飛鳥杏華の気まぐれモノローグ

<1999年>

5月25日(火)

 いよいよ、夏へ向けての執筆が始まった。とはいっても、すでに昨年より1ヶ月は遅れている。あまり多くは描けないだろう。ゲストへの依頼も全然してないから、これから依頼するとしてもあまり期待はできない。今年はできても薄い本になりそうだ…。(汗)

 19日、「犬夜叉」だが、このところ予測がはずされっぱなしだ。だが、安易に予測できてしまうよりは、その方がずっとおもしろくていい。前回のラストから、さらわれたと見せかけて、桔梗が奈落を利用するような展開になるのかと思った。桔梗が犬夜叉と蠱毒との合体を回避するためにより確実な方法をとらず、あえて封印を解いて蠱毒を外へ逃がしたのは、その先にいる者(奈落)を利用するために意識的にやったことではないかと…。

 確かに意識的ではあったようだが、桔梗は利用することまでは考えてなかったようだ。とにかく、蠱毒の逃げる先に何があるのか確かめたかったらしい。実際、死魂を運ぶ死魂虫は奈落の張った結界に阻まれて、桔梗は体を動かすことができない。この状態では、利用されることはあっても、奈落を利用することはできないだろう。結局は、最初に予測した展開に戻ってきたという感じだ。

 もっとも、本当に利害が一致するなら、利用されてると見せかけておいて奈落のサポートを受け、犬夜叉とかごめの引き離しを図ることはできる。桔梗がそこまで考えているとすれば、大したものだ。というか、この二人を比べたとき、私は桔梗の方が格上に思えるのだ。奈落は確かにここまでは敵方のボス的存在だが、どうも器が小さく思える。ゲームで言えば、中ボスという感じだ。

 「犬夜叉」という作品において、最後まで解決できない問題として残るのは桔梗のことだと思う。犬夜叉が自分の気持ちに決着がつけられない以上、解決することはないのではないかと思うのだ。そういう意味では、桔梗こそ最後の大ボスなのかもしれない。(汗)

 さて、この日も帰宅後は、ほとんど何もしないまま終わってしまった。このところ、こういう日が多い…。執筆開始直前によくある現実逃避状態であることは、自分でもわかっているのだが、なかなかそこを乗り越えて執筆に入っていけないのだ。これまで表面には出さずにいたが、今年はプライベートな面でもいろいろと精神的に落ち着けない状況が続いていて、それも多分に影響していると思う。その割には好き勝手やってると言われるかもしれないが…。(汗)

 20日、状況は前日とまったく変わらない。プロ野球中継を見て何となく時間を過ごし、風呂に入って、メールをチェックして寝るだけだ。ある意味では普通の生活なのだが、飛鳥杏華の生活がそれでいいはずがない。(笑) 何かるーみっくに関わる活動をしていてこそ飛鳥杏華なのだ。しかし、何かしなくてはという気持ちがあせりとなって、余計ドツボにはまってしまうこともよくある話で、その辺のバランスは非常に難しい。どうしたものだろう…?(汗)

 21日、この日もまた同じように終わろうとしていた。と、名古屋で即売会を担当している一刻会会員の1人から電話が入った。るみけっとの新しいチラシについての相談だった。とりあえず決まっているのは、4月23日という日程と損保会館という会場の候補だけだ。あとはまだ何も決まっていない。それを伝えるだけでも意味はあるのだが、そろそろ具体的な予定の線引きをしなければまずいだろうという話になった。

 そうはいっても、私がるみけっと準備会の代表というわけではない。代表の考えも聞かなくてはならないし、勝手な推測だけで事を進めるのはよくない。夏までは友菱SS100と自分の本で手いっぱいの状態だから、私が中心となって動くこと自体、ちょっと無理がある。かといって、周囲を見回しても自分から動いてくれる人材が東京近辺にはいない。

 その辺が何とも歯がゆいし、自分自身が動けないだけにイライラが募ってしまい、本来、当たるべき相手ではないのに、つい電話の応対口調もつっけんどんになってしまう。(汗) しかし、彼らはよくやってくれている…。東京で行う即売会の仕事を名古屋の連中に振るのは何ともなさけない話なのだが、とりあえず既存の即売会での広報は、当面彼らに任せるしかないだろう。

 そうしたことも含めて、友菱SS100の編集後の食事の時間にでも、そろそろ「るみけっと」について具体的な話をしなければという気持ちが強くなってきた。できれば、なるべく早く動ける人材を集めたいところだ…。なかなか「できる」奴は見つからないものだが…。(私自身、「できる」奴ではないし…。汗)

