表紙 「陽炎の旗」
 北方謙三 著
 カバー装画 榎戸文彦
 新潮文庫
 ISBN4-10-146407-3 \552

 まだまだ続く北方歴史小説フェア・オレ限定(笑)であります。今回の作品は「武王の門」の続編。「武王の門」の主人公、懐良親王の息子、月王丸、月王の息子、竜王丸を中心にした九州の水軍たち、かつて懐良と死闘を演じた九州探題の今川了俊とその弟、仲秋。そして、足利三代将軍義満の従兄弟、頼冬らを主な登場人物に、生きがいを求めてさまよう男、南北朝統一の夢を男たち、武士の世をきわめ、さらに上を目指そうとする武士の統領らの戦いを描く作品。

 むうん、これはちょっと「武王の門」や「破軍の星」に比べるとどっちつかずな印象がありますか………。世の中がどちらかというと安定に向かいはじめた時代のなかで、戦う男たちの、その"戦い"の部分がどうかするとこの、目的を見失いがちな嫌いがあるような、ないような………。かなりギリギリの状況下で戦わざるをえなかった前作とは、やはり気合いの入り方が違ってくるのか。人間、夢だけで突き動かされるにしても、そこにはその夢をはばむ強力で、不可避な障害が必要不可欠だと思うんですが、そこらへん、ちょっと弱いかもしれないですね(^^;)。

 とはいえ読み応えはたっぷり。「武王の門」と併せて、NHK大河ドラマ化熱烈希望、てことで(^^;)。


99/6/18

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