以下はParallels Desktop for Macをアップグレードしたときに遭遇したトラブルの対処への覚え書きである。これはMac OS X 10.8つまりMountain LionでParallels Desktop 6から7にバージョンアップした時,という環境で行ったものである。異なる環境で全く同じように動作するかどうかは保証できないので,可能な限り元のParallelsのKnowledge Baseなどを参照しながら,実行することを推奨する。あくまで自己責任で操作していただきたい。
Parallels Desktop 10 for Mac
アカウント毎にバーチャルマシンをコピーして使用するのは,始めるには手軽だが,Windowsのライセンス契約に抵触している可能性がある行為であること,容量がかさむこと,いろんなアップデートや設定の変更の手間が倍になること,などからあまりお薦めではない。バーチャルマシンは共有したい。
やり方はインターネットで検索すれば,出てくるのであるが,問題は2つある。まずは,検索結果にすぐに出てくるものがしばしば記述が古いということである。Parallels Desktop 6でも引っかかった問題だったので,少なくともParallels Desktop 6,Parallels Desktop 7は方法が共通である。もう一つは,その方法が「ターミナル」つまりCommand Lineを使う,Unixに親しみのないユーザ(Macユーザの大半はそうだろうが,Parallelsを使いこなそうという人には比較的抵抗のないユーザも多いかもしれない)には抵抗のある手技が必要なことである。
スピードを考えると内蔵ハードディスクを使用すべきなので,簡単に設定できる場所としてはユーザフォルダ内の「共有」フォルダ内であろう。 共有フォルダ内に「Parallels」というフォルダを作成して中にバーチャルマシンを入れよう。
ここでターミナルを使う。まず,ターミナルを起動する。Mac OS Xでは,ターミナルはアプリケーションフォルダのユーティリティフォルダの中にある。
共有フォルダまでターミナルで移動する。ターミナル内で以下のコマンドを実行する。
cd /Users/Shared
Finder内では,Mac OS Xが勝手に「Users」を「ユーザ」に「Shared」を「共有」に翻訳しているに過ぎない。
これからの操作はroot権限が必要であるが,Mac OS Xの場合はrootユーザはデフォルトでは無効になっているので,有効にしなければならない。rootユーザとは,Unixで何でもできるユーザのことで,システムすべてにアクセス可能な何でもできるユーザである。すでに有効にしてあれば次のステップに移って良い。
ルートユーザの有効の仕方もMac OS Xのバージョンによって異なっている。「ディレクトリユーティリティ」を使って有効にするのだが,この「ディレクトリユーティリティ」のありかがバージョンによって変化している。Mac OS X 10.5つまりLeopardまでは,「ディレクトリユーティリティ」は単独のアプリケーションとして提供されていて「アプリケーション」フォルダ内の「ユーティリティ」フォルダ内にあった。しかし,Mac OS X 10.6つまりSnow Leopard以降は「システム環境設定」の設定項目から「ユーザとグループ(10.7以降,10.6ではアカウントという表示)」の設定内の「ログインオプション」に入る。必要時には管理者パスワードを用いる。その中の「編集」または「接続」というボタンをクリックするとようやく「ディレクトリユーティリティを開く」が現れる。つまり,バージョンが上がるにつれて非常にアクセスしにくいところに移動されている。
ディレクトリユーティリティで「編集」メニューから「ルートユーザを有効にする」を選ぶ。何でもできるユーザなのでこのパスワードの管理には注意をしたい。自信がなければ,必要な操作が終了したとろろで「ディレクトリユーティリティ」で無効にしておいてもよい。
ターミナルアプリケーションに戻り,以下のコマンドを実行する。
sudo chmod -R og+rwx Paralles
もちろんバーチャルマシンを置いたフォルダを指定するだけなので,上記の名前や場所以外であれば,そこを指定すればよい。
先程有効にしたルートユーザのパスワードを要求されるので入力する。
これを実行するとすべてのユーザアカウントからアクセスが可能になる。一部のユーザに限定したい場合はParallels DesktopのKnowledge Baseに上記の内容を含めて記載があるので,参考に。
http://kb.parallels.com/en/9303
私はXPとVistaを持っているが,XPでは発生しなかった。ParallelsのページによるとVistaとWindows 7で起きる問題のようだ。Parallels Desktop 6から9に上げる時も同じことが起こった。古いParallels Desktopの問題のようだ。解決方法も同じである。以下のページを参照。
Parallels Desktop 7にアップグレード後,Vistaを起動するとバージョンが変わって当然Parallels Toolsも変わっているので,Parallels Toolsのインストールを要求される。しかし,終盤になって,「カスタムアクションのVBスクリプトが実行できない」というようなエラーが出て再起動させられる。再起動しても同様の動作が繰り返される。インストールを中断して,Vista内でプログラムの削除を使ってParallels Toolsの削除を試みても同じエラーメッセージが出てくる。
私の場合はこのKnowledge Baseに記載のMicrosoft FixITをダウンロードして実行するだけでは解決しなかったので,ADVANCED TROUBLESHOOTINGを実行することとなった。これにはWindowsのレジストリーを書き換えるというMacユーザには全くなじみのない操作が必要である。これは32ビット版のVistaでの方法である。64ビットの場合は別な手順も必要であるようなので上記のページをよく読んで実行しよう。
まずはこのトラブルシューティングに従い,Microsoft FixITをダウンロードし,実行してみる。MicrosoftFixit50842.msi: http://go.microsoft.com/?linkid=9804433
これで解決しなかったら,以下の手順を実行する。
上記のページではParallelsのメニューからスナップショットをとるよう指示しているが,バーチャルマシンのバックアップを取っている場合など不要である。飛ばしてもよい。
Windows Vistaのスタートメニューから検索の欄に「regedit」と入力し,プログラムを検索,実行する。
ツリー形式でカテゴリー毎に整理されているので,該当するカテゴリーを進展させていく。
最初の「コンピュータ」の下の「HKEY_Local_Machine」→「SOFTWARE」→「Classes」と進展させていく。ここまで進展すると突然多数のアイテムが見えてくるが,その中で「CLSID」を探して進展させる。さらに意味不明なアイテムの大群がみえるが,さらにその中で{B54F3741-5B07-11CF-A4B0-00AA004A55E8}というアイテムを探す。その中の「InprocServer32」をクリックする。ここで表示される。これがVBScriptに関するレジストリである。
「InprocServer32」の内容が3行以上になっていたり,(既定)の所におかしな「Parallels Internet Security」のパスが書いてあったりしていたらこれを書き替える必要がある。ParallelsのKnowledge Baseでは右クリックを使って書き替えるよう指示されているが,少なくともVistaでは編集メニューから修正することができる。「(既定)」をクリックして,編集メニューから「修正」を選ぶ。そうして「値」の所に正しい値「C:/Windows/system32/vbscript.dll」を入力する。「OriginalDLL」は削除する。適切に保存する。レジストリーを書き換えるときにエラーメッセージが出る場合は,書き換えの権限を変更する必要があるようだ。
最初に書いてある通り,FixITを実行する。これでParallels Toolsをインストールする。
Parallels Toolsのインストールがなかなかできないので,上記のことを試す前に再インストールしようとした。しかし,これもなかなかうまくいかず,検索して上記の方法に行き着いた。結局再インストールはしていないため,この方法は自分では試すことなく,上の項目のVBScriptのレジストリーを正しくセットすることで解決した。そこで紹介にとどめておく。
http://kb.parallels.com/jp/5223
要するにインストール時に「構成」をクリックして,ブートオーダーをCD/DVD, Hard Disk, Floppyの順に設定しなければならないようである。