一日で作れ!フジミ1/700 海底軍艦

海底軍艦の出撃は、今や世界の急務だッ!

d011018_1.jpg/3.0Kb  さて、フジミの轟天号。とりあえずここまで、昔々のオオタキのキット以外は、海洋堂のバQ(これはかなり良かった)、同じく海洋堂の1/950のレジンキット(愛らしくて良い)、これまた海洋堂のソフビ(オレが持ってるのは大変形しているが、フォルムは悪くない)というあたりがある(あーあと、イノウエアーツから床の間に飾れそうなのが出てたっけ、むちゃくちゃ値段高いの)が、どれも入手が少々困難なこと、作るのも結構手間がかかることもあって、世のドリルファンはなかなか辛かったのではないかな。

 最近精力的に特撮もののスケールモデルを発売しているフジミの、ポインター、マグマライザーに続く作品が待望の轟天号だと知った時は、ようやく、って感じがしたね。特撮メカファンは飛びついたんじゃないかな。

 キットはWLと並べられる1/700スケール、通常時、飛行時、洋上模型の3パターンが選択可能という凝った内容で、基本的には映画製作に使われた、1mサイズのミニチュアをモデライズしたものだそうだ。ちなみに本作品では、4.5m、2m、1m、60Cmの4つのミニチュアが使い分けられている。1mサイズのミニチュアは、ロングで艦の全景を撮る時などに使用されたもので、ドリル部分が稼動する以外のギミックはない。ジェット噴射口が「田」の字でなく菱形に配置されているのが1mモデルの特徴だ。ってことで予習はおしまい。さっそく作ってみよー。

少将は変わられましたな

gohten00.jpg/2.8Kb gohten01.jpg/4.0Kb  とりあえず写真を2葉。ガレキと違って、こういうギミックを入れるのが比較的楽なのがインジェクションキットのいいところだな。削岩用のベルト、潜舵や方向舵などは、全て引き込み可能に作ることができるようになっている。ただ、可動状態のままでどんどん組んでいけるかというとそういうものでもなく、潜舵(下の方の写真)以外は、単に棒に輪っかを差し込むだけの構造になっているので定位置でぴたりと止まってくれることもないし、遊んでたらどんどん合いが緩くなって、ヘタってしまうであろうことは想像に難くない。まあもともと可動部分ってあんまり好きじゃないんで、思い切りよく固定することにしたんだけど、できたらこのあたり、可動にするならもっとしっかりした機構に、そうでないなら単純にパーツをつける、つけないの選択式にしておいて欲しかったように思う。この状態では固定する時もセメントを流し込むスペースがすごく小さくて、先行き不安になっちゃうのだ。サービスが徒になったような気が、しないでもないな。

世界がそれを、要求しとるんだ!

gohten02.jpg/2.5Kb  さてドリル。誰がどう見てもドリルなんだけど、んで、「東宝特撮・超兵器画報」(月刊モデルグラフィックス編)なんぞを見ても、おおむねこんな感じなんだけど、んーむ、個人的に轟天のドリルは、円錐に帯を巻き付けた、って感じではなく、円錐をマル鑿みたいなもので掘って作った、ってイメージがあった(海洋堂のバQのドリルはそんな感じ。ちなみにこのとき、このドリルの原形を担当したのは、いまや美少女フィギュアの大御所であるボーメ氏だったりする)んだけどなあ。まあこの辺、ケチつけはじめたらキリがないけどな。ただ、洋上模型も可能にしたしわ寄せがここに来てて、パーティングライン消しの作業が一手間余分に増えてしまったのは、良かったのか悪かったのか………。

だから海底軍艦でまた変えますッ!

gohten03.jpg/3.4Kb  さてカツオブシが3本並んだようなこの写真は、上から海洋堂のソフビ、フジミのキット、海洋堂のレジンキットの轟天の艦底部。今回のフジミのキット、艦底に関してこれまでになかった解釈を持ち込んでいるので撮影してみた。ご覧の通り、海洋堂のキットではかなり大きめの下向きのジェット噴射口が、艦底の左右に四基ずつついている。ところが、フジミのキットではこの、いいアクセントになってくれる噴射口、艦底の中心線に近いところに、やけに小さな穴として再現されているんだった。実際、1mサイズのミニチュアの下側にはほとんどディティールらしいディティールもないので、これでも構わないといえば構わないんだけど、ううむ。これはどういう資料から出てきたものなんだろうと思って見てみるに、何となくフジミは、1mサイズのミニチュアに、小松崎茂画伯が描いた轟天のデザイン画のディティールを追加したんではないかという気がしてきた。その証拠に、小松崎イラストにしかない水中聴音機のモールドもしっかりあったりするんだよな。そういうことなんだろうか?

gohten04.jpg/2.5Kb  せっかくのいいアクセントがないのはちょっと残念だけど、まあこれはこういうもんだと思って作るしかないんだろうな。フジミさん、2mサイズのミニチュアもキット化してくれんかな(無理か)、とか思いながらも艦体の基本的なところは、たいした手間もかからず貼り合わせ完了。部品点数が少ないんだから当たり前だね。

