表紙 「戦後史開封 昭和40年代編」
 産経新聞「戦後史開封」取材班・編
 カバーデザイン 小栗山雄司
 扶桑社文庫
 ISBN4-594-02709-1 ¥714(税別)

 ああそうか、40年代の顔ってこれかもなぁ、って感じの、"3億円事件"犯人のモンタージュ写真。この騒ぎを覚えておられない方も増えてきたのかな。当時の3億円って、いまだと20億円近い価値になるんだそうです。

 僕は昭和34年の生れですんで、40年代に起こったことで、社会面を賑わしたような事件はだいたい覚えているんですが、一冊の本にまとめられると、よくもまあいろいろな事件が起こったものだなあ、と感じてしまうのは、たぶんこの、おこったものごとがスゴいことなのだ、ってのが判断できはじめた頃の事件の数々だからなんでしょうね。

 いろんなものごとの中で、今読むことでなにやらいろいろ考えさせられることといえば、やはり横井さん、小野田さんという二人の帰還日本兵の事件と、その後の顛末ということになるでしょうか。マスコミに振り回され、ちやほやされもすれば誹謗中傷にもあったりするうちに彼らの心の中にできるしこりのようなものは、本人の人格とか性格とか、そういうものとはまた別のところにその原因があるのでしょう。個人としてみたときには、時に欠陥があると見えるようなものごとであっても、その奥に潜むものを考えてみると、そこには戦前の教育とか、その頃の国全体の空気とか、そういうものを抜きにして考えることはできないのだろうな、と思いますね。


99/8/6


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