飛鳥杏華の気まぐれモノローグ

<1999年>

10月19日(火)

 ひと山越えて一段落…。高橋先生の読み切り作品も出て何かとネタが多い1週間だったはずなのだが、どうも精神的には低調だ。即売会に関して新たな問題も出てきているし、うーむ、長くファンやってるといいことばかりじゃないな。悪いことばかりでもないが…。(笑)

 13日、高橋先生の読み切り「with CAT」が発表された。そのため、「犬夜叉」はお休みだ。このパターンはこれで3回目となる。統計的法則を持ち出すのが好きなファンは、このパターンが出てきたことで「犬夜叉」があと1年余りで完結するという推論を展開することになるかもしれない。

 最初は1985年の47号…。「犬で悪いか!!」が掲載されてから1年余りの1987年8号で「うる星やつら」は完結した。次は1994年の36号…。「1 or W」が掲載されてからおよそ1年半後の1996年12号で「らんま1/2」がやはり完結している。しかし、統計と呼ぶにはあまりにもデータが少な過ぎる。たった2件では、法則も傾向もあったものではない。(笑) ただし、絶対にありえないとは言い切れないが…。

 ただ、今回の作品も含めてそのいずれもがラブコメ作品である点は共通している。それも、いかにもラブコメを描こうとして描かれた感じの作品だ。直後のインタビューで久しぶりにラブコメを描いたという言葉が出ているのも、そういう執筆姿勢が強い自覚につながっているからだろう。周囲からは、「犬夜叉」もラブコメだろうという声が上がるかもしれないが、少なくとも高橋先生自身はラブコメという姿勢では臨んでいないということだ。本筋はあくまで別にあると…。

 さて作品の感想だが、予告カットを見たときのいやな予感が的中したというのが第1印象だった。私はかつて、「らんま」での猫の位置づけを乱馬(高橋先生自身)が嫌いな(怖い)ものと解釈し、猫拳発動の引き金を引いたのが五寸釘の連れてきた「虎」であったことから、猫拳修得の話は批判を浴びせて迫ってくる「うる星」ファンに追い詰められた高橋先生が逆ギレした話だったのではないかと考察した。

 その年の秋には虫垂炎(盲腸)になり、「らんま」の休載を余儀なくされた高橋先生…。要するに、好きな漫画が描けない状態になったわけで、それは意味的には右腕を折られたも同然と言えるだろう。この虫垂炎の原因を積もり積もったストレスのせいかもしれないと高橋先生自身が振り返っていることからして、この考察が全くの妄想とは言い切れないところが怖い…。(汗)

 そこへ、いきなり猫嫌いの少年だ…。しかも、猫を連れた少女に近寄られて木から落ち、右腕を骨折…。現在、高1で空手(格闘技)をやっている。裏の意味をまったく考えない読者にも容易に乱馬を連想させてしまうこの設定はいったい…?(汗) 表面上はいかにもラブコメらしいラブコメだし、むしろ少女漫画的でさえある。本来、軽くギャグとラブを楽しむべき作品なのだが、過去に深読みをしてきた読者には意味深に見えてしかたがない作品である。

 その意味深な部分をいちいち挙げているときりがないので省略するが、結局行き着く大事なポイントは結末の部分だ。猫のことでいろいろとあったが、かつての事件以来疎遠になっていた2人が再び接近し、触れ合うようになれたという事実が大きいのである。猫の虎千代と飼い主の美弥、それに対する猫嫌いの少年・周太の関係をファンと高橋先生の関係に置き換えた場合は特にだ…。今後のことを考えると、実にうれしいハッピーエンドになっていると言えるだろう。

 この場合、美弥がファン全般を示す存在で虎千代は純粋に「批判」や「攻撃」を示すものと捉えた方がいいかもしれない。私は、高橋先生がファンの前に直接姿を見せなくなってしまったのは、かつてのファンによる批判や攻撃と無関係じゃないのではないかと考察している。この作品の冒頭の事件から2人が疎遠になった経緯というのは、それと非常に似ているのではないかと感じたのだ。

