菅平スクール、根子岳登山隊

  GSLスキークラブの3月スクールは、スクールでは初めての菅平高原。「スクールでは」っていうのは、東京都スキー連盟とかではよく菅平を使っているから。

  近頃は、GSLも有資格者が増え、一方、一般参加者は減る傾向。有資格者全員に講師をお願いしていたんでは、生徒より先生のほうが多くなってしまいそう。というだけの理由ではないが、今シーズンに入り、事前に講師の人数などを決め、それにあぶれた有資格者は、一般講習とは別にフリー班として参加するようになった。今回は佐藤のお父さん、克也と僕の3人がフリー班になった。

  菅平といえば、別名「菅平音頭」正式名称「菅平シーハイル」の歌詞にも登場する根子岳が有名である。表太郎とか、日の出ゲレンデからは角度的に見えないかもしれないが、他のどのゲレンデからもよく見える、なだらかな美しい山である。山頂からは数キロに及ぶロングダウンヒルが楽しめるそうだ。

  今まで菅平には、もう20年以上も前から通っている。「通っている」というのは、年に数回は来ているって言うこと。かつては、準指の検定をここで受けた。指導者養成講習会や検定前の練習、受かった後も、シーズン初めの研修会、後輩たちが検定を受けに来るときなどは、応援、サポートなどなど、、、

  さて、何十回も来ていながら、その姿を目の前に見ていながら、根子岳には一度も登ったことはなかった。最近、山スキーに興味を持ち始めていたところに菅平でのフリー班の話。これは絶好のチャンスだ。

  山頂付近までヘリコプターで運んでくれるヘリスキーもあるが、僕としては、スカイダイビングするならともかく、いまさらヘリなどに乗る気もなく、当然板を担いで自分の足で登りたかった。同じフリー班の面子を見ても、またとない条件。ただ、天気だけが気がかりだった。

  今回の菅平は、土日を使っての1.5泊。日曜日は昼過ぎには帰路につかなければならない。ということは、チャンスは土曜日だけ。金曜の夜に渋谷を出発。夜中、1時半頃菅平に到着した。翌朝、心配していた天気のほうは、、、バッチリ!!

  主任講師に了解を得て、開校式の後コンビニで昼食用のおにぎりなどを買い、いざ出発。
  天狗のリフトに乗り、裏太郎上へ。と、ちょうど準指の検定で裏太郎は前面閉鎖。うちのクラブから受験している細谷君を見つけて激励の言葉を残し、ファミリーへ回る。

  裏ダボスからいったんダボスへ降り、そこからリフト2本を乗り継いで奥ダボス、登山の出発地点へ。

  登り始めは10時50分。最初は実に平坦なコースで、僕は板をはずしたのだが、元気な克也はそのままスケーティングでぐんぐん登って行く。ヘリスキーでお金取っているってこともあり、コースは前面圧雪車で圧雪してある。
  雪面には、克也の力強いスケーティングの跡や歩いて登った人の足跡の他に、直登しているスキーの跡がある。よく見ると、小さなうろこのような跡が残っている。前には滑るが後ろには滑りにくくできている山用のスキーの跡だ。
  さて、そんなこんなで25分ほど登ったが、振り返ると佐藤のお父さんのペースがちょっと遅い。んなこと言ったって、もうすぐ77歳なんだからしょうがない。そもそも、「おれは遅いからいいよ。2人のペースにはついて行けないし」って言っていたのを無理に誘ったんだから。ということで、そこからは僕のストックとお父さんの板とを取り替えて登る。
  相変わらずいい天気だなぁと振り返れば、湯の峰、裏太郎、遠くは大松山。菅平が一望できる。ゲレンデの中では一番標高の高い大松山よりも既に高いところまで登っている。大松山を下に見るなんて、ちょっと不思議な感じ。

  このまま気持ちよく山頂まで行けるかなと思ったのはやはり素人の浅はかさ。1時間も登ったあたりから、右からの横風が強くなり始め、1時間20分ほどたった頃から次第に雲行きが怪しくなり始めた。山の天気は変わりやすい。気がつけば、小雪も混じりだし、気温もどんどん下がり始めた。
  僕のほうも、日ごろの運動不足&横風に足をとられ、左のひざが痛くなり、ペースが落ち始めた。それでも、ゆっくりゆっくりと歩を進め、2時間半をちょっと過ぎた頃に、ヘリコプターの着地地点に到着した。

  天候が悪くなってきたということで、さっきまで何10回も往復していたヘリも今日の営業はこれで終わりの雰囲気。山頂へはそこから10分程度だが、足場も悪く、石も出ているとかで、スキーの板はそこにおいて空荷で山頂へ登る。山頂にはかわいらしい祠が奉ってあり、その前で記念撮影をした。

  ふもとでは、天気のよい山頂でお昼にしようと、おにぎりや飲み物(当然ビール)を買いこんできていたのだが、気温も恐らく氷点下10度近く。さらに、強風が吹き荒れ、体感温度はもっと低い。おにぎりどころではない。時間的にはもうすぐ2時だが、お昼はもっとあったかいところに行ってからということで、下山開始。
  しかし、そこはスキー。3時間近くかかって登ってきたルートをわずか10分程度で下ったてきた。

  さて、下ってきてみれば、寒かったのは山頂だけではなく、スキー場も強風が吹き荒れ、雪ががんがん降っている。野外でのランチは諦め、レストハウスに持ちこんで遅めの昼食。やっとあったかいところに入れて力のない笑顔。

  そのあとは、ひざも痛いし、寒いし、山には登れて満足したし、、、っていうことで、早々に引き上げた。あっ、よく考えてみると、一日券買ったのにリフト6本しか乗ってないや。ま、いっか。
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