表紙 「邪神帝国」
 朝松健 著
 カバーイラスト 藤原ヨウコウ
 カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
 ハヤカワJA文庫
 ISBN4-15-030623-0 \640(税別)

 一人の強力な独裁者によってたちまちのうちにその国力を増大させ、やがてヨーロッパを中心に世界の半分を戦乱の渦に巻き込む事になるナチス・ドイツ。その異常なまでの成長ぶりを影から支える闇の力があった。闇の力に魅せられ、その虜になっていく人間たち、そして人間たちをとり込んで自らの力の版図を広げようとする闇の力がめざすものとは………。

 クトゥルー神話や魔術関係の著作で知られる朝松健さん(ペンネームも怪奇作家、アーサー・マッケンからなのだそうで)の、デビュー13年目の集大成。すいません全然おもしろくないです(^^;)

 ナチス・ドイツ、というかヒトラーとその取り巻きの側近たちには異常なオカルト趣味があったことはつとに知られておりますし、実際にオカルトを研究してたらしいって話も聞いてます。そこにクトゥルー神話でおなじみのさまざまな言葉やガジェットを組み合わせたってのはまあ新しいと言えなくもないンですけれども、なんかなー、これ、"ムー"とか、あっち系の本の特別読み物って感じしかしないんっすけどぉ〜(^^;)

 クトゥルーがらみのトリヴィアな知識には感服いたしますが、それ以外の部分のディティールがずたずたなのも、なんか"ムー"を連想させてくださいますな。あのぉ………朝松さん、ドイツ人にはB29の破壊力なんか解る訳ない(B29は日本相手に大量運用されててヨーロッパではごく少数が使われただけ。まして都市の焼夷弾攻撃なんかやってまへん)と思うんですけどー。戦車はみんないっしょくたに"戦車"なのに、なんで飛行機は"メッサーシュミット"なんすかー?だいたい船で運んで、たいした施設もない南極大陸で組み立て可能で、二人乗りできるメッサーシュミットってなんですかー?Me108っすかー?いくら地位が高くったって、潜水艦のなかで葉巻を吸うようなヤツが居ますかふつー?

 こういうのを楽しんで読むには、オジサンちょっと感受性枯れちゃったですかね?オレ的にこの本、たんなるトンデモ本でしかないっす。井上雅彦さんが解説書いてる、てんで期待したのになあ(苦笑)………。

99/8/22


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