バカっ!世迷い言はよせっ

gohten05.jpg/2.5Kb  さて塗装にかかる。色はミスターカラーの32番、「軍艦色2」と29番、「艦底色」。まあこの辺はお好みで。ところでこのキット、前にも述べたとおり洋上モデルとしても製作可能で、このために艦体が上下分割されている。分割はちょうど半円形で、主潜舵や水平尾翼と同じあたりのラインで分割がなされている。んで、フジミのインストを見ると、塗装の際もこのパーティングラインで上下に塗り分けるように指定している。でもこれはウソ。映画を見ればわかるが轟天の喫水線は艦の真ん中よりちょっぴり上にあるのが正解。フジミは水平尾翼は上を軍艦色、下を艦底色に塗り分けるような指定をしてるけど、実際には喫水線は水平尾翼より少々上にあるので、水平尾翼自体は上下とも艦底色で塗るのが正しい。っていうかさ、フジミさん、ちゃーんと正しい喫水線のラインを艦体にモールドしてくれてるんだよね(拡大画像・320×284/6.3Kb)。ここまでやってくれてるのに、なんでわざわざ間違った指定をしちゃってるんだろう。ううむ謎だ。

gohten06.jpg/4.2Kb  ま、せっかく正しい線を引いてくれてるんだから、ありがたく利用させてもらおう。軍艦色で上面を塗ってからこの線に沿ってマスキング。ほぼ一直線のラインなんで、マスキングテープをびーっと貼ってやるだけでおっけー。おお、楽だ。あとは艦底色をぶしゅーっと吹付ければたちまち塗装完了。(拡大画像・480×189/12.2Kb)

gohten07.jpg/4.6Kb  本体を乾かしてる間に、小物をやっつけてしまおう。映画ではついに一発も発射されなくてメカフェチ少年をいたく失望させた轟天の主砲、電子砲。これは実体弾を打ち出すのではなく一種のビーム兵器なんだろう。で砲身の中央部のふくらみは透明になっている。フジミはコイツを再現するために、わざわざ透明パーツで砲身を用意してくれてるんである。なんと気前のいい。これを使わない手はないので、あらかじめ中央以外を軍艦色で塗装して乾燥させておき、これを砲塔に差し込んでやれば電子砲の完成………なんだけどどうも砲身が太いのか砲塔側の取り付け穴が狭いのか、砲身が砲塔にすんなり収まってくれない。多少無理して押し込むと、三基の砲身が、微妙に扇形に広がってしまう。ついでに砲身はほとんど仰角をとれない。うーむ。

gohten08.jpg/3.4Kb  何せ部品が細いので、力づくで形をなじませようとするのも危険だし、指で何度か押さえて、そこそこおかしく見えない程度になじませる程度で妥協。仰角も同じ。もう少し上向かせたいんだけど、無理するとぽきっと行きそうなんでこのあたりで。まあ艦体に接着(可動は嫌いなんだってば)してしまえば、そこそこ見栄えはするかな、って感じですかね。最後に左右の松本零士風なパーツもそーっと接着。これもぴたりと位置が決まらないのが少々不満。この辺はちょっと不親切な気がするんだがなあ(拡大画像・512×336/17.5Kb)。

神宮司は、悠久の大義に生きる信念です!

gohten09.jpg/6.0Kb  最後にエナメルのつや消しブラックを適当に薄めたもので、スミ入れと汚しをちょっとだけかけてやれば一応の完成っす(拡大画像・720×274/18.5Kb)。まずはプロフィール。

gohten10.jpg/4.8Kb  斜め前から見るとこんな感じ(拡大画像・640×401/18.6Kb)。

gohten11.jpg/4.8Kb  斜め後ろからだと、こんな感じ(拡大画像・640×403/17.5Kb)。うむ、このアングルから見るこのキットは、なかなか格好良い。

夢で見ていた方が、真琴は幸せでした

 さてこれ、価格も手ごろで、モールドもしっかりしてる。パーツもごく少数で、誰でも(はちょっと語弊があるか、多少模型慣れしてる人なら、ぐらいかな)簡単に轟天の勇姿が再現できる、とても良いキット………のはずなんだけど、なんでかなあ、もう一つこの、完成した時にうれしくないんだなあ。学生の時、苦労して海洋堂のバQを完成させた時には、もっと気分が高揚したもんなんだが。

 フジミのキットっていつもそうなんだけど、アイテムのチョイスはなかなかニクいし、パーツは精密だし、モールドなんかも悪くないんだけど、なぜか完成した時に「ふーん」って感じしかしないんだよなぁ、オレ。これ、ひとつには、多分フジミのキットって、「おもしろみ」がないからなんだと思う。たとえばタミヤのキットを組んでる時に感じる「作ってる」感じというか、そういうのがフジミのキットからはも一つ感じられないんだなあ。エンスーのシリーズとか、1/72のジェット機なんかでも、精密なパーツ分割と裏腹に、その精密なパーツの一番大事な部分がランナーと繋がってたり、無意味によけいな部品分割がされてたりして、「特定の○○(アイテム名)を今作ってる」と言うよりは次々といわれたナンバーのパーツをいわれたところに持って行ってる感じしかしないのね。この辺が、フジミがどのジャンルでもメジャーな存在になりきれない理由の一つなんじゃないかと思ったりする(ちと暴言か)。

 あと、これは今回に限っていうなら、オレはこの轟天、スマートすぎると思う。ミニチュアから正確に寸法を割り出したのかもしれんけど、これはあの映画の中で活躍する轟天とは別物に感じられる。全体に漢度が不足してるんじゃないだろうか。オレはお船って、前から見ると勇ましく、後ろから見ると色っぽいものだと思っているんだけど、このキット、色っぽさはクリアできてるんだけど勇ましさに欠けるような気がしないでもない。このあたり、あえて設計者の方の思い入れみたいなものを詰め込んでくれても良かったのじゃないかなあ。あ、そういう思い入れが感じられないから、オレはフジミのキットがいまいち好きになれないのかも知れない。オレらが欲しいのは映画製作用のミニチュアの複製じゃなく、映画で活躍したあの轟天のミニチュアなんだけどな。

 ということで今回は少々文句が多かったですな。とりあえずモノは悪くないと思うんで、作って損のないキットだとは思うです。あとはご自分で組んでみて、判断していただけたら。

さて次回は

 うーむ………クルマ、かなぁ順番としては………。

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