飛鳥杏華の気まぐれモノローグ

<1999年>

3月23日(火)

 少年サンデー系中心オンリーイベント「PROJECT S2」は、やはり規模が小さかったためか、期待したほどの成果はおさめられなかった。大分この状況にも慣れてきたので、特にショックというのはもうない。むしろ悩みの種は、先週の悩みのメールに関することだ。決断を下したことは下したのだが…。(汗)

 17日、「犬夜叉」だが、ほぼ予想していたとおりの展開だった。半妖であるが故の悲哀…。異形の者に対する偏見と差別に苦しめられてきた地念児母子…。そんな中で、母親の口から語られた地念児の父親の話には興味をひかれた。その正体がちょっと気になる。もっとも、本筋には関係なく、これっきりになってしまうかもしれないが…。

 また、地念児の母親の話に「うわあ〜」と顔を赤らめるかごめの表情も印象的だった。「燃えるような恋」という言葉を臆面もなく使う母親に、かごめの方がはずかしさを感じてしまったのだろうか?(笑)

 それはそうと、先週、私が描こうとしていたストーリーと似ているという話をしたのだが、さらに似てきてしまった。これはもう、描くのを断念しなければならないレベルだろう。私の場合は半妖ではなく、弱くて人に害を及ぼさない妖怪を出そうとしたのだが、それでもあくまで妖怪であり、異形であるがゆえに村人からは疎まれてしまうという点ではほとんど同じだ。

 もうここまで似てしまったら描けないから、考えていたストーリーを話してしまうが、そこへよそから人食い妖怪が流れてきて、この無害な妖怪(名前をまだ決めてなかったのでそう呼ぶが…。)が村人たちに疑われてしまうというものだ。まさにそっくりだろう…?(苦笑) まー、そこに通りかかった犬夜叉一行が妖怪退治を依頼されるのだが、いざ戦ってみたらものすごく弱い…。こいつが人食い妖怪ではないということがすぐわかるというあたりまで見事に似てしまった。(汗)

 で、犬夜叉たちは本当の人食い妖怪を探しに行くのだが、その隙に村が人食い妖怪に襲われてしまうという筋立てだ。無害の妖怪は自分の弱さを熟知しているから、なわばりを荒らされることに怒りを感じても、怖くて人食い妖怪に立ち向かっていけない。それに、食われるのは人間だ。いままで自分を疎外してきた村人たちがどうなろうとかまうもんかと、最初はひねくれているのだ。(ちょっと、ありがちだが…。笑)

 ところが、昔は村を災害から守ったことがあるという言い伝えとともに、この無害な妖怪を信じてかばう純真な子供がいて、この子とは友達であったという設定で、この子が危険にさらされたのを見て、自分の弱さをかえりみず、人食い妖怪に立ち向かうという流れだ。

 結局、騒ぎを聞きつけて引き返してきた犬夜叉たち一行によって、人食い妖怪は倒されるが、無害な妖怪はその前に深い傷を追ってしまって、瀕死の状態になってしまう。村人たちは、いままで疎外したり、村を追い出そうとしたりしたことを詫びて、これからもこの村にいて欲しいと懇願し、子供たちも「死んじゃいやだーっ!」と泣きつく…。そこで微笑みながら静かに息を…と思ったら、死ななかったというオチを用意していた。(笑)

 妖怪の体は、人間に比べて恐ろしく回復が早いから、そう簡単には死なない。いずれ寿命がくれば、死ぬだろうが…という設定だ。さらに、無害な妖怪はそれからも子供たちの友達であり、村を守ってくれた妖怪として村人たちに愛された。しかし、明治時代に入るといつしかその姿が見られなくなり、やがて伝説と妖怪をまつった地蔵だけが残されたというエピローグも考えていた。ちょっとクサイ部分もあるが、お伽草紙としてはなかなかいい話になったと思って密かに燃えていたのだ。

 しかし、ここまで前半部が似てしまったものをこれから描いても、今回のシリーズの二番煎じとしか見てもらえないだろう。実は、考えていたネタを先にやられてしまって執筆を断念したのは、これが初めてではない。「1ポンドの福音 小羊のレストラン」でもやられてしまったのだ。私は耕作で「あしたのジョー」の真っ白に燃え尽きるパロディをやろうと思ったのだが、若王子シェフでやられてしまって…。(汗)

