■時系列解析に用いる手法

採取したすべての時系列データに対して,10Hzをカットオフ周波数とするローパスフィルタリング処理を行う。

●ローパスフィルターによるノイズ除去

観測したデータには,実際の運動とは関係を持たないと考えられる細かな微振動や計測ノイズを含まれているために,適切に周期性を計測するためにはその除去が必要である。 
ローパスフィルタ(Low Pass Filter)とは,ある時系列データにおいて,遮断周波数といわれる特定の周波数以上の信号を減衰させ,それ以下の周波数の信号を通過させる働きをするもののである。 加速度センサやジャイロセンサから得られたデータに対してこれを用いることによって,計測のノイズを除去し,適切な座標変換の計算ができると考えられる。
ローパスフィルタには,周波数特性の異なる様々なフィルタが考案されており,代表的なものとしてバターワースフィルタ(Butterworth Filter)やチェビシェフフィルタ(Chebyshev Filter)などがあげられる。 バターワースフィルタの周波数特性は次の式で表される。

一般化した式で,F(w)=ωと置けば,バターワースフィルタに対応し,このフィルタの特性は,ωが1より小さいときは,1に近づく値を,ωが1より大きいときは,0に近づく値を取る。
チェビシェフフィルタは,F(ω)をωが1より小さいときは,極力小さい値を,ωが1より大きいときは極力大きな値を取るような多項式を用いたものである。 バターワースフィルタと,チェビシェフフィルタにおける,50Hzを遮断周波数としたときの周波数特性を下図に示す。 チェビシェフフィルタのほうが急激な減衰特性を持っている一方で,通過域である0−50Hzの周波数域において遮断周波数以下の通過域でリップルといわれる通過うねりが発生している。 対して,バターワースフィルタは減衰はチェビシェフフィルタに比べてなだらかなものの,通過域でのリップルが発生しておらず素直な特性を持っている。

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