飛鳥杏華の気まぐれモノローグ

<1999年>

4月6日(火)

 謎の原稿の執筆がようやく終わり、あとは校正を待つだけとなった。これで、一段落…のはずだったのだが、分量が足りずに追加依頼が来てしまった。(汗) もう、あまり時間的余裕もない…。何かいいネタはないだろうか?(汗)

 3月31日、「犬夜叉」だが、地念児のシリーズが終わった。自分が考えたストーリーと比べると、かなりあっさりした終わり方だが、この辺は読み切り作品と長期連載作品の書き方の違いだ。私が考えたのは読み切りだから、その作品の中ですべてきれいに閉じるようにと考えたものだ。しかし、本家の方は長いストーリーの中のほんの一場面に過ぎない。しかも、サイドストーリーと言える内容だ。役割が全く違う…。

 結局、今回のシリーズで高橋先生がいちばん描きたかったのは、ラストの方の犬夜叉が自らの過去を語るシーンから自分の居場所を実感するまでの部分ではないだろうか? メインに描かれた地念児の話は、それを引き出すための伏線であったように思う。高橋先生はときどきそういう描き方を使うことがある。「らんま」の「小さなハート」なども、病弱な少女が乱馬にチョコレートを渡すまでのエピソードは、ラストを活かすための伏線だったと言える。今回もそれと同じようなパターンだ。

 しかし、何とも大胆なことをやってくる。このシリーズを描いたことで、かつて犬夜叉が半妖であるがゆえに、どのような仕打ちを受け、それをどうやって振り払いながら生きてきたかということを、直接その場面を描くことなく読者に伝えてしまったのだ。こういう描き方をしてきたからには、今後も恐らく犬夜叉が半妖として苦労してきた時期のことが絵的に描かれることはないと考えていいのかもしれない。

 これについて、手抜きだという指摘も出てくるだろう。ファンの心情としては、そういう部分も物語の一部として描いて欲しいという気持ちがある。どのくらいつらい思いをしてきたのか、どういうことがあって心がすさんでいったのかなど、ファンとしては非常に興味があるのだ。

 だが、今それを描くのは得策と言えるのだろうかという疑問もある。すでに、かごめとの交わりによって随分と人間らしい心を持ち、やさしくなった犬夜叉とその頃の犬夜叉の差は激しいに違いない。かなり残虐なことも平気でやってきただろう。そうしなければ、自分の居場所を確保することができなかったろうし…。

 もっと初期の段階であれば、そういう場面が描かれてもよかったに違いない。そんな犬夜叉が、かごめによってより人間らしい心を持っていく過程が強調されることになる…。だが、ここへきてそれを描いてしまうと、ここまでに出来上がってきた犬夜叉のイメージが壊れてしまいかねない。犬夜叉は、もうすでに作品上ではヒーローとしての地位を確立している。そのヒーローが残虐な行為を繰り返している様は、子供向け、若年層向けということを意識したら描きにくい(あるいは、描きたくない)のでないかとも思える。

 我々大人からしてみると、ヒーローが必ずしも聖人や安直な正義の味方でないことが描かれることに物語の深みを感じたりするのだが、その辺はあえて避けたような気がする。パターンとしては、「めぞん」で五代の初体験がソープランドというファンの目から見えない場所で済まされ、事実だけが伝えられたのと同様と言えるだろう。自らの手抜きというより、今の犬夜叉に惚れ込んでいるファンへ配慮した結果なのかもしれない…。

 一方、地念児の例は今後の犬夜叉に新たな生き方の可能性を示したとも言える。つまり、半妖のまま人間と共存して生きるという生き方だ。第1話で犬夜叉が本当の妖怪になりたがっていたのを見たとき、これは最後には逆に人間になる道を選ぶ話なのかなと思った。その後もしばらくは、妖怪になるか人間になるか、行き着く先は2つという見方をしてきたのだが、桃果人を倒したあとの弥勒の言葉あたりから、半妖のまま生きるという第3の選択が前面に出てきたように思える。