 しかし、結局この2人は今回のエピソードで再び接近し、触れ合えるようになった。この結末というのが、今年、15年ぶりにサイン会が開かれ、夏のイベントにも本当に久しぶりに生出演して、高橋先生とファンとの距離が一気に縮まった昨今の状況を投影したものに見えてしかたがないのだ。だとすれば、虎千代が成仏して今後も2人の接近した関係が保たれることが予想されるこの結末は、ファンの将来にとって喜ばしい予言となりうる。

 果たしてこんな読みが正しいかどうかわからないが、結末に明るいものが見えたことで「いやな予感」は払拭された。単純に読めないなりにも、ホッとできる作品になってよかった。これが逆だったら、悲劇だったが…。(汗)

 14日の朝方、るーみっくファンとしては大先輩にあたる知人からメールを受け取った。自分のHPに掲載した即売会に関する考察を読んで感想を述べて欲しいらしかった。早速、メール内に記述されたURLへアクセスして内容を読んでみたのだが、ちょっと無視できない問題が発生してきていることに頭をかかえることになった。

 要するに、最近の若い女の子の即売会参加者の中にオヤジアレルギーが表れはじめているというのだ。「むさいオジサンのいるサークルはいや!」という言動が実際にあったらしい。ばりばりのオジサンである私にはとても無視して通れない問題だ…。(汗) 確かに気持ちはわからなくもないが、オジサンの側が何かしたわけではないので、それだけで排除されてしまってはちょっとたまらないというのが本音だ。年齢的に本当のオジサンであるならともかく、本当は若いのにフケたオジサン顔の人はもっとかわいそうだ。(笑っちゃいけないが…。笑)

 これは感覚的なもので、理屈じゃないだろうから、くどくど諭したってはじまらないだろう。しかし、逆に男どもが「かわいくない女の子の売り子や客はパスだ!」とか言ったらどう感じるだろう? 結局はそれと同じことなのだ。そういう女の子たちには「犬夜叉」の地念児の話をもう1度じっくりと読み直して欲しいと思う。それに、即売会に来るオジサンより高橋先生のが年上だという事実も忘れないで欲しいぞ。(笑)

 15日、前日の考察の感想をメールにするので時間を費やした。まあ、若い女の子のオヤジアレルギー解決法自体は考えても無駄だと思うが、即売会という場の今後については、それに関わる人たちでじっくりと話し合ってみたい。そんな気持ちになった…。さしあたっては、呪泉郷端展示即売会とるみけっとということになるわけだが、お互いの役割や縄張りを決めるとかそんなレベルの話ではなくて、もっと大きなレベルの今後について意見を交わしてみたいなと…。実現するかどうかは未知数だが…。

 16日、久しぶりに神保町に出てみた。ここのところ、お宝探しはもっぱら渋谷と中野だったから本当に久しぶりだ。収穫はあまり期待してなかったのだが、思いもよらぬ収穫があった。まず、行きつけの店でみつけたのが「らんま」の主題歌「じゃじゃ馬にさせないで」の17cmシングルレコードだ。CDシングルではないぞ。アナログ音盤だ!

 当時、自分も最初からCDシングルで買ってしまったので、その存在をまったく意識したことがなかったから、これはちょっと珍しいものを見つけたという気持ちになった。当時の定価は税込みで640円だ。消費税がついてジャケットにバーコードの入ってるレコードというのもある意味で珍しいかもしれない。定価の3倍強の値段がついていたが、思わず買ってしまった。(汗)

 続いて普段なら寄らない店にも足を運んでみた。そこは値段の高い店だし、掘り出し物があっても洒落にならない値段だろうとたかをくくっていたから、見るだけのつもりで寄ったのだが、本当に掘り出し物があったからびっくり! しかも、意外と安い値段で…。

