飛鳥杏華の気まぐれモノローグ

<1999年>

10月12日(火)

 呪泉郷端展示即売会3は盛況のうち終わり、まずはお疲れさまの一言に尽きる。それはよかったのだが、私がここで書いたことがちょっと誤解を招いて、スタッフその他の方々に不愉快な思いをさせてしまったらしい。申し訳ないことをしてしまった…。(汗)

 6日、「犬夜叉」のラブコメ路線は、思ったよりもすんなりと静かに終息した。かごめの友達が犬夜叉を悪く言えば言うほど、かごめの気持ちは犬夜叉へと向かっていく。今回はめげない北条くんの性格も一役買ったようだ。「そばにいてあげるわよ。」という言葉は半分強がりで、実はかごめ自身も犬夜叉のそばにいたいのだ。この辺は以前、犬夜叉が「そばにいて欲しい…」と言ったのと呼応させているのだろう。きれいに閉じている。見事だ…。

 それはさておき、終息にあたってかごめが「自分があやまれば一緒にいられる…」という考えに向かったところにちょっと注目したい。いまどきの女の子はこんな考えになるのだろうか? そういう娘もいるにはいるだろうが、もっと自分中心で自己主張の強い娘が多いように思う。男女交際でも、最近は男の方が女の子の顔色をうかがってあれこれと気を遣いながら行動する傾向が強い。あまり、自分が1歩引いてという行動をとる女の子は少なくなっているのではないかと思う。

 私は何も最近の女の子の傾向を高橋先生がわかってないと言いたいのではない。むしろその辺に、少し古い世代である高橋先生自身の性格が表れているのではないだろうかということが言いたいのだ。かつての平井和正氏との対談でも、男女の関係においては「どうしても女である自分が1歩引くことになる。」という考えの持ち主であることを披露していた。

 あっけらかんとして開けっぴろげないまどきの女の子は遊び相手なら悪くはないが、高橋先生と同じ世代である私としては、ちょっと引いてくれる部分を持った人に魅力を感じたりする。遊びなら対等でいいけれど、落ち着くなら癒してくれる女性の方がいい。男のわがままと言われればそれまでだが、癒されることで、逆に男もやさしい気持ちになれる…。だから私はかすみおねーさんが好きなのだが、今回のかごめは、その癒しのオーラに満ち溢れていた。

 犬夜叉があやまったのが目覚まし時計を壊したことだけだった(実はそれは口実で、心の中では疑ったことも誤っていたのではないかと私個人は思っているが)とわかっても、そこで切れずに外側から包み込んでしまった。自分が一緒にいたいからという気持ちも強かったのだろうが、かごめがこういう姿勢を見せたことで2人の絆は強まったと言えるだろう。休息的な展開の中でもさり気なく伏線を敷くところがさすがだと思う。次はどんな展開が待っているやら…?

 それはそうと、サンデーの次号予告にいよいよ高橋先生の読み切り作品の予告が載った。新作のタイトルは「with CAT」。ぶよに似た感じのあまりかわいくない猫が描かれている。連載作品の「犬夜叉」に対して「猫といっしょ(ほとんど直訳)」という対応も面白いものがあるし、「らんま」での猫の位置づけを考えると、また妙に勘繰りたくもなってきてしまう。よりによって、この猫は虎猫だし…。(汗) まあ、あまり先入観にとらわれず、感想は読んでからにしようと思うが…。

 さて、この日は帰宅するとダッシュで新刊の受け取りに行った。まずは本の出来が気になる。だが、包み開けてみて落胆した。表紙の用紙選択がよくなかった…。入稿のとき、最初はサーブル(スノーホワイト)にしようと決めていたのだが、その場で印刷所のおねーちゃんが「こっちの方が(1部あたり)5円安いですよ。」言うもので、ついマーメイド(スノーホワイト)の方にしてしまったのだ。