 半妖であるがゆえに妖怪とも人間とも仲よくできなかった犬夜叉…。力で他を圧して自分の居場所を築いてきて、気がつけば1人ぼっちになっていた犬夜叉…。でも今は、半妖のままでも1人じゃない…。それが、今回のポイントと言えるのかもしれない。

 さてこの日、参考文献の提示形式を整え、最後の推敲をして謎の原稿(30項目分)を依頼主に提出した。これであとは校正を待つだけとなった。まずは一段落だ…。推敲に時間がかかって送信が遅くなってしまったが、特に問題はなかったようだ。続いて、自分のプロフィールを書かなければならないのだが、これは翌日回しとした。とにかく、肩の荷が降りたので、ゆっくり寝たかったのだ。(笑)

 4月1日、全国的に面堂終太郎の誕生日だ。MLやパソ通のボードには、ウソの情報がちらほらと流れた。中でも、最も多くの人を引っかけたのが、アニメ「うる星」のリメイク情報だ。スタジオぴえろの制作でこの秋から放送開始というもの…。続いて、別の人が放送はフジ系でなく、日テレ系とフォローを入れたこともあって、かなりの人が騙された。しかし、私自身はこの前の「犬夜叉」アニメ化の話よりはありそうなことだと思った。

 リメイクされれば、いろいろと前作とは変わるところが出てくるだろう。それによって過去のイメージが壊されるのを懸念して、リメイクを嫌がる人も多いのではないかと思う。が、私はかつてと全く違う「うる星」ができあがっても別にかまわないと思う。あえてリメイクするのだとしたら、それは昔のファンを喜ばせるためでく、今の子供たちに見せたいという意図からに違いないと思うからだ。

 かつての作品を知っている人からすれば、声優が1人変わっただけでも違和感を覚えてしまうだろう。しかし、新たに見る者にとっては、そういうことは特に気にならないに違いない。これまで何度もアニメ化されている「ゲゲゲの鬼太郎」を例にすると、私のようなオヤジ世代だと鬼太郎は野沢雅子、ねずみ男は大塚周夫、主題歌は熊倉一雄でないと違和感なのだ。しかし、若い人たちは違うだろう…。それぞれ、自分が観た時代の「鬼太郎」がいちばんしっくりくるに違いない。

 我々の「うる星」は過去にしっかりと存在している…。その一方で、それとは全く別の今の子供たちの「うる星」ができあがったとしても、それはそれでいいのではないかと思うのだ。もっとも、我々にはついていけない代物になってしまうかもしれないが…。(汗)

 実は、このエイプリルフールネタの前に一刻会の名古屋集会で「うる星」がリメイクされたらという話をしていたのだ。今の世の中を反映して、いろいろと設定も変わってくるのではないかと…。でも、茶髪でルーズソックスのしのぶや金髪で鼻ピアスのあたるとか出てきたら嫌だなとか…。(笑) 本当にそんなふうになったら嫌だが、冗談ならおもしろかろうと…。(笑)

 2日、一刻会会報の原稿にとりかかる。謎の執筆の影響でずっと手をつけられずにいたので、ちょっときつい状態だった。しかし、それを予想して早めに書きためておいた分があったため、何とか翌日中には仕上がりそうな気配となった。謎の原稿も仕上げ、一刻会の方も1枚も落とさなかったということになれば鼻高々だ。苦しいと言っておいて、見事に原稿を仕上げていけば、尊敬の眼差しを受けること間違いなしだろう。…などと、姑息な考えを起こしてしまった。(笑)