 22日、もうはじめるとしたらこの日しかない。ここではじめられなければ、今年の夏は本を出せないだろう。ということで、ようやく重い腰が上がった。すでに昨年より1ヶ月も遅れている。ゲストへの依頼も一切してない状況では、20ページちょっとの本が限界だろう。しかし、何も描かないでごめんなさいというわけにもいくまい。早速、昨年の冬に描きかけた絵コンテを完成させようと準備に取りかかった。

 ところが、いきなり壁にぶち当たってしまった。昨年の冬まで使っていた絵コンテ用のノートが見つからないのだ。(汗) 部屋の中がごちゃごちゃだから、掘ればどこかから出てくるだろうと片っ端からひっくり返してみたのだが、見つからない…。時間ばかりが過ぎてゆく…。おかげで、午前中はまるまるつぶれてしまった。

 これ以上探しても、いたずらに時間を浪費するばかりだ。こうなったら、涙を呑んで描き直した方が早い…。しかたなく、新しいノートに扉絵から記憶を頼りに絵コンテを切り直した。だが、100%覚えているわけではない。恐らく、忘れた頃に見つかって、あとで見てみると前の方がいい出来だったりするのだ。きっとそうに違いない…。(汗) 結局、この日はスタートでのつまずきが響いて、6ページまでしか描けなかった。

 23日、朝から絵コンテの続きだ。前日までのページはすでに昨年の冬に描いていた部分だ。そこで詰まって、結局は日の目を見なかった作品なのだが、今回は何とか描き上げたい。ネタとしてはもう3年も前から考えていたものだし、これを出さないと先が出せないような気がしてならないのだ。まあ、他愛のないネタといえばそれまでなのだが…。(笑)

 ストーリーはもう完全にできあがっている。問題はページ割りとコマ割りなのだが、こいつは適当というわけにいかないから時間がかかる。作品全体に起承転結があることは誰でも知っているだろうが、作品の中にも細かい起承転結が存在する。特にギャグ作品の場合は、ネタ振りがあって、展開があり、オチがつくというパターンの積み重ねだ。そうやって徐々に盛り上げて、最後に大きなオチで締める。

 その中間の起承転結をいかにページに反映するかが大変な作業なのだ。それぞれのギャグのオチには大きさ(落差)の違いがある。その大小を判断してオチの位置を決め、そこまでの展開を考えていくのである。ごく小さなオチなら同じページの中で見えてもいい。左右見開きの右ページでネタ振りして左ページの先頭コマで落とすというのもいいだろう。中程度なら左ページの最終コマあたりで落とすのがいい…。大きなオチは左ページの最終コマで大きく展開させておいて、めくった次の右ページの先頭コマで落としてやると効果的だ。

 絵コンテとは、単に下描きの下描きではなく、そういうことを考える重要な作業なのである。いちいち絵コンテなんて切らなくても描けるよという人もいるだろうが、学生時代、いつも描きはじめてすぐに挫折していた私が長い作品を描き上げられるようになったのは、ちゃんと絵コンテを切るようになったからだ。面倒な作業だが、これから漫画を描こうという人には、ここで手を抜かないことをお勧めする。

 さて、絵コンテはこの日、13ページまで進んだ。前日と大して変わらないが、描き直した6ページと新たに起こした7ページとでは作業量が違う。できれば、16ページ描き上げたかったところだが、序盤で無理は禁物だろう。残りは翌日回しにした。

 24日、帰宅後、絵コンテの残りに取りかかる。あと3ページだったが、結構苦しんだ。で、描き上がったものを通して見ると、どうもつながりが悪い…。もともとの構想では、もっと遊びのギャグを多く入れていたのだが、今回は時間の関係もあるから本筋に関係ないギャグはことごとくカットし、2日間のできごとを1日のうちのできごとにしたのだ。そのせいだろうか? ちょっと展開が急ぎ過ぎのように見えてしまう。(汗)

 絵コンテを切り直す余裕はないから、あとは下描き段階で展開に余裕が出るように間をとるコマを配したりしながら修正していくしかなかろう。今回はこのメインの1作とショートギャグが何本か入れられればベストというところだ。本全体の雰囲気は「REAL LOVE」Vol.2に近くなるだろう。ちょっと、ゲストの参加が期待できないのがつらいところだが…。(汗)

 25日、ここの更新作業だ。執筆がはじまったから、またしばらくは「気まぐれモノローグ」くらいしか更新できなくなるだろう。まあ、これまでも同じようなもんだが、執筆状況報告ばっかりになってしまうのが、毎度のことながら心苦しい…。もっとも、私が執筆で苦しんでる状況を読むのが楽しみという人もいるかもしれないが…。(笑)

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