大学に入る前はその名も知らなかったが、サークルに入ってからよく名を聞く「ヤビツ峠」。きつい、長いなど、とにかく走りごたえがありそうな所だということは行く前から知っていた。そしてこの日ついにヤビツを初体験した。

今回は個人ランではなく、サークルのみんなでヤビツを上ろうというイベントだった。メンバーはおれの他にモッチー、フルヤン、りょーま、南さんの5人で走ることになった。夏合宿から帰ってきてからはずっと一人で走っていたので久々の集団ツーリングである。夏休みももう終わりに近づき、休み最後の一大イベントとなった。

寝不足で少し辛かったが、朝7時半すぎに出発した。今回のランの集合場所は秦野駅。もちろん行ったことはなかったが、前の小田原ランで国道246を通っているので近くまでは行ったことがあった。いつもの246に出るルートを進み、246では快調に飛ばした。久しぶりにみんなと会える上にみんなと一緒に走れることが嬉しかったのだろう。自然とハイペースになっていた。

自分はまだ夏休みだが、9月に入っているので世間ではもう新学期だ。246ではチャリで通学中の高校生をたくさんの見た。ただえさえ交通量の多い道なのに、平日の午前中ということもあって246は凄まじいほどの車の量だった。大型トラックもバンバン通ってあまりに危険だったので、おれはほとんど車道を走っていたがやむをえず歩道を走るはめにもなった。チャリ通をしている高校生を見ると、自分も高校時代はチャリ通だったので高校時代を思い出したりして懐かしかった。かわいい女子高生や気合いを入れて坂道を上っている男の高校生など、たくさんの高校生達は秦野へ向かう途中のおれには邪魔だったが、いつも電車で通学している自分にとって少し新鮮な風景の一部となった。

相模川を越えて国道246号と国道129号がぶつかる交差点は立体交差点になっている。まず交差点へおりて信号を待ち、青になったので渡ろうと思ったときにおれの前の方で男の高校生4人のグループがチャリで246へ入っていった。ここから入ったところは歩道もなくとても危険な場所なので、おれみたいなやつしかチャリでは通らないと思っていたが、地元の高校生でも通るのか・・・と少しビビった。走っているスピードが違うのですぐそいつらに追いついてしまい、前をふさがれてじゃまだなーと思っていると、しばらくして下へ降りる階段があるところでいきなりみんなでチャリを持ち上げてその階段を降りていった。なんだそりゃ!?と思ったが、それが彼らの高校へ行く近道だったのだろう。

246をひたすら進み、厚木を過ぎ、伊勢原を過ぎ、246の上を東名が通るところの「桜坂」という交差点の手前のセブンで休憩することにした。飲み物とウィダーINゼリーを買って、「10秒で朝ご飯」とかCMのとおりのフレーズを思い浮かべながらウィダーをチューチュー吸っていると、一人のチャリダーがやってきた。そのチャリダーは通り過ぎるのかなとか思っていたらおれの前で止まった。この人もここで休憩か?と思ったが、どうやら様子が違う。そして話しかけられて初めて気が付いたが、そのチャリダーは南さんだった。サングラスをしていたので分からなかった。そこからは南さんと一緒に行くことになった。

そしてすぐ善波の坂にやってきた。おれは後ろに南さんがいるのでけっこうがんばってかなりハイペースで上ったが、トンネルについて後ろを振り向くと南さんはマイペースでゆっくり上ってきた。ヤビツに向けて体力を温存しておく計算だったのだろう。そうと知っていればおれもゆっくり行ったのに・・・。トンネルを抜けると後は下るだけ。下りきったところはもう秦野だ。秦野の駅周辺は全然わかんないので先頭を交代して南さんの後について秦野駅へ向かった。秦野駅は想像していたよりもすごくきれいで、駅の周りもかなりしゃれていてきれいだった。駅にはモッチーがすでに着いていた。

