King Crimson

借りたテープをカセットデッキに入れ、再生ボタンを押す。数秒の静けさが現われ、最初の音が飛び出す。全く月並みな表現だが、何かで頭を殴られたような衝撃。この衝撃を懐かしく思い出す。

 Starless and Bible Black - King Crimson

これが自分の最初のKing Crimson。「The Greate Deceiver」はまさに頭を殴られたような衝撃。

本当に情報は乏しかった。Starless and Bible Blackが大半の曲がライブ録音であることは最近知った。これはちゃんと聴けば教えてもらわなくても解ってよいことであるが。

時代は変わり,King CrimsonもiTunse Storeで見かけるようになった。

2度目の頭を殴られた衝撃。EarthboundはさすがにiTunes Storeには2019年1月現在入手できない。King Crimsonの中でのこのライブアルバムの扱いを考えるとこれからも期待薄だろう。21th Century Schizoid Manの衝撃はすごい。この曲のこれ以上凶暴な演奏は聴くことができないだろう。

Earthbound(アースバウンド)の21th Century Schizoid Man(21世紀のスキッゾイドマン,昔は異なる邦題であったが)、Starless and Bible Black(暗黒の世界)のGreat Deceiver(偉大なる詐欺師)、と2回味わった。今でも場合によってはそれに近い感動を味わうことができる。人の感性は変わらないというか、自分が全く成熟していないことがわかる。

当時は今のように簡単に情報が簡単に検索できない。Earthboundの衝撃の21th Century Schizoid Man以外の曲が何であんなに気が抜けた曲ばかりなのか理解できなかった。いろんな意見があるようだが,私は奇跡の演奏だと思う。音質が良ければよい,というものではないことを理解した。

これは映画でもいえることだと思う。解像度が高ければ,映像がきれいに見えればそれでよい訳ではない。

 In the Court of the Crimson King - King Crimson

世の中には,陳腐な言い方では「代表作」,大きく言えば「世紀の傑作」が存在するミュージシャンとそうではない人がいると思う。一般的にはこのIn the Court of the Crimson King,いわゆる「宮殿」が代表作となっていると思う。King Crimsonは「世紀の傑作」が存在しない方のグループだと思う。いろんなライブアルバムもあって訳がわからないくらいたくさんの作品がある。熱心と言うか猟奇的なファンもたくさんいるが,一般的に全く同じものが好みという人に出会える確率は低く,友達になれないことが多い。King Crimsonがこれが時に顕著だ。昔も「宮殿」が好きな人は同じKing Crimson好きであっても本当に話が合わなかった。

 Larks Tongues in Aspic - King Crimson

Easy Moneyは21世紀になってからもTV CMでも耳にした。これも素晴らしい曲だ。

 Red - King Crimson

昔はーそんな言い方が正しいのかわからないがーいわゆる「第2期クリムゾン」Larks' Tongues in Aspic(太陽と戦慄)からRed(レッド)までしか聴いていなかった。他はEarthboundくらいしか聴いていなかった。

この時期のKing Crimsonのライブではこの「The Great Deceiver」「Night Watch」は外せないだろう。Redに収録されているProvidenceがロードアイランドのプロビデンスで録音されたimprovisationであったことをこれを聞いて知った。

今は昔と違って,たくさんのライブ音源のCDが出ている。今は亡きGreg Lakeの絶叫による21th Century Schizoid Manを多数揃えたければEpitaph(エピタフ)も一つくらいはよいのではないか。デビューアルバムThe Court of the Crimson King(クリムゾンキングの宮殿)ではわからない,グループが指向していたものがわかるような気がする。かなりスタジオ録音アルバムと印象が違う。こちらの方が好きだ。

 Discipline - King Crimson

70年代後半ちょっとお休みした後に出てきた。代表作。あまりにもそれまでと違いすぎて当時はかなり困惑した。正直言って当時は聴かなくなってしまった。しかし,今となってみれば批判めいたものを考えていたことも間違いであったことが分かった。今はこのころが最高であったのではないかとすら思う。それはライブ盤を聴いてみて感じたことであるが。

Absent Loversは最高傑作と思う。80年代のものは昔は全く聞かなかったが,1984年大阪のコンサートには行った。その当時は正直あまり印象に残らなかった。しかし,不思議なもので今はこの時代のものが最も好きだ。Absent Loversは名盤と思う。

King Crimsonもやはりロックのためのロック。この美しさは一つの「芸能」であると思う。

King CrimsonをiTunes Storeで探す

商魂たくましくいろんなライブを販売している。一つ一つ買ってもいいが相当に金がかかる。手間暇かければ,Tsutayaを使ってもかなり集められる。実店舗をこつこつ回るのも結構楽しい。東京の場合,代官山と渋谷の店,「代官山 蔦屋書店」「SHIBUYA TSUTAYA」に行くだけでも猟奇的に集めることも可能だ。