「天使墜落」
 ラリー・ニーブン&ジェリー・パーネル&マイクル・フリン 著
 浅井修 訳
 創元SF文庫
 ISBN4-488-65408-8 \620(税別)
 ISBN4-488-65409-6 \620(税別)

 地球とは敵対関係にある宇宙ステーション、地球からの補給もたたれた彼らは、生存に不可欠な窒素を供給するために地球の大気圏に宇宙船を突入させ、地球の窒素をかすめとっていく行為が必要不可欠。当然地球側も彼らを迎え撃とうと待機している。ある日、窒素をかすめとるために地球大気圏に突入したスクープ・シップ「ピラニア」は、運悪く地球側に迎撃され、氷河の進出している北アメリカに墜落する。地球環境の悪化をテクノロジーの発達の結果とし、環境の保護を他の何よりも重視する風潮が蔓延した近未来の地球。科学技術はもとより、技術を愛好する文学までもが排斥の対象となっているこの時代、彼ら宇宙飛行士を救助するものなど地球には居はしないかに思われていた。だが、彼ら二人を助けるために立ち上がった一団があった。彼らの名は、SFファン(^o^)。

 SF最強タッグ、ニーブン&パーネルに新進気鋭のハードSF作家、マイクル・フリンを加えた豪華メンバーの新作は、意表をついたスカした超大作(笑)。

 環境に対する過度なまでの保護政策が、却って地球に再び氷河時代を引き寄せようとしている、ちう環境保護運動への皮肉な冷やかし、技術を排斥しようとしながら完全にはテクノロジーを否定しきれなくなってしまっている人間達の生活、やたら生活感が希薄で、騒々しく、子供みたいなくせに、得意の分野に関しては専門家顔負けの知識と実行力を発揮するSFオタク達の大活躍と読み所は一杯。サービス満点の一作と申せましょう。

 開幕早々、物語のヒロイン役、もとSFファンでいまはちょっとSFからはなれているシェリン、という女性はこんなことをいいます。

 「もっとも憂鬱なディストピア小説にさえ、未来はわたしたちが築くものという意識がある。偶然につくられるものじゃなくてね。未来を予測することはできないけど、想像することはできる。構築することはできる。それは希望に満ちた考えだわ。たとえ構築が失敗に終わるとしても。」

 じーーーーーーーん(^o^)。ええセリフやなあ。さらにさらに、地球に墜落して、SFファン達にふれあうことになった宇宙飛行士、アリクス。

 世界には新しく見いだされた驚異が満ちており、アリクスはみんなとそれをわかちあいたかった。彼らはみんなそうしている。彼らはある感覚を共有しているのだ。それは倦怠や皮肉の感覚ではない。それは………

 驚異(センス)の(オブ)感覚(ワンダー)。

 じーーーーーーん、じーーーーーーーん。(^^;)

 ニーブン&パーネル作品にありがちな、少々押し付け気味の科学ばんざい!的な部分やなんや、気にならないところがないといえばウソになるけど、ま、いいでしょう。細かいことはいいっこなしだ。いや、SFを好きになってよかったなあ\(^o^)/


乱土 労馬