飛鳥杏華の気まぐれモノローグ

<1999年>

6月15日(火)

 6月も半分が過ぎてしまった。執筆の方はあまり進まない…。その一方で、「犬夜叉」は毎回のように予測を裏切り続ける展開…。何とも心地よい裏切りだ。ちょっと先が見えてしまったように思える部分が出てきた点が気がかりだが、これからもいい意味で裏切り続けて欲しいものだ。(笑)

 9日、「犬夜叉」だが、高橋先生はどこまで予測を裏切り続けてくれるのだろう? 確かに前回、桔梗が本当にかごめを殺そうとしたのかどうかについて、疑いを持っていた。しかし、それはどちらかといえば希望的側面が強くて、そういう方向に行ってくれる確率は低いと思っていた。それでも、3割くらいはあって欲しいと期待してはいたが…。(笑)

 今回の展開は、表面だけ見れば桔梗がかごめを殺そうとしたように見えるかもしれない。かごめ自身もそう感じているし、犬夜叉も状況からそうじゃないかと感じている。「おまえは私だ… この世に在るのはひとりだけでいい…」という台詞は、自分の方が残り、かごめには消えてもらうというふうにも受け取れる。しかし、それは恐らく裏返しなのだ…。

 駆けつけた犬夜叉に、自分は四魂の玉をもらっただけと言う桔梗…。表面的には犬夜叉に対する言い訳に聞こえる。だが、これも本当なのではないかと私は思うのだ。四魂の玉が悲劇を繰り返させているのだとすれば、それを持つものは必ずまた悲劇に巻き込まれる。残りのかけらを集めるにあたっても同じことだ。常に玉を手に入れようとする者から狙われる。

 ならば、その危険は奈落に背負わせてやればいい。思い切った発想の転換だ。そして、奈落が四魂の玉を集め終えたところで、桔梗自らの手で地獄へ送ってやるというわけだ。桔梗のこの言葉が出たことで、桔梗はかごめを殺そうとしたわけではなかったのだと私は確信したのだ。

 いかに桔梗とはいえ、四魂の玉で真の妖怪となった奈落を地獄へ送るのは、そうたやすいことではなかろう。桔梗は奈落と…、いや、四魂の玉と刺し違えるつもりなのかもしれない。いまわしい悲劇の繰り返しを断ち切るために、四魂の玉もろとも地獄へ落ちようと…。

 つまり、「この世に在るのはひとりだけでいい…」という台詞は、かごめに消えてもらうという意味ではなく、暗に自分の方が消えることを示唆した台詞だったのではないかということだ。そのために、四魂の玉をかごめから取り上げた…。この危険は自分が背負うと…。桔梗はむしろかごめを救おうとしたとも考えられるのだ。

 四魂の玉を取ったあと、地割れに落とそうとしたではないかと言うかもしれないが、考えてみれば四魂の玉が取れる位置まで、桔梗はかごめを崖っぷちまで引き寄せている。崖っぷちにしがみつけるのは計算済みだったとも考えられなくはない。いずれ、犬夜叉が助けに来ることも…。 本気で殺す気なら、もっと地割れの中央まで運んで確実に落としてやればいいのだから…。

 桔梗は、愛することも憎むことも、あの頃よりずっと自由だと言う。表面上、愛することとは犬夜叉を愛すること、憎むこととはかごめを憎むことのように感じられるかもしれない。しかし、これも裏返しと考えられる。憎む相手は奈落…、いや、鬼蜘蛛と呼ぶべきか…。

 かつては、巫女としてどんなに悪人であっても、大やけどを負って動けない鬼蜘蛛に対して慈悲をもって接しなければならなかった。妹の楓のように、素直に嫌悪感を示すことができなかったのだ。だが、今は素直に憎むことができる。地獄へ送ってやるという気持ちになれるわけだ。

 妹の楓から奈落のことを聞き、かつて自分がそうしたかったように、かごめが犬夜叉を変えてきている事実を知った桔梗…。しかし、それでも割り切れないのではないか? たとえ、自分の生まれ変わりであっても、自分以外の女が犬夜叉に愛され、犬夜叉の心を癒しているという事実を認めることができないのではないかと思っていた。

 だが、それは我々が単にそう思い込んでいただけで、実際には再度登場するまでの間のことについては何も描かれてないのだ。その間に、かごめと犬夜叉に対する桔梗の気持ちがそういう方向に変化していた可能性がないとは言えない。成仏させようと試みた晴海を殺し、妹のように可愛がっていた小夜を捨ててまで犬夜叉を地獄へ引きずり込もうとした桔梗からは、ちょっと想像できない変化ではあるが…。

 ただ、解決の糸口が見つからず、泥沼かと思われた三角関係が、桔梗があの言葉を出したことで、先が見えてしまった感があり、ちょっとこれは…という気がしてしまう。ここでそれを見せてしまうのはどうだったろう? 個人的には、桔梗の考えはすべて謎のままで進めて欲しかったと思う。

