飛鳥杏華の気まぐれモノローグ

<2000年>

12月12日(火)

 いったい何が起こったのか? 自分でもわからない…。突然思い立って、入稿締切4日前から本を作りだした飛鳥…。とうとうイってしまったのか?(笑) 再録中心とはいえ、7ページの描き下ろしと再編集…。間に合ったのか!?

 6日〜7日、一刻会「そると」のイラストを発送する。6日に送りそこねたので、念のため速達で出しておいた。まあ、9日までに着くようにということだから、大丈夫だろう。そして、12日までには入稿だ。来年はもう少し描くべきかな…?(汗)

 そんなわけで、2日がかりで久しぶりに原稿を描いたわけだが、やっぱりこの方が性に合ってる。初日の夜はなかなか寝つけなかった。集中力が高まって、神経のたかぶりがなかなか冷めないからだ。これが出るのはいい傾向である。睡眠不足にはなるけれど…。(汗)

 さて、原作「犬夜叉」だが、やはり桔梗は犬夜叉に手出ししたら許さんという姿勢を示した。が、あえて椿を倒そうとはしない。そして、かごめは椿の呪い程度では殺せないと確信を持って指摘する。現在のところ、それほどまでの強さは発揮していないかごめだが、桔梗のこの言葉が出てきたことで、今回のシリーズで真の力を発揮する可能性が出てきた。

 前のシリーズで犬夜叉が成長し、今度のシリーズでかごめが力を発揮するとなると、今度は敵役が奈落では役不足になってくる可能性がある。さらに強く、邪悪な的が現れるのだろうか? それとも、奈落もさらに強くなるのか? 先の展開が興味深い…。

 8日、新しい上司の歓迎会だ。歓迎会のあとすぐに帰れれば、原稿を描こうと思っていたのだが、上司につかまって麻雀のお供となってしまった。(汗) 前日まではオフセット本を作る気などなかったのだが、久々に原稿を描いてみてやっぱりこれが性に合うと感じたので、再録本をまた作ろうと思い立ったのだ。この1夜分の遅れがあとになって効いてくることになるのだが…。(汗)

 9日、思い立ったからには即実行だ。といっても1夜遅れてしまったが、朝6時すぎから早速描き下ろしの漫画、表紙、中表紙、裏表紙の執筆に取りかかった。が、入稿締め切りは12日だ。まる4日足らずしかない。しかも12日は出勤日だし、何と無謀なことを考えたのだろう? でも、不思議とできるような気がしていた。

 まずは漫画の絵コンテをざっと切って、すぐに下描きに入る。いつもなら、絵コンテは下描きの下描きといくらい丁寧に描くのだが、今回はネタが原作のベタなパロディなので、細かい絵は原作をお手本にすればいいから省略したのだ。でもやっぱり、絵コンテで練習してない分、満足な絵になるまで時間がかかる。模写って意外と大変なのだ…。

 漫画の下描きが終わったのが14時頃。苦労したわりには早かった。続いて表紙、中表紙、裏表紙のイラストのコンテをざっと切り、下描きに入る。が、表紙の絵がうまく決まらない。2回描き直した。私には珍しく男性キャラを2人中央に大きく描いた。収録作品の数から考えてやはり乱馬と犬夜叉だろうと考えたからだ。

 そしてかわいく(?)デフォルメした女性キャラたちを周囲に散りばめる。響子、ラム、あかね、かごめ、そして飛鳥杏華のお約束であるかすみおねーさんだ。(笑) 背景はあえて描かなかった。カラーならともかく、単色の本だと表紙はすっきりしていた方がきれいに見える。「Yesterday and Today」と「FREE AS A BIRD」の違いがいい例だ。

 続いて裏表紙だが、真ん中に小さく子供の頃の天道三姉妹を描いた。少しでも時間を節約したいという気持ちもあったし、表とのメリハリをつけたかった。あえて子供時代にしたのは本のタイトルを「REAL MEMORIES」にしたからだ。要は「REAL LOVE」Vol.1とVol.2の再録中心本だからそうつけたわけだが、「MEMORIES」という響きから、ちょっと思い出的なイメージが浮かんだのであえて子供にしてみたのだ。

 そして最後が中表紙だが、これが思わぬネタになってしまう。やはり思い出的イメージから響子と娘の春香を描くことにしたのだが、最初は春香が炊事の手伝いをしている絵の予定だった。このとき、漠然と春香の年齢設定を小学3年生くらいにして描いたのだが、ちょっと待てよと計算し直してみたら、もう12歳になってるはずだと気づいた。

