「トロピカル」　異形コレクション(11) 　井上雅彦　監修 　カバーイラスト：空山基 　カバーデザイン：木村美奈子 　廣済堂文庫 　ISBN4-331-60762-3　\762（税別）

　"異形コレクション"も巻を重ねていまや第11弾。今回のお題は"トロピカル"。南洋にまつわる極彩色の恐怖譚の数々を楽しみましょう。

　僕なんかほら、デフォルトが昭和の東宝／円谷特撮大好きな人ですから、南と聞くとゴジラやモスラ、エビラ、キングコングにスダールにレッドキングにゴモラに………。わくわくするような怪獣たちのオンパレードを連想してしまうわけですが、同じ南の島にはマタンゴのような極彩色の恐怖が潜んでいるのも確かで、どんな恐さが待っているのかと楽しみだったわけですが、んー、今回はちと空回りか(^^;)

　なんというか、いつも以上に「お話」とうか物語性みたいなものの比重が高く、結果、ずばっと切り込んでくるような恐さがかけているような気がしないでもなくって………。

　今回、初登場の作家さんも多かったわけですが、それがイマイチ楽しめなかった一因なのかどうか。そうであるようなそうでもないような気もするんですがさてどんなものか。知らず知らずのうちに体が森奈津子さんらをはじめとするおなじみさんの文章を舞っていたのかもしれないですね(^^;)。

　そんな中、今回個人的にイチオシは、江坂遊さんの「トロピカル・ストローハット」。切れ味スルドいショート・ショートです(^o^)