 3日、一刻会会報の原稿のつづきを朝から手がける…。まずは、例の4月25日のサインプレゼントのお知らせ半ページだ。ライバルを増やして申し訳ないが、こういう情報を会員に伝えるのは、FCサークルの使命だ。そういう情報が得られてこそ、入会した意味があるというものだろう。かっこつけてるという自覚もあるが、その建前はしっかり貫くべきだと思う。それで自分がサインをもらえなかったら、確かに大まぬけと言えるのだが…。(笑)

 続いて連載原稿にかかった。が、多分に思いつきで書いていた部分もあったので、改めて作品を読み返して検証してみた。と…、全然間違ったことを書いていたことに気づく…。(汗) 何とか記述を変えて乗り切ろうかとも思ったが、まるっきり話がちがってしまって、修正のしようがない。今から別のネタで文章を起こす余裕もないし、残念ながら掲載を断念した。まあ、苦しいと言っておいたのだから、1枚くらい落としても怒られないだろう。(こらこら。汗)

 4日、一刻会会報の編集のため、日野へ出向く。編集作業はいつものように進み、あとわずかを残すのみとなったところで、ちょっとしたことから口論がはじまってしまった。険悪なムードが漂う編集会場…。人が複数集まれば、こういうこともたまには起きる。意見の対立ならどうということもないが、感情的な衝突となると放っておくわけにもいかない…。そのままうやむやにして帰宅したら、わだかまりが残るだろう。膿はその場で出してしまった方がいい。

 親しい間柄でも、何気ない言葉にカチンときたり、傷ついたりすることがある。それを顔に出さずに抑え切るのが大人の対応だという考えもあるが、黙っているのが必ずしもいいとは言えない。時にはハッキリと不快を表明して周囲にわかってもらうことも必要だ。何に傷つき、何にカチンときたのか? その言葉を言った方は、どういうつもりで言ったのか? どこかに誤解や曲解がなかったか? その言葉を言うにあたって、配慮を欠いた点はなかったか…?

 険悪なムードの中で話を続けるのはあまり気分のいいものではないが、それらをはっきりさせておけば、これから先のつきあいにいい経験となって活きてくる。誰がどういうことを嫌うのか…。それがわかれば、そういうことをしないように気を配ればよい。まあ、それを逆手にとっていじめることも可能だが…。(おいおい。汗)

 その口論のせいで若干作業が遅れたが、それほどの影響もなく編集は終わった。一時険悪化した雰囲気も、編集が終わる頃にはもとに戻っており、食事のときにはもうすっかり消えていた。それでいいのだ。(笑)

 5日、一応、謎の原稿はこの日に最終的なOKが出る予定となっていた。OKが出れば、本当の意味で安心できる。翌日の更新のときには晴れて謎の原稿の正体も明かせるだろうと考えていた。ところが、帰宅すると原稿の分量が少ないので加筆または追加して欲しいとのメールが届いていた。

 あとから5項目追加したことで、合計30項目を提出していたから、むしろ削られるかと思っていたのだが、予想外の展開となってしまった。もっとも、書き落としたと思う項目が2つほどあって、この日の昼間、いまからじゃ間に合わないかなぁとかなり後悔していたから、これはむしろ渡りに船だった。うーむ、虫の知らせというやつだろうか…。

 早速、その2項目を書き上げたが、それでも要求されている追加分量には足りない。あと3項目ぐらい欲しいところだが、そこで睡魔に襲われてしまい、この日は続きを書くのを断念した。最近、夜がダメだなー。(汗)

 6日、帰宅後はここの更新を急ぎでやった。更新作業が終わり次第、謎の原稿の追加分にかかるつもりだ。結局、そんなわけでまた忙しくなってしまったので、今回も最低限の更新となってしまった。原稿の正体も、もう少し先まで謎のままということに…。別に明かしてもいいのだが、共同執筆者の方もまだ公表するのは先のようだし、本の発売日が決まった頃にでも明らかにしようと思う。

 もっとも、すでに明かした人たちに「情報の解禁は4月6日」と言ってしまったから、もうすでにあっちこっちでバレているかもしれないが…。(笑)

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