 描き直しだ。そのままでは背も低過ぎるし、胸のふくらみもほとんどない。12歳ならもっと胸もふくらんできてるはずだと考えていたら、なぜか「春香が初めてブラジャーをつけたとき」という妙なシチュエーションになってしまった。(笑) 最近の小学生は早熟だから、もっと早くブラをつけてる娘もいるだろうが、響子が高校生の頃はまだそんなに胸が大きくなかったという事実があるので、遺伝的にこのくらいが初めてでちょうどよかろうと…。

 別に春香の下着姿で引きつけようと思ったわけではない。実際、そんなにエッチな絵ではないし…。要は、自分自身で計算してみて、いつのまにかあの春香が12歳にもなっていたことに驚きと感慨を覚えたから、それを形にして伝えたかったのだ。あの感動的な「めぞん一刻」の最終話で生まれた赤ちゃんが、実はもうブラジャーつけるくらいまで大きくなってるんだよねーって感じで…。それを微笑みながら見つめる響子と合わせて…。

 スケベ心を起こした部分があるとすれば、それをのぞこうとしている四谷と見せまいとする五代を描き加えたことだろうか。描いた本人は、いたって健康的なイメージで描いたのだが、果たして見る側はどう受け取るだろう? そういう反応もまた楽しみである。(笑)

 さて、すべての下描きが終わったのが20時すぎ。結構、自分としては早いペースだ。そこでページ割りを考えてみる。とりあえず使えそうな原稿は全部使うことにした。漫画、イラストはもちろん、るみけっとのチラシに使ったカットとかも調整ページ用にぶち込む。もうそこまでやったら何でもありだとばかりに「乱馬的過激弾『何処!?』−EXTRA MILD−」や「一刻館擬人論」までぶち込むことにした。(おいおい。笑)

 21時頃からいよいよ描き下ろし原稿のペン入れに入る。この段階では何とか11日(月)に入稿したいと考えていた。それには午前3時頃までにはペン入れを終えないと苦しい。しかし、そこまで甘くはない…。自分としてはかなり効率よく描いたつもりだったが、午前3時では半分が限界だった。(汗)

 10日、結局描き下ろし7ページのペン入れが終わったのは15時すぎだった。これだけ大幅に遅れていながら、ベタとトーンを翌日の朝までに終えられれば18時頃の入稿に何とか間に合うのではなどと計算していた。それは思いっきり甘い計算であったことをあとで思い知ることになる。(汗)

 ベタは塗る箇所が少ないのでそれほどかからなかったが、それでもトーン貼りに入れたのは19時すぎだった。なるべく同じ種類のトーンを続けて貼って、出し入れの時間を節約するようにしたが、どうしても使うトーンの種類選択と取り出しに時間がかかってしまう。朝までにというのは、遠い野望だった…。

 11日、結局描き下ろし7ページが上がったのは13時すぎだった。乱馬的過激弾「何処!?」−EXTRA MILD−の原稿をコンビニで拡大コピーしてきたのが14時過ぎ…。そこから表紙などのタイトルロゴや漫画のネーム(セリフ)貼り込みを開始する。ここに至ってさすがにこの日の入稿は無理と判断した。

 この日の深夜までに仕上げて、翌日、仕事からの帰宅途中に印刷所に寄って入稿というシナリオを立てた。仕事が長引いて入稿に遅れそうな場合も想定して、印刷所の電話番号も控えて出勤するつもりだった。しかし、それすら難しい状況に追い込まれてしまう…。別に、アニメ「犬夜叉」を見ていたからという問題ではないと思うが…。

 描き下ろし漫画のネーム(入力とプリントアウト)からスタートするが、これが終わったのが18時すぎ…。続いて表紙、中表紙と頭からタイトルロゴなどを作成して貼り込んでいく作業にかかったのだが、ここへきてプリンタの調子が悪くなってしまう。徹夜による疲労もピークに達していて、作業効率はどんどん低下していった。

 12日、何とか午前3時までには仕上げたかったのだが、16ページに及ぶ乱馬的過激弾「何処!?」−EXTRA MILD−のうち5ページ分を貼ったところですでに午前4時をまわってしまった。まだ20枚近くも貼る原稿があるし、イラストについては余白部に解説もつけたい。さらにノンブル(ページ番号)を入れることを考えたらもう絶望的だ。(汗)

 何で「できる!」なんて思ったのかな?(汗) まったくと言っていいほど、再編集作業の計算ができていなかった。もうあきらめの境地で、13日以降でも間に合う印刷所をネットで探しはじめた。だが、どうしても「遠い」というデメリットがある。原稿の郵送はしたくない。表紙の紙やインクの色も選びたいし…となると、ここというところが見つからない。