 キャラが違うとは言っても、あれのあとにやったのでは、二番煎じにしか見えない…。まるで、私が描こうとしていることを察知して先回りし、ブロックされているような錯覚に陥ってしまう。自分のネタは、ほとんど口外してないはずだし、高橋先生がそんなことをするはずは絶対、絶対、絶対、…と何百回繰り返しても飽き足らないほど絶対にありえないことなのだが、ここまで描こうとしていたものが一致してしまうと、悔しさを通り越して気味悪ささえ感じてしまう…。(汗)

 話を戻すが、本家のストーリー進行も、もうしばらくは私の考えたストーリーと似た展開をたどりそうだ。犬夜叉が妖怪の巣に行ってる間に人食い妖怪に村が襲われることになるにちがいない。そして、私が純真な子供にやらせようとした役をかごめが演じることになるだろう。今回のあの雰囲気は、地念児にかごめを守りたいという気持ちを起こさせるための伏線に間違いないとにらんでいる。(ハズレたら大笑いだが…。笑)

 恐らく、犬夜叉は間に合わず、危機にさらされたかごめを地念児が体をはって守ることになるだろう。ただし、そこからは話が変わってくると思う。私が考えた弱い妖怪とは違って、地念児はあの体だ。かなりの潜在能力があるのではないかと思うのだ。いままでは、気弱でやさしい性格のために発揮できていなかったが、かごめを守りたいという強い気持ちが、地念児に力を発揮させることになるだろうと…。少なくとも、私がもし、地念児のようなタイプに妖怪を設定していたら、そうするに違いない。

 ただ、地念児が力を出した場合、必ずしもそれがいい方に働くとはかぎらないだろう。それが余計に村人たちに脅威を与えてしまう可能性もある。あいつを怒らせたら恐ろしい。やっぱり、あいつとは共存していけないと…。

 果たしてこの先、どう展開させてくるのか? 次回のさらに次あたりからは私の考えた展開からはずれてくるだろうから、そこからが楽しみだ。高橋先生は、このシリーズにどういう結末を与えるのだろう?

 さてこの日、先週、悩みのメールと紹介したものに対して送った返事に対する回答が返ってきた。(ちょっとややこしくてすまないが…。) まあ、まわりくどい書き方を続けるのも疲れるので、ある程度バラしてしまうが、要は原稿執筆を依頼されたのだ。形式としては、挙げた項目に対して解説をするというものだが、先週の段階では向こうが決めた項目に対して書くのかと思っていたので、ちょっとできるかどうか不安で迷っていたのだが、この日の回答で自分が書ける項目を挙げて書けばいいということがわかったので、少し安心した。

 それでも、できるかどうか不安は残っていたので、とりあえず試しに書きはじめてみて、できそうだったら引き受けることにしようと思った。何の原稿かは、まだもう少し内緒にしておきたい。少なくとも、ちゃんと執筆して、載ることが決まってからでないと安心できないから…。

 18日、原稿執筆を開始してみる。まずは、項目だけ挙げて…という話だったが、項目を挙げても内容が書けなくては意味がないので、内容も含めて書きはじめてしまった。といっても、この日は資料を読むので手一杯で、2項目程度しか書けなかった。何か前途多難な気がする。一応、他に共同執筆者が2人いて、3人での執筆という話なので、いくらか気は楽だ。もっとも、他の2人が断ったら洒落にならないのだが…。(汗) これは確かめておいた方がいいかもしれない…。

 19日、前日の続きだが、机の上は資料でごちゃごちゃだ。とても一刻会の原稿どころではなくなってきた。締め切りは一応3月末なので、かなりきつい…。27日と28日は、一刻会の名古屋集会に出かけることになっているので、何とかそれまでには清書を残す程度にしておきたい。片っ端から資料をあたってネタを探す。足りない知識は、インターネットで検索をかけて該当するページで調べる。おかげで、意外と見落としていた知識も補充できたが、それが執筆に結びつくとは必ずしもかぎらない。いやー、プレッシャーだこと…。

 何とか、7項目くらいまでは書いたが、合計で40項目程度が目標だ。1つの項目が200字程度だから、結構きついのがわかってもらえるだろう。もっとも、3人で分担すれば、1人あたり14項目程度で済む計算になるのだが…。

 20日、休日に入って執筆ははかどった。その一方で、他の2人が受けるかどうか不安だったので、とりあえずメールで確認してみることにした。依頼主から来たメールには共同執筆者のメールアドレスはなかったが、名前を見てあの人とあの人だろうとすぐに察しはついた。どちらも全然知らない間柄ではない。共同で書くにあたっては幸いだ。

