ゆらゆら帝国
日本にこんな音楽があった。
年齢を重ねてもなおロックを聴いている人のための音楽があった。
ラジオで耳にしたのをきっかけにのめりこんだ。メジャー1枚目の「3×3×3」から聞いている。ラジオで表題曲を聴いて,このアルバムを聴いてみた。表題曲よりも,最初の「わかってほしい」でやられてしまった。「昆虫ロック」の疾走から,ちょっと馬鹿にしたような「ドックンドール」「アイツのテーマ」など素晴らしい。
「星になれた」は泣いてしまいそうだ。「からっぽの町」もいい。「恋がしたい」「とある国」とよい曲ばかり。
「めまい」と同時に出た名盤。「時間」など面白い曲がある。
名前の通り,「めまい」「しびれ」中心のライブアルバム。
「太陽の白い粉」はシングル盤もある。私はこちらのベスト盤のようなものに入っている「太陽の白い粉」が好きだ。このアルバム自体に「グレープフルーツちょうだい」が2種類入っている。つぶやきのような2番目が強烈だ。それもこのアルバムにしか収録されていない。
その「太陽の白い粉」のシングル盤。どちらが好きかは好みだろう。
「発光体」はアルバム収録されているが,この中の「彼女のサソリ」は未収録なので,このシングルのみ。
メジャーデビュー前,インディーズ時代のアルバム「アーユーラ? (Are You Ra?)」。先の「グレープフルーツちょうだい」の原型がある。この「グレープフルーツちょうだい」はライブ版も合わせるといろんな種類が存在する。スタジオ録音版も複数あるのは面白い。この中では「うそのアフリカ」が特に好みだ。「されたがっている」「最後の一匹」もよい。
インディーズ時代のライブアルバム「ライブ」。入手のハードルはそこそこ高いが価値はある。
ゆらゆら帝国最後のオリジナルスタジオアルバム。「なんとなく夢を」「一人ぼっちの人工衛星」を聴いていると泣きたくなる。「空洞です」がしみる。
「ザ・コミュニケーション」は面白い。「スィートスポット」が沁みる。
困ったことに,アルバムには入っていない,シングルのみの曲。泣きたくなるような曲なのになぜかアルバム未収録。「つぎの夜へ」は「REMIX 2005-2008」には収録されている。昭和歌謡の雰囲気を持ちつつもゆらゆら帝国の曲。
何となく力が抜けたようなものが多いが,この中に入っている「つぎの夜へ」が好きだ。「太陽の白い粉」に続き,シングルよりもベスト盤に入っているものが好きな曲。
「CLIPS 1998-2003」初期のビデオクリップを集めたもの。「夜行性の生き物三匹」が収録されている。これはなかなかよい。
ゆらゆら帝国は2010年3月31日で解散した。私は情報収集家ではないので,バンドの動向をよく知っていたわけではない。ライブも実は見に行ったことがない。CDショップに入ったときにそのニュースを知った。でもあまり驚かなかった。リミックスのアルバムを聴いて予感はあった。「Sweet Spot」から「空洞です」のラストスパートを聞くと仕方がないと思ってしまう。
Yura Yura Teikoku Live 2005-2009 - ゆらゆら帝国
やはり解散後出てきたやはり出てきたライブ集。解散するとやはり伝説になってしまうのであろうか。私はゆらゆら帝国のライブには入ったことがない。そう考えると私にとっては貴重なライブ集である。
そういうわけで,まんまと買ってしまう。
映像が見られるものが2つでている。「ゆらゆら帝国 LIVE 2005-2009 -DVD-」と「YURA YURA TEIKOKU LIVE 1997-2004」だ。このDVD映像は本当にいい。妖怪的演奏ももう見ることができないのか。
ひたすら3人で演奏している。よく言われているように,途中のしゃべりはない。ぼそぼそと「最後」とか「ありがとう」とかボーカルがつぶやくくらいである。ゲストもなくひたすら3人のみ。ボーカルは変態的動きを時々披露するが,他の2人はしゃべりもしないし,場所もほとんど動かない。特に古い方のものになると2人とも顔を少しうつむいたまま演奏している。ドラムは当たり前かもしれないが,ベースは立って演奏しているが50cmくらいの幅しか移動しない。ベースはリズムに合わせて頭を振ることもしない。ドラムは激しく演奏しているが,ほとんどうつむいたまま没入するように叩いている。ある意味すごい自信を感じる。しゃべらない,場所も動かない2人が,自由で変態的なボーカルを支えているのがわかる。
解散後も密かに活躍の坂本慎太郎
坂本慎太郎のソロデビュー「幻とのつきあい方」
謎歌の連続。
これも「あなたもロボットになれる」など不思議歌の連続。
シングルであるが「まともがわからない」「死者より」「悲しみのない世界」とはまってしまう曲が続く。
メンバーが消えたわけではないし,良いものも出している。しかし,ゆらゆら帝国はなくなってしまった。
永遠に続く「良いもの」はない。
このようなことは昔もあったし,今でもある。受け止めなければならないことだと思う。