 用紙見本の短冊は単語カードほどの大きさだ。それで比較したときは大して違わないように思えたのだが、本になってみると全然違う…。サーブルの手触りのなめらかさがマーメイドには全然なく、ごわごわとして硬い…。いかにも安っぽい出来になってしまった。印刷インキの色も、もう少し濃い色にすべきだった。うーむ、200冊で1000円しか違わないのに判断を誤った…。これからは値段に惑わされず、自分の信じたもので押し通そう。

 その落胆の気分転換も兼ねて、もう1枚の色紙に別のアングルの絵で下描きをした。こっちの絵はまずまずだと思う。これにペン入れをしてから、前の色紙で色塗りの練習をし、土曜日には何とか仕上げたい。まあ、そんなに時間はかからないと思うが…。

 7日、帰宅後、まず2枚目色紙のペン入れをした。続いて1枚目の色紙のキャラに色を塗ってみた。だが、ほとんどぶっつけ本番だから失敗が多かった…。まず、肌の色のコントラストがきつすぎた。男性キャラだし、もう少し明るい部分の色を濃くすべきだった。髪の光の入れ方と入れる位置も失敗だった。2枚用意しておいてよかった…。

 背景の色塗りも失敗が怖い。というより、背景の方が失敗する危険性が高いと思う。キャラの絵がうまくできたのに、背景で失敗したら泣くに泣けない…。そういう意味では、1枚目を完全に練習台にできることになったので助かったとも言える。そう前向きに考えることにしよう。自分の腕が未熟なのは、ちょっと置いといて…。(笑) 

 8日、帰宅するとすぐにまず2枚目の色紙に色を塗った。前日の失敗を活かして、キャラの部分はまずまずの出来となった。ちょっと肌の陰が暗かったような気もするが、たくましい男性キャラなのだし、ちょっとぐらい浅黒くてもいいだろう。北海道(実は沖縄)で修行したあとだと思ってもらえば…。(笑)

 今のでわかったと思うが、今回の色紙の絵柄は良牙くんだ。「らんま」の男性キャラではいちばん好きだし、描き慣れてもいる。本当に打算的に狙うなら男乱馬だろうが、それは他の作家が描いているだろう。良牙くんファンの期待に応えて、良牙くんで攻めてみる奴がいてもいいのではないかと思ったのだ。逆に期待を裏切ってしまう危険性もあるが…。(汗)

 9日、午前中に色紙の背景を塗った。まずは1枚目で練習だ。最初、背景は赤系統にするつもりだった。キャラの部分に誤って色を塗らないようにトレーシング・ペーパーを貼ってマスクをし、慎重に塗ってみる。しかし、あまり具合がよくなかった。どうしても勢いよく塗るとトーレシング・ペーパーの端がめくれてキャラの端まで塗ってしまう。思ったより難しかった。

 色の選択も、実際に塗ってみるとよくなかった。キャラが沈んでしまう…。むしろ、ライトグリーンの方がきれいだろう。ということで2枚目の方は色を変え、あえてトレーシング・ペーパーを使用せず、先にキャラの周囲を丁寧に塗ってから外に向かってCOPICを走らせた。これは概ね成功したが、ちょっとキャラにかかって髪の黒がブラシの先についてしまい、背景に黒い汚れができてしまったところが残念だった。が、まあよしとしたい出来だった。

 午後は、持っていく本の整理だ。「Yesterday and Today」の1冊1冊に手書き修正を加え、おまけの公式ガイドブックを製本する。それが終わったところで、「るみけっと」の特報チラシを作成。あと、たまにペーパーが欲しいという女の子がいるので、飛鳥鳳凰堂の通販のお知らせ(改訂版)を10枚ほど作成した。これで準備完了、あとはイベントに臨むのみだ!