 その夜のうちに、一方からは返事があった。すでに引き受けたと言う。理由は私が共同執筆者の中にいたからだそうだが、私はまだこの時点では正式に引き受けるという返事を出していなかった。ここで私が断ったらまずいな…。(汗) それが理由となったわけではないが、このあと正式に引き受ける旨のメールを依頼主に送った。ちなみに、この日は21項目まで書けた。

 21日、24項目まで進んだところで、前日返事のあった共同執筆者に自分も引き受けたことを伝えるメールを出した。残る1人からの連絡はまだだが、仮にその1人が断っても自分の受け持ちは20項目程度だ。充分にノルマをクリアしている。その点は安心だが、もっといい項目、もっといい内容が書けるかもしれないので、書けるだけ書いて、あとで精査してもらおうかと思っている。まだ、共同執筆者と項目のすり合わせもしていないので、重複している可能性も大いにあるし…。多い分にはかまわないだろう。もっとも、ここまでくるとなかなか先が浮かばないのだが…。

 この夜、依頼主からもメールがあり、具体的な原稿の送付方法などについて指示を受けた。最終決定は4月5日だ。それまでは安心できない日々が続くだろう。送られてきた見本などを見るとレベルが高く、自分の力量不足をひしひしと感じてしまうのだが、向こうが頼んできたのだから自分にできること、自分のやりかたでベストを尽くしてみるしかない。自分の本なら、多少いい加減なことをしても自分に跳ね返ってくるだけだからいいのだが、依頼原稿はどうしたって気を遣う。今回は特に…。いずれその理由は明らかにするが…。

 22日、少年サンデー系オンリーイベント「PROJECT S2」当日だ。8時40分過ぎに家を出て、JR蒲田駅で待ち合わせた。最寄り駅は京急蒲田駅だったが、荷物かかえて乗り換えがいやだったので、JRの方にしたのだ。今回は少年サンデー系オンリーということで、若干期待して持っていく本を多くしたので、先週より遙かに荷物が重い。年齢的にきついのと、根性が萎えているのも確かなのだが…。(汗)

 10時10分頃会場に到着したが、まだサークル入場が始まっていなかった。コミックライブ系では、珍しいことではないらしいが、この日はもともと準備時間が50分しかなかったので、ちょっと苦しかった。一般入場は、予定どおり11時からだったし…。

 さて、蓋をあけてみると、これまでとあまり売れ行きは変わらなかった。即売会自体の規模が小さいから、入場者の絶対数が少ないのだ。ジャンルの勢力はやはり「名探偵コナン」が強い。それに続くのが「デビデビ」だった。「犬夜叉」は、かろうじて「烈火の炎」に勝っていた。といっても、3対2というむなしい比較にすぎないのだが…。(しかも、犬夜叉サークルは1つ来なかったし…。汗)

 それでも本部委託も含めると、うち以外に犬夜叉本が6冊、乱馬×あかねの小説が1冊、そのほか便箋も若干あった。それと、一刻会の入会案内を欲しがる人も結構いて、そっち方面では収穫があったと言えるかもしれない。15時の終了を前に、完全に人の流れが途絶えたの見て撤収し、蒲田駅付近の喫茶店で一息入れたのち、帰宅した。

 帰宅してからは、また例の原稿書きを続け、27項目まで何とか書いた。夜、メールを確認すると、もう1人の共同執筆者から返事が来ていた。しかし、残念ながら諸般の事情で執筆を断る予定だというものだった…。これで、受け持ちは約20項目となった。まあ、すでにノルマはこなしているが、もう1がんばりしなければ…。(汗)

 23日、帰宅後はここの更新だが、謎の原稿執筆に追われていたこともあって、ほとんど準備ができていなかった。こんな状態で火曜日を迎えるのは初めてかもしれない…。気まぐれモノローグの原文も、この日の朝から書きはじめたのだ。(汗)

 めぞん一刻・原作初出掲載時資料室は、続けてスピリッツコミックス第6集分の残りを出したいと思っていたのだが、全然手をつける余裕がなかった。とにかく、今の執筆が終わらないと精神的にも落ち着かない。なぜそこまでこの執筆を大事にするかは、いずれわかってもらえると思う。わかってもらえなかったら困るが…。(汗)

メニューに戻る