 掘り出しものというのは、「らんま」のポスターである。絵柄は単行本2巻のPART8「恨んで当然」の扉絵からの流用で、あとから色をつけたものだ。デザインもさっぱりしているし、それほど見栄えのするポスターではない。が、何といってもそれが自治省・都道府県・市町村主催、財団法人日本宝くじ協会協賛の緑化関連のキャンペーンか何かのポスターであるというところが珍しい。

 以前、どこかで聞いたことがあったような気がしたが、実際に見るのは初めてだった。値段を見ると珍しいわりには安かったので、即決で買った。これは本当に収穫だった。帰宅してから早速資料を調べてみたのだが、過去の同人誌関係の資料を見てもどこにも載ってない。そんなに珍しいものなのか? しかし、そのわりに安かったのが気になる。とりあえずデジカメで撮影し、翌日、時計坂通信社のMLで尋ねてみることにした。

 また、この日は中野でも収穫があった。まだ持っていなかった「らんま」のタペストリーとすでに持っていたが今度はちゃんと展示用のポールまでついた「らんま」の書店用のぼりとのれんだ。これで以前から持っていたポールのないのぼりとのれんは、いずれプレゼント用に放出することになるだろう。るみけっとあたりがいいかな…。(こうやって、餌をまいたりして…。笑)

 17日、前日手に入れたタペストリーをデジカメで撮影し、裏・高橋留美子*ぷち資料館に加える作業をした。その他にも、少し前に入手していたテレカとめぞんの吊り広告用ポスターを追加する。さらに、るみけっと専用掲示板の設置準備作業を行った。まだ代表に相談してないので、オープンは少し先だが、少しずつ盛り上げていくためにも必要だと思う。対応はちょっと大変になるかもしれないが…。(汗)

 続いて高橋留美子漫画作品一覧に「with CAT」を追加する作業にかかったのだが、解説文がうまく書けずに作業が止まってしまった。書けないというより、書きたいことが多すぎて収拾がつかなくなってしまったのだ。今回の「気まぐれモノローグ」の感想を読めば、どういうことが書きたかったのかよくわかると思うが、かなり抑えてあれだ。本当に書きたいだけ書いたら、コピー本の1冊もできてしまうだろう。(笑)

 その行き詰まりと前日のお宝探しの疲れも重なってか、夕方には猛烈な睡魔に襲われ、1時間半ほど寝てしまった。夜になっても結局解説文は書けなかったが、今度は眠れずにF1グランプリやそのあとのサッカーの試合まで見てしまった。翌朝、ひどい睡眠不足でつらかったのは言うまでもない。(汗)

 18日、睡眠不足を抱えて出勤した。昼休みから「気まぐれモノローグ」の原文を書きはじめたが、やはり「with CAT」の感想の部分で引っかかってしまった。どうしても長くなってしまう。帰宅後もいろいろと頭をひねってみたのだが、前夜の睡眠不足もあって長時間持たない。もう、あっさりあきらめて寝るしかなかった。(汗)

 19日、昼休みにようやく泥沼から抜け出した。帰宅後、「気まぐれモノローグ」の残りを書き上げて、ここの更新作業だ。結局、高橋留美子漫画作品一覧の方の解説文は書けず、とりあえず年表にページ枠だけ追加することにした。

 というわけで、けっこうネタの多かった1週間なのだが、どうも精神的には低調だった。中でも重いのが、若い女の子とオジサンの共存は、やはり難しいのだろうかということ…。見た目や実年齢だけで判断せず、せめて本を読んでから評価してもらいたいものだと思うのだが…。(その考え自体、もう古いんだろうか…。汗)

 うまくオジサンを利用すると、貴重な知識やちょっとしたお宝グッズが手に入ったりすることもあるのだが…。なんとかとオヤジは使いようってね。(おいおい…。笑)

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