 10日、呪泉郷端展示即売会3の会場である豊島区民センターには、サークル入場開始時刻の9時半に到着した。まず、会場内に入って目についたことは、スタッフのコスプレ…。個人的になのか意識してスタッフがコスプレするようにしたのかはわからないが、雰囲気の盛り上げという点ではいい。特に、若い人が多い最近の傾向を考えると、非常に効果的だと思う。しかし、サークルの準備時間は正直言ってちょっと短くて苦しい…。結局、準備が整わないうちに一般入場開始になってしまった。(汗)

 まあ、そこまではよかったのだが、開場してまもなく大きなショックを受けることになる。どうも私が以前、この「気まぐれモノローグ」に書いたことが誤解されて伝わり、私が呪泉郷端展示即売会を批判したと受け取られて、スタッフその他の方々に不愉快な思いをさせてしまったらしいことを聞かされた。

 それは多分、9月10日の記述だろう。今回の参加申し込みで抽選があったことについて、サークル参加者の1人として今後の要望を述べた部分だ。自分としては、「やたらなことは言えないが…」と前置きするなどして精一杯配慮したつもりだったのだが、文体が堅い「である」調だということもあってか批判と受け取られてしまったらしい。

 私は主催者とも知り合いだし、ずっと応援もしてきている。ここで毎週のように即売会の名前を出しているのも、知名度を高め、ここを訪れるファンの注意を喚起して、少しでも入場者が増えてくれるようにさり気なく広報の支援をしているつもりだった。けなすつもりなら、もっと辛辣な言葉を並べたてているだろうし、その即売会に間に合うように新刊を作ったりなどしない…。

 私はむしろ心配だったのだ。抽選で落ちたサークルがあること自体残念だという気持ちも強いが、その落とされた人たちが即売会に対してマイナスのイメージを持つ危険性を案じたのである。人相手の不満や不評は、友人や同人仲間など横のつながりを伝わって広がっていく恐れがある。今後も即売会を続けていくことを考えると、そういう対人的リスクを抱え込むのは得策ではないんじゃないかと言いたかったのだ。

 同じようなイベントの運営に関わる者として、同じリスクを背負うなら「充分広い会場を用意したものの、参加者が集まらずに経済的損失を受けるリスク」の方が、程度問題はあるにしろずっとマシだと思ったし、純粋にサークル参加者の1人としてもそう要望したかったのである。あえて、同じようなイベント運営に関わる者としての立場から書かなかったのは、そういう忠告めいた書き方をすると何だか偉そうだし、相手を見下してるように思われるのがいやだったからで、あくまでサークル参加者の1人からの強い要望というかたちに止めたのだ。

 自分としてはそこまで配慮したつもりだったから、「うるさい忠告」とか「余計なおせっかい」と思われるならまだしも、「批判」とか「バカにしている」と受け取られてしまったのはこの上ないショックだった。とはいえ、そう読み取った人がいたのは事実なのだし、それはやはり自分の書き方が至らなかったのだと認めるしかない。事実は事実としてしっかり受け止めなければなるまい。結果として、呪泉郷端展示即売会のスタッフや支持者の方々には大変申し訳ないことをしてしまったことになる。この場を借りてあやまりたい。

 ただ、自分の気持ちは上に述べたとおりだ。それはわかってもらいたい…。以前、「批判」と受け取った方は、これを読んだあとでもう1度9月10日の記述(9月14日分/懐古館に移動済み)を読み返してみて欲しい。私は、自分と同じるーみっくファンが楽しめる場を提供することが好きなのだ。

 それと、かなり誤解している人がいるようなのだが、私はるみけっとの主催者でも準備会の代表者でもない。準備会の代表者は一刻会会長の古屋一雄氏だ。スタッフになるのは確実だと思うが、現在はあくまで、積極的に広報の手伝いをしている存在にすぎない。その私の発言で、呪泉郷端展示即売会のスタッフや支持者がるみけっとに対して悪い印象を抱いてしまったとしたら、るみけっとに対しても大変申し訳ないことをしてしまったことになる。

 このダブルのカウンターパンチで、午前中ははっきり言って即売会に集中できる精神状態ではなかった。自ら本を買いに出る気にもなれず、ただポツンと座っているのがやっとだった…。そんな私の精神状態とは裏腹に、即売会は昨年をはるかに上回るにぎわいを見せていた。客層は若い女の子の比率が格段に高くなったし、サークルも女性主宰のサークルが圧倒的だった。コミケのジャンルが移動したのも、こうした状況を踏まえてのことなのだろうか?