 もちろん、それをハッキリとは悟らせないために、高橋先生は煙幕を張っている。表向きは桔梗がかごめを殺そうとし、奈落に加担したかのように見せかけたり、桔梗の意味深な台詞を使ったりして…。だが、読める人にはあの言葉で読めてしまう。そこからさらに裏切りがあるとすれば、期待したいところだか…。(笑)

 さて、この日は帰宅後、自分の本の漫画の下描きを1ページ進めた。これで、4ページ…。何とか6月中にはペン入れに入らないとまずいのだが、非常にやばいペースだ。どうしたものか…?(汗)

 10日、16時半過ぎからまたバンド演奏だ。7月に退職する幹部の送別会なのだが、今回の会場は体育館だった。プロのバンドとは違うから、当然、ちゃんとした音響設備など用意してもらえない。ただでさえ、広くて音が上に抜けてしまって聴こえないのに加えて、残響が長いからリズムがつかみにくい…。散々な結果となった。(汗)

 演奏後は、飲みに繰り出した。先週の演奏のあとは一刻会会報の原稿がやばかったため、誘いを断ってしまったから、この日はとことんつきあうことにした。が、午前1時近くまで飲むハメになるとは思わなかった。(汗)

 電車がなくなっても、歩いて帰れる場所で飲んでいたからまだいいのだが、帰宅後に少しでも進めようと思っていた作業は何もできなかった。まあ、しかたないことだが…。(汗)

 11日、帰宅後は、友菱SS100の原稿の整理をした。組み合わせてページを作る原稿について、必要な部分の切り抜きとコーナー別の分類作業だ。何しろ数が多いから大変である。1人ではたまらない作業だが、これができないと次回の編集が進まなくなる。結局、午前3時近くまでかかって、半分もできなかったが…。(汗)

 12日、この日は朝から自分の本の漫画の下描きだ。並行して犬夜叉ML本「犬道楽」の原稿のペン入れも行った。が、進み具合は芳しくなかった。下描きの方は4ページ(計8ページまで)、「犬道楽」の原稿はベタの途中までだ。

 深夜に入ってからは、友菱SS100の原稿整理を少しでも進めるべく作業をしたが、午前3時近くになると、もう睡魔で気力が続かなかった。こうなったら、この切り抜きと分類の作業も翌日の現場でやるしかないと思った。そこで、それをやってもらうための段取りを整える方に作業を切り替え、まもなく床に就いた。

 13日、友菱SS100の編集のため、豊田へ出向いた。今回の編集会場はいつもと違う場所で、社交ダンスでもやるような板張りのホールだった。ピアノも置いてある…。そこに机を並べて編集を始める。ただし、冷房がなかったのはつらかった…。(それこそ、汗)

 まずは、前回採り忘れた原稿の採り直しとコピーし直しからスタートし、創刊号から24号までのコピー誌時代の「友菱」から必要原稿を採取する作業を行った。他の編集メンバーにそれをやってもらってる間、私は前回までにオフセット誌から採った原稿の切り抜きと分類作業を続けた。

 それらが終わったところで、コピー誌時代の採用原稿から1ページものを貼り込む作業をし、続いてコピー誌時代の組合せ原稿の切り抜きと分類作業を行ってこの日の作業を終わりにした。いろいろと並行してやっている関係で、どうもすべてが遅れ気味になっている。やはり、ちょっと手を広げ過ぎなのだろうか?(汗)

 14日、帰宅するとコミケの当選通知が届いていた。やっぱり、これが届いてはじめて当選したという実感がわく。とはいえ、5回連続となるとさすがに感激は薄れるし、最近ではほとんど落ちる気がしない。こう書くと傲慢に聞こえてしまうかもしれないが、それだけの責任を求められてるのだという自覚がある。それ相応のものを次も出せと…。

 もし、落ちるとしたら、本を落とした次の回だろうと思う。責任を果たし続けているかぎり、出す本がそこそこ安定して売れているかぎりは大丈夫なんじゃないだろうか? そんな感覚を持っているのだ。こんなことを書くと、早速次回、落とされるかもしれないが…。(汗)

 この日は、ちょっと酒が入っていたので、とりあえず犬夜叉ML本「犬道楽」の原稿のベタだけ完了させるに止まった。ちょっと根性なしかも…。(汗)

 15日、帰宅後はここの更新作業だ。最近、アクセス数のペースが上がっている。やっぱり、「マンガ夜話」を読んで見に来てくれた人が結構いるのだろうか? そんな時期に、執筆苦で「気まぐれモノローグ」くらいしか更新できないのは心苦しいのだが、毎週きっちり更新してるというサイトが少ないことを考えたら、結構がんばってると言えるのかもしれない。

 これから約1ヶ月、修羅場が続くことになるが、しばらくこのままおつきあい願いたい。そのうち何とかなるだろう…。(おいおい。笑)

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