表紙 「破軍の星」
 北方謙三 著
 カバー 亀海昌次
 集英社文庫
 ISBN4-08-748094-1

 鎌倉幕府の崩壊とともに始まった後醍醐帝の時代。秀才と誉れ高い北畠家の長男、顕家。彼は学問のみならず、公家でありながら武芸にも秀で、わずか16才の若さで陸奥守に任ぜられるや、北条の残党や野盗ひしめく混乱の奥州を鎮圧、さらに東北に自らの足場を築こうと画策する足利尊氏のもくろみもはねのけ、奥州に安定した平和の時代をもたらしかける。

 だが、やがて時代は足利を頂点にする武士たちと、公家を中心とした勢力の間で再び相争う南北朝時代へと突入。楠木正成、新田義貞らと並んで南朝を代表する有力武将となった顕家は、国造りが完了する前に、再び京へ向け出立しなければならなくなる。行く手には味方に数倍する足利の軍勢………。

 北方謙三さんがそれまでのハードボイルドものから、歴史小説に活躍の舞台を移した、その第一作がこれなのだと思っていたのですが、実はそうじゃなく、これ以前に、同じく南北朝時代の男の物語、「武王の門」があるそうで、「破軍の星」は、北方歴史冒険小説、第二弾ってことになるんだそうですね。確か新刊で出たとき、新聞に広告が載ってて、「へぇ、北方謙三が歴史小説書くんだ」って思ったときに、ちょっと思い違いしちゃったのかな………。

 今回の主人公、北畠顕家卿は、以前に読んだ北方さんの本「道誉なり」で、主人公の道誉、さらに足利尊氏、直義兄弟の心肝を寒からしめる相手として登場してきたわけですが、今回は謎を秘めた奥州の山の民、足利一門、楠木正成などなどを脇に、豪華メンバーで主役はってます(^o^)。

 何度か書いたのでしつこくは書きませんけど、この作品も北方歴史冒険小説の黄金パターンというかなんというか、いつも通りにいい感じであります。よろしおした(^o^)。


99/6/13

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