なぜか一番家が近いはずのヤビツの住民、フルヤンが遅刻してきた。そしてりょーまも遅刻してきたが、この平日の通勤通学ラッシュの中輪行してきたのでしかたないか。メンバーがそろうと246まで行って、まずセブンで食料や飲み物などを補給した。そして予定時刻から大幅に遅れて午前10:20にヤビツランはスタートとなった。

もちろん最初からフリーとなったが、しょっぱなから坂がきつい!カーブを曲がるたびに見える上り坂に「なんじゃこりゃ〜」と驚きながら上っていた。おれは自分のペース(といってもこのときなりにすごくがんばっていた)で上っていたが、いつの間にかモッチーやりょーまは見えなくなっていた。激坂が続いたが、それを過ぎるとあとはそんなに辛いところはなかった。しかし坂がひたすら続くのはつらい。笹子峠のときはけっこう投げやりで休憩しまくりながら上ったが、今回はそうはいかないし、距離もかなり長い。そして峠の途中で道路工事をしていて、そこで10分くらい足止めをくらった。上っていると辺りは霧に包まれていき、霧で展望はなくなった。しかし、時折霧の合間から見える下界の景色はすごくきれいだった。菜の花台の展望所で少し休憩して、あとは峠まで一気に上った。

峠についたときはやはり感動した。「やっとついた」という安心感がどっと出てきた。そしてまだ来てない人を待っていたが、だんだん冷えてきた。そして全員が上りきった。モッチーは取り換えるのが面倒だったと言ってブロックタイヤできたが、あれは絶対失敗したと思う。かなり辛そうだった。峠のロータリーで休憩しているとロードの集団などが通り過ぎた。しばらくして宮ヶ瀬方面に下ることになった。

少し下ったところに護摩屋敷の水という湧き水があって、そこでみんなボトルに水を入れた。なにやらどでかい容器を持った人がたくさんいて順番が回ってこないかなと思ったが、その人達はおれらがすぐ済むのを考慮して先に入れさせてくれた。水をくみ終わるとフルヤンはここでお別れして、おれらはまた下っていった。山の天気は変わりやすいもので、下っているときに少し雨が降ったりした。それはすぐ止んだが、道にある泥がぬかっていて、先頭を走っていたおれはカーブで泥にタイヤをとられてスリップしてしまった。幸いバランスを取り直して倒れたのでケガはなかったが、かなり焦った。それからはもう恐くてカーブの手前で十分スピードを落として走っていった。

泥の上を通るとお約束の泥まみれになり、急カーブは恐いし、車幅は狭いし、車も通るし、下りにあまりいい印象はなかった。ただ純粋に下っていることは面白かったが。宮ヶ瀬湖をぐるっと周り、厚木の方へ下っていった。しかし県道64号を下っている途中で本格的などしゃ降りの雨に降られ、超ブルーになった。それでもなんだかんだで厚木の市街地までやってきた。そこからは相模川を渡ってから県道で南下して寒川神社に向かった。おれはかなり足にきていたのでこの辺りからけっこう辛かった。

寒川神社につくと、まずお参りをして、交通安全のお守りを買った。そしてコンビニで少し腹ごしらえをしてから中原街道で家に向かった。ヤビツを越えて80,90km走っていたので、まだ1年生だったみんなはおれも含めてもう限界って感じだった。桜ヶ丘のあたりでおれはみんなと別れた。そして高校の頃よく通った道をヘロヘロになりながら帰った。

この日はほんとうに疲れた。足の疲れと全体の疲れ、どちらもすごく、次の日はゆっくり家で休養していたような気がする。なにはともあれ、とてもいい経験になった。
コース:
大和→国道246→座間→海老名→厚木→伊勢原→秦野→県道70→ヤビツ峠→宮ヶ瀬湖→県道64→清川村→県道60→厚木→県道46→海老名→寒川神社→県道45→藤沢→綾瀬→大和
走行距離 108.82 km
走行時間 5h 34m 6s
平均速度 19.5 km/h
最高速度 45.5 km/h

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