 とりあえず時間が来たので、考えがまとまらないまま出勤した。遅くまで扱ってくれる印刷所に行けばいいと割り切ったつもりだっだのだが、面倒くさがり屋だし、やはり慣れたところの方がいいという気持ちも捨てきれない。この日の夕方までに入稿すれば間に合う…。となれば、午前中最低限の仕事をこなして、半日休暇をもらえれば間に合うかもしれない。

 まる3晩寝ていない最悪の状態の中で、とにかく午前中にこの日にやるべき仕事をこなし、午後の休暇を願い出る。ちょっと心苦しかったが、今年はまだ3日しか休んでいないのだ。これは就職してから最小の記録である。それだけ休めなかったのだから、ストレスもたまるわけだ。(苦笑)

 休暇が認められたので、ただちに帰宅して作業を再開する。しかし、一旦切れた集中力は何度となく睡魔に負けそうになる。うとうとして、いかんいかんと顔をたたく頻度が増してくる。さらに、連日の無理で風邪をひいたらしく、頭痛がひどくなってきた。18時を目安にしていたが、その時間がいよいよ目前に迫ってきた。

 あと数枚の貼り込みとノンブル貼りを残した状態で17時半…。ここで、印刷所に電話を入れていつまで待ってもらえるかを確認した。20時まではいるが、できれば19時までに来て欲しいと言う。あと1時間ちょっと…。きついが、そのつもりで進めて、ダメそうならまた電話をすると伝えた。

 それから1時間…。やはり難しかった。しかもここへきて、2年前の夏に「REAL LOVE」Vol.3に収録できず、今回初のオフセット本収録となる漫画(ただし、1998年夏コミ当日先着30名限定のおまけコピー誌に収録)にネームが貼ってなかったことに気づいた…。今から貼り込みでは全然間に合わない。手書きで必死に対応するが、これでさらに遅れた。

 「やはり20時になります。」と印刷所に電話したところ、別の人が出て「全然大丈夫ですよ。」と言われた。さっきのは何だったんだ…?(汗) それはいいとして、それでもノンブルを貼っていると間に合わない。とりあえず、前回収録時のノンブルをはがし、ノンブルなしの状態で19時40分頃、自転車に乗って印刷所へと向かった。

 ところが、印刷所について愕然…。「ノンブルがないと入稿できません。」という貼り紙がしてある。だが、そこはさすがに商売だ。作業台が用意してあって、「この場で貼ってください。」とノンブルシールとカッター、定規を手渡された。自宅にはシールがなく、手製で作らねばならなかったから、かえって助かった。次回も忘れたふりしようか?(こらこら。笑)

 これで終わりかと思ったら、まだ甘かった。ノンブルを貼ってる途中に1ページ自宅に置き忘れてきたことに気づいたのだ。ただちに自転車で原稿を取って戻ってくる。やはり近所の印刷所にしておいて正解だった。これが往復に何時間もかかる場所や郵送だったら完全にアウトだ。(うーむ、まだ神に見離されてはいないぞ。笑)

 こうして21時半頃、何とか入稿を終えた。4日(正確には5日)前、突然思い立って作りはじめ、4日間で表紙込み92ページの本を本当に作ってしまった。もちろん再録が大部分だが、編集作業はかなり多かった。これだけのものが出せるのに、今までの自分は何だったんだろう? 今年、これだけ動けない、動かないと悩んできた自分は…。(汗)

 入稿から帰宅して食事をし、風呂に入ったら、急に具合が悪かったことを思い出した。とにかく早く寝るしかない。翌日はもう休めないし…。というわけで、またまた火曜日の更新はできなかった。しかし、久々に書き甲斐のあるネタになる。じっくり腰を据えて、土日更新をめざすとしよう。

 とにもかくにも、これで何とかコミケのブースに本が並ぶことになった。再録なので、古くから買ってくれてる方に買ってくれとは言えない。若干の描き下ろしと未公開(一部非公開だった)イラストなどはあるけれど…。しかし、「REAL LOVE」Vol.1、Vol.2などを持っていない人にはちょうどいい本になる。考察まで入って92ページで400円だ。かなりお買い得だと思うぞ。(笑)

 今回、突然再録本を作ろうと思い立ったのは、アニメ「犬夜叉」の影響で新しいファンが増え、コミケにも流れ込んでくる可能性が高いと感じたからだ。そういう人たちは当然、私の古い本などは持っていないし、アニメから入った人なら初期ネタの方がわかる。初期ネタを扱っているこのあたりの時期の作品を改めて出す意義があるじゃないかと…。

 というわけで、知ったときには「REAL LOVE」Vol.1、Vol.2が完売していて買えなかったという方、この機会に1冊いかが? 何なら保存用と保存用の予備を合わせて3冊くらい…。(笑) 全部直接搬入になってしまうので、通販は年明けからの予定である。

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