花植木園芸指導者養成講座
ビオガーデンの作り方と管理
2003.1.22(水) at:埼玉県植物振興センター(川口市安行)

TOP
“ビオトープ”。ご存知の方もいらっしゃることと思います。

簡単に言うと、「失われた自然環境を復元していく作業、場」のことです。
ドイツ語で、BIO「生命」、TOP「場所」という言葉の合成語で、
「生命の楽園」というような意味があります。
「生物の楽園」は野生生物の快適な生息環境であり、
失われつつある自然の復元を目的に進められています。

日本では、15年ほど前に「トンボを呼び戻そう!」と、人工的に池を作り、
木や草を植えメダカなどを放して実践したのがはじまりと言われています。
“大阪の花博”あたりから、“ビオトープ”と呼ばれはじめたそうです。

現在では、環境問題や生物の学習目的で、学校の敷地内や
公共的な工事として全国的に広がり、
マスコミにもたびたび取り上げらているのを見ます。

昨今のガーデニングブームの中で、
“ビオトープ”の考えを少しでも取り入れた、個人の庭などの
限られた狭いスペースで行うことを、“ビオガーデン”と呼ぶのだそうです。

簡単に言うと、「トンボやチョウチョウがやってくる庭にしたいな〜」、ということ
でしょうか。
以前から「鳥が来る庭作り」なんていうのもありますね。

私も、以前より“ビオトープ”には興味があり、
書籍や新聞の切り抜き、インターネットなどで調べておりました。
“ダッシュ村”も毎回観ています^_^;。

“彩の国だより(県民だより)”で講習会の事を知り、早速応募したのでした。
埼玉県植物振興センター正門 参加者約30名
講師は大学の先輩でした。
さすが、植木の街“安行”!
そこかしこに造園・植木屋さん。
講義は、講師の鞄比谷アメニス営業本部木原吉郎先生の
自宅屋上に設置されている“ビオガーデン”を例に、
その作り方と管理をテーマに進められました。

“ビオトープ”というと、すぐに「トンボがやってくる池づくり」が頭に浮かぶのですが、
「ビオトープ=トンボ」ではなく、水辺のないビオトープもあるとのこと。
そうですよね。生物の楽園ですから、水辺生物に限られないですね。

しかし、今回はよく知られている「トンボ、メダカ池」を中心にした内容で安心。

まずは池作り。

「防水」「養生」「水の循環装置」・・・等、「結構大掛かりなんだろうな〜」と、
考えていたのですが、ブルーシートと軽量ブロック、
植生土嚢(しょくせいどのう)等で思ったより簡単に作ってあるのにビックリ!

その他にも、ベビーバスやコンクリートを練るフネとかも利用できるとのこと。

ブルーシートは、水や土嚢に隠れていない部分が
「紫外線で3〜4年くらいで痛むが、それも紫外線予防フィルム等で解消」とのこと。
水の循環やろ過も、生物のバランスを保つことで「必要ない」。

植物は、ホームセンターや金魚屋などで調達。

これまでに、トンボが「ギンヤンマ」「シオカラ」「アキアカネ」等5種類羽化した。
各種蝶も飛来する。
子どもが買ってきたヒキガエルのおたまじゃくしが大人になり、住みついている。
その糞を調べると、主にゴキブリを捕食していることが分かった。
秋には、様々な虫の鳴き声を楽しめる。
近所のツバメの巣の材料に池の周りのドロが使われていた。
メダカは一夏で10匹が約1,000匹に増える・・・など、
楽しい話も聞くことができました。
屋上とは思えませんね。 色々な水槽で水生植物も育てて
います。
池の断面図
参加者は学校の先生、行政の担当者、個人など様々。

ある行政担当者から、
「ビオトープを作ったが、そこに植えた“ヨシ”や“ガマ”が大繁殖してしまい、
近隣の田畑に被害を出してしまった」。
「もともとその地域にはなかったが、水の窒素分吸収に役立つとの認識のみで
導入したのが裏目に出てしまい、現在再造成中」。

本来そこには自生していない植物や生物を導入することへの危惧については
他にも「“メダカ”(近年“絶滅危惧種”にリストアップされた)は、
日本在来種も5種類いるが、外来種なども含め、
ペットショップなどで安易に購入することでの交雑が心配」。

そういう問題もあるわけですね。
「ブラックバスが川や沼、湖に放流され、
在来種が捕食され絶滅に瀕している」。などの話もありますしね。

ビオトープ自体も方法論だけではなく、
理念というか捉え方をもっと深めないといけないようです。
今後も“ビオトープ”“ビオガーデン”について学習を進めていきたいと思います。

そんな勉強中の「花緑工房Koban」ですが、
「ぜひ家の庭にも作ってみたい!」とお考えの方はご連絡下さい。