるシーンに対する伏線になっていて、趣向としてはおもしろいと思う。だが開演前、お約束の曲が流れるまでの観客の注意力は散漫だ。高笑いが聴こえてから、「何かあったの?」と気づく人が多かったのではないだろうか? 私は逆に注意して聴き入っていたのだが、それはアナウンスの声のトーン、しゃぺり方が妙にプロっぽくて何かありそうだと臭ったからだ。プロといっても、劇場の場内アナウンスのプロという意味ではない。アナウンサーや声優、俳優といった職業の人が持つ独特のプロっぽい声のトーン、しゃべり方の雰囲気である。いずれにしても、ウケなかったことには変わりがない。(汗)

 しかし、ギャグのウケとは別の見どころがあった。特に、舞台前面に映した映像と芝居のシンクロは見るべきものがある。すでに「大江戸ロケット」のときに試みている手法だが、今回の「ドラゴンロック3」を観ると、「大江戸ロケット」での映像の使用は今回のためのテストだったようにさえ思えてくる。それほど、映像自体も質が高くなっているし、芝居とのシンクロも見事になっている。特に、地下水路を小舟で移動するシーンでそれが発揮されていた。映像のカメラアイが角度を変えるのに合わせて小舟も方向を変え、最後の方では水路が急流となって流されていく様子がジェットコースターのようで迫力があった。

 ただ、東京公演が始まってまだ間もないという点を差し引いても、全体としての満足度はイマイチという感が残ってしまった。ここで大満足できていれば、翌日の日中の公演はチケットを無駄にして新刊編集にあてる覚悟もできたのだが、1回で満足できなかったために、どうしても再度観直したいという気持ちが強くなってしまった。どうも、年をとってから以前にもまして意志が弱くなってきているな…。新刊を出すのは、半分は他人のため…。芝居を観にいくのは、すべて自分のためだからだろうか? だんだん、エゴが強くなってきているな…。(汗)

 しかし、芝居を観にいったことがすべて誤りではなかった。おかげで、漫画のネタが3つ浮かんで、一応、今回予定の数に達した。帰宅したのは遅かったが、寝るまでに絵コンテを仕上げた。問題は、これの執筆が締め切りに間に合うかどうかだが…。(汗)

 9日、休日だが平日と同じ時刻に起き、午前中に文章原稿の校正を一通り終えた。実際の修正は帰宅後だ。そして芝居だ…。この日の席は1階のいちばん後ろだが、中央に近い。スクリーンの映像は観やすい位置だ。ギャグは相変わらずすべっていたが、映像とのシンクロは堪能できた。席が後ろだと、より芝居に集中できる。近いとどうしても個々の役者の表情とか演技に気がいってしまって、他の役者の動きや芝居の全体像を見落としてしまいがちだ。特に今回はお色気シーンが結構あったから、前から3列目だった前日は、女優の短いスカートの中がチラチラとのぞいて、余計に気が散ってしまった。(私も結構、スケベだな…。笑)

 当然、ちゃんと下には衣裳を着込んでいるのだが、心理としてああいうものがチラチラすると、反応してしまう。それは雄(オス)としての本能だ。反応しなくなるほど枯れて、パサパサになってしまったら返ってやばいのではないかと思う。自己弁護にしか聞こえないかもしれないが、これが枯れてしまうと本当に創作意欲とかも枯れてしまうような気がする。男の若さの源は、スケベ心なのかもしれないななんて、まじめに考えてみたりして…。(笑)

 帰宅後は、早速文章の修正だ。それを終えると漫画と中表紙イラストの下描きに取りかかる。いよいよ正念場だ。昨年はたった4日で再録本を作り、そのときに7ページを描き下ろしている。今回は5ページだ。しかし、昨年はその4日がすべて休日だったのに対して、今年は全部平日である。最終日は休暇をとるが、その前は職場でのプリントアウトもあるし、休めないから苦しい…。いまさらのように芝居とそのための移動に費やした10時間ほどが重くなってくる。すべて自業自得…。そのツケは自分で払うつもりだけれど…。

 10日、漫画の下描きを続ける。中表紙イラストと漫画2ページの下描きが上がったが、平日ではそこまでが限度だ。下描きが終わればあとは力業だが、物理的に考えてもかなり無理があるスケジュールだ。ペン入れ、ベタ、トーン、修正、ネーム貼りをラスト2日でこなせるかどうか? その成否によってページ番号が変わってくるので、すでに出来上がっているページもギリギリまでノンブル(ページ番号)を貼れない。どこで潮時を見切るかだな…。見切らなくて済むのがいちばんだが…。

 さて、アニメ「犬夜叉」だが、竜骨精との闘いの後半だ。爆流破をマスターするわけだが、それまでの過程がちょっと長く感じた。1話で簡単にマスターしてしまったらあっけなさすぎるし、その辺の時間配分は難しいのだが、原作を知っているだけに、さっさとマスターしちゃえよという気持ちになってしまって、妙にじれったかった。新刊の方で心がはやっていることも影響しているのだろう。落ち着いているときに観たら、また違った感想が出てくると思う。

 11日、残り2ページの漫画の下描きを終え、ペン入れに入る。最低限でも中表紙は仕上げないとならないから、まずは中表紙からスタートするが、インクが乾くのを待つ間に他のページを並行して進めるいつものやり方だ。結局、この日はどのページも1コマの程度しかペンを入れられなかった。残すは、翌日の帰宅後からの徹夜(約24時間)だ。最後まで粘るつもりだが、この勝負、吉と出るか凶と出るか?(汗)

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