アンドリューNDR114

表紙

アイザック・アシモフ&ロバート・シルヴァーバーグ 著/中村融 訳
カバー写真提供 ソニー・ピクチャーズ エンタティンメント
創元SF文庫
ISBN4-488-60410-2 \700(税別)

 ロボット工学の進歩が産み出した、多機能家政用ロボット、NDRシリーズ。マーティン家に納入されたシリーズの一体、NDR114は、マーティン家の小さな娘、アマンダによって"NDR"の音から"アンドリュー"と名づけられ、ほどなく単なるロボット以上に、マーティン家の一員として、かけがえのない友人として遇されるようになる。マーティン家の人びとに最大限の奉仕をしたいと考えるアンドリューだったが、彼に搭載された陽電子脳のちょっとした加減と、彼が置かれた環境が影響したのか、やがてアンドリューには普通のロボットとはちょっと違った特徴が現れれてきて………

 アシモフの名作、"バイセンテニアル・マン"をこれまた巨匠、シルヴァーバーグが長編化した作品。ロビン・ウィリアムズ主演作の原作ってことで刊行された作品。このコンビの長編化としては、あの名作、"夜来たる"に続く作品ということになるようです。

 その、"夜来たる"の時にも感じたんですが、名手シルヴァーバーグを持ってしても、優れてヴィヴィッドな魅力にあふれる短・中編が長編化されたとき、どうしても、その短いがゆえの印象の強さみたいなモノが薄れてしまう恨みが無きにしもあらずかな、という気はします。しみじみとしたいい作品と言えると思うんですが、それでもその内容はやや薄味。

 アシモフのロボットモノであれば避けて通れない"ロボット工学の三原則"にまつわる描写や、人間とロボットの境界とは結局どこらあたりに引かれるのか、といった興味深い部分もあるんですが、それでもやっぱりアシモフ一人で書き上げた中編のほうが、ぎゅっと締った良さがあったかなあ、て感じはします。

00/4/26

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