 そうしているうちに徐々に自分の本も売れ出し、ようやく昼頃には気持ちも落ち着いてきて、買いに出る余裕ができた。売り子を友人に頼んで1回りしてみたが、夏コミから2ヶ月弱だというのにかなり買い込んでしまった。結構、この即売会合わせで本を出してきたサークルが多かったようだ。この状況をみても、サークル参加者たちがいかにこの即売会を楽しみにしていたかがわかる。

 また、先週の「気まぐれモノローグ」で、つい先日までの感覚で「長くてストーリーや構成のきっちりした漫画を描く人は、残念ながら数えるほどしかいない。」などと書いてしまったが、これもあやまらねばなるまい。正直、描ける人がぐんと増えていたのに驚いた…。これはいよいようかうかしてられない。絵では勝負できないから、自分にしか描けない作品、思いつかないようなネタでより特徴を出していかなければ生き残れない…。若い人の伸びはあなどれないのだ。(汗)

 それはプレゼントの色紙についても同じで、私自身、今回はかなりいい出来だから結構投票してもらえるだろうと思っていたのだが、並んだものを見てみるとレベルが高い…。(汗) リベンジを果たしたとは言い難いと思った。それでも、私の色紙を当てた女の子がかなり喜んでくれたので救われた。そうやって喜んでもらえるのが何よりだ…。

 色紙の抽選のあと、手締めをして即売会は終了した。売れ行きもそこそこいってくれて、帰りの荷物が軽くなって助かった。私は一刻会の面々とカラオケに行き、夕食前に帰宅した。大して動いてないはずなのだが、かなり疲れていた。もうこのときには、ショックから立ち直っていたが、肉体疲労が激しかったので夕食までベッドに横たわっていた。

 ちょっとウトウトしたところで呼ばれ、食事のために階段を1歩踏み出したそのとき…、やってしまった!(汗) 左足のふくらはぎ、肉離れだ…。一昨年に比べたらお話しにならないくらい軽いが、間違いなく肉離れの痛みだ。いつも起き抜けの第1歩や階段を下る第1歩には気をつけていたのだが、それでも来てしまった。うーむ、どうもこの日は最後までついていなかったようだ。(汗)

 11日、足の様子をみてから一刻会の高橋留美子バースデー集会に参加すべく豊田に向かった。筋肉の張りと痛みはあるが、サポーターをすれば何とか普通に歩けたので参加を決めたのだ。ところが、到着してみると何とも人数が淋しい。イベントがかち合ったりしたこともあるし、即売会のあと1日ゆっくり休みたいということもあったのだろう。まあ、しかたのないところだろうか?

 ここ数年の傾向どおり、この集会は個人戦のクイズ大会だ。ただのクイズだと知識のある人がどうしたって強いので、いつもゲーム的要素をからめる。今回は白地図を使っての国盗りゲームだ。まずは、東京大会からスタート。しかし、問題が一刻会の歴史に関するものだったので、私が圧勝してしまった。(汗) つい先日まで「友菱SS100」の編集をしていたのだから強くて当然だが…。(笑)

 後半はるーみっく問題となり、白地図は関東大会にグレードアップだ。ここでつい目先の幸せに走って国盗りゲームで失敗した。たった3市町村を押さえれば房総半島を制圧できるので、ついそこに走ってしまったのだが、そのうちに神奈川を制圧されるわ、群馬と栃木を制圧されるわで、このゲームでは負けてしまった。総合では何とか優勝できたが、賞品はみなさんの温かい言葉だけだった。(笑)

 12日、まだ足の具合はよくないので、サポーターをして出勤した。帰宅後はもうここの更新にかかりきりだ。新刊の「FREE AS A BIRD」の通販も開始するから更新箇所も多いし、この「気まぐれモノローグ」も長くなってしまった。

 さて、いよいよもう冬コミに向けての追い込み時期だ。ほんとに休みなしで迫ってくる。これで来年、るみけっと合わせで本を作るとなったら、年中ヒマなしになってしまう。でもまあ、それがまた楽しいんだからしかたないか…。できれば、こんどは誤解など招かないようにして、晴れ晴れした気分で即売会に臨みたいものだが…。

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