表紙 「トンデモ ノストラダムス本の世界」
 山本弘 著
 カバーデザイン 坂川事務所
 本文イラスト しりあがり寿
 宝島社文庫
 ISBN4-7966-1525-3 \667(税別)

 ぎゃはは、笑った笑った。いずれ劣らぬトンデモな人達のトンデモなノストラダムス解釈のオンパレード。と学会会長、山本さんの丹念な収集に寄って明らかにされる、膨大な数のトンデモ・オン・パレード。山本氏自身まえがきで述べておられるとおり、

 そう、「1999年」や「恐怖の大王」を恐れる必要は何もない。むしろそうした妄言をまきちらす連中を笑って楽しもうというのが、本書の主旨なのである。

 てことで、まずはこの、分厚い部類にもかかわらず、なぜかさくさくとページをめくっていける本を、ページをくるたびにぎゃははと大笑いして楽しむのが本書の楽しみ方と申せましょう。しかしながら、その笑いのむこうにうすら寒い現実が隠れていることも、心のどこかに留めておかなくてはならないことであると言えるのでしょう。

 だが、僕としては五島氏(『ノストラダムスの大予言』の著者:注・乱土)を非難するつもりは毛頭ない。「サリン事件の責任をとれ」とも言わない。何度もいうが「小説」の内容を本気にする奴のほうがバカなのだ。

・・・・・・・・・・・中略・・・・・・・・・・・・・・

 一匹の蝶が嵐を起こすこともある。一匹の蚊が歴史を動かすこともある。それと同じように、五島氏のペン先から生れた『ノストラダムスの大予言』という一冊の本が、めぐりめぐって地下鉄サリン事件を起こし、日本の歴史を変えたのだ。

 全く同感で、実際僕が「大予言」を読んだのは(初版でした)中学生。ちょうど当時の学童むけの雑誌(学研の『科学』『学習』『サイエンスエコー』あたりですね)でも、このまま公害が続けば、世界の寿命はあと30年、なんて記事が載ってました。1970年代に入った頃です。こんなときに出版された、1999年の人類滅亡、というシナリオは子供心にも空恐ろしいイメージを増幅する働きをしてくれたんですね。ここでもうヒト押しあったら、僕も変な方向に進んだのかもしれないです(いやまあそれなりに変な方向には進んでるんですが/苦笑)。

 なにかこう、偶然の幸運で僕はその陥穽に絡めとられなかったわけですが、そうじゃなく、これに手もなく引っかかってしまう人々ってのは、それが暗い未来であれ、信じやすいものを手もなく信じてしまうものなのかもしれません。コワイ話ですね。

 結局僕は「大予言」を読んだ後、高木彬光さんの「ノストラダムス大予言の秘密」を読んで、「Aってものがあれば、絶対反Aってモノがあるんだ」って事がわかってずいぶん楽になったわけですが、この、高木さんの本も「トンデモ本」として収録されていた(もっともトンデモ度は低く、山本さんも比較的好意的に紹介なさってますが)のは少々むっとしたりしてますですが(笑)。

 それはともあれ笑える本ですよー。面白いです(^o^)。


99/6/8

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