表紙 「戦後史開封」[昭和30年代編]
産経新聞「戦後史開封」取材班・編
カバーデザイン:小栗山雄司
扶桑社文庫
ISBN4-594-02721-0 \667(税別)

 産経新聞による労作、「戦後史開封」、昭和30年代というのは僕が生まれた年代で、それなりに思いいれがあったりするわけですが、そうはいっても記憶として残っているのは大鵬に押されぎみの柏戸であったり、ファンファーレだけが耳に残る東京オリンピックであったり、そういう断片的なモノでしかないわけですが、それでもまあ、そのころ"夢の超特急"ちう名前で、突然(と見えた)華々しく登場した新幹線の建設の裏話(コレについては前間孝則さんの著作でも紹介されていましたね)とか、ほとんどその内容についてはわからなかったけれども、"吉展ちゃん"という名前だけが人々の口の端にしばしば上った「吉展ちゃん事件」、なんてのはやはり懐かしいような、妙に新鮮なような、不思議な感慨はありますね。

 今の世の中からは想像もできないですけれども、昭和30年代〜40年代のはじめ、って言うのは、まだまだ日本は貧乏で、"暮しの手帖"の名物記事、商品テストコーナーなんかでも、国産の電気器具やストーブとかと、GEやブルー・フレームといった海外の製品の間にあった差ってのは歴然で、"日本って2流の国なんだなあ"なんて子供心に思ったもんです(^^;)。

 この本ではテーマとして割かれてはいませんが、アメリカ、イギリス製の良質なテレビドラマが大量に日本に入ってきた、ってのにも少し注目して欲しかったような気はします。今、僕と同じ年代でメカフェチ特撮オタク(あ、めっちゃ少ないのか、そういう人間は)なんかやってる人間は、絶対に海外のテレビシリーズに横っ面を5,6発引っぱたかれた覚えがあるはずだもんな(^^;)。

 "ゴジラ"で幕を閉じた20年代に続いて、30年代を締めくくるのは新幹線の建設秘話。なにかと有名な岐阜羽島駅、一般に自民党の大物政治家、大野伴睦のごり押しで作られたように言われていますが実情はそうではなかった、という説は初めて知りました。いやまあ今となってはその裏に本当に大野のサジェスチョンがあったのかなかったのか、判らないことではありますが………。

 ちうことで次は当然40年代。果たしてウルトラマンは登場するのか、プラモデルはどうかな(^^;)?


99/7/19


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