タイトル 犬夜叉
内容(参照)
「週刊少年サンデー 1997年4号」より
初出掲載誌 週刊少年サンデー 1996年50号〜
発行元 小学館
単行本 犬夜叉<少年サンデーコミックス>1〜


<解説>

「らんま1/2」の完結から実に8ヵ月半、途中、「1ポンドの福音」の連載があったとはいうものの、非常に待たされたという感覚が強く、かなり心配する声もあった中でようやく登場した新連載作品だ。

連載開始直後は、舞台とかごめのタイムスリップの設定が「炎トリッパー」そのものだとか、犬夜叉の封印から復活への設定が、藤田和日郎氏の「うしおととら」の「とら」と似ているなど、その他いろいろな他作家の作品やるーみっくの過去の作品との類似性が指摘され、批判的な意見とともに心配する声も多かった。

しかし、その後も開き直ったようにこうした過去の作品と類似性を持つ図式が展開されて行ったところを見ると、実はわかっててわざとやっているのだという考え方もでき、「南総里見八犬伝」や「竹取物語」なども含め、すべてのものを取り込んだ新たな御伽話を構築しようとしている可能性も見えてきた。

開き直りという点で印象的だったのが、第5話「かごめの矢」で屍舞烏を仕留めた際の「絶対当たる!!」という台詞だ。これは、この作品が「絶対当たる!!」という強い信念(というか、自分にそう言い聞かせる言葉)と見ることもできる。

「らんま1/2」では、連載開始当初、読者の反応を気にして悩みながら描いていたフシが見られ、そのために作品を軌道に乗せるのが遅れた感があったのだが、この「犬夜叉」ではそういう強い信念を持って、とにかく作品を進め、軌道に乗せて行こうという姿勢が見られるのだ。

実際、設定の類似などに関して周囲の雑音があったにもかかわらず、ストーリーは強引なまでにどんどんと進んで行き、読者はついて行かざるをえない状況となって、結果として引っ張り込みに成功するかたちになった。

また、当初の敵キャラ、百足上臈や屍舞烏などはやや魅力に乏しかったが、逆髪の結羅、殺生丸など魅力的な敵キャラが登場するに至り、作品としても盛り上がりを見せはじめてきた。

1シリーズのスパンが長い連続ドラマ形式というのは、「めぞん一刻」の末期や「らんま1/2」の初期(途中で断念したという感がある。)でも見られたが、これで全編通して行くとなると、るーみっくでは初めての試みとなるだけに、そういう面でも注目される作品である。


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