“軍艦島”かつて炭鉱の島として栄え、その小さな島に5000人の人々が肩を寄せ合い暮らしたと言う…。
その姿をこの目で見てみたい。そう考えた大きいバカと小さいバカは、小船を操り海へでた。
漕ぎ出して見ると軍艦島はみるみる大きくなって行く。思ったより近そうだ。その時、大きいバカは考えた。
「絵が単調やな、、、。」
ばしゃ〜ん
そうこうしているうちに島は目前に迫り、その威容を示した。
現在、軍艦島の周囲は高く厚い壁が取り巻き、人の接近を拒んでいる。
が、入島してしまいました。
島内の建造物は廃墟と化し、完全に崩れ落ちたものも少なくなかった。
ラピュタで言うところの滅びの言葉が唱えられた様だ。
「かなり、ヤバイね。」
「ま、外周は大丈夫やろ。」
二人は相談して探索を続けた。
本で見た“地獄段”と呼ばれる階段も、じきに見つかる。
かつて多くの人々が生活したこの島に、今は誰も居ない。男達はヘルメットをかぶって坑道に潜り、女達はエプロン姿で家事にいそしみ、ここで子供達がグ・リ・コとかやって遊んだのだろう。
小さいバカがそんな事に思いをはせながら外周の4分の3程を過ぎたころ、大きいバカがつぶやいた。
「登るか。」
島中央部は外周に比べ地面に穴が開いていたり、進路が瓦礫でふさがれていたり明らかに危険である。
「マジすか?」
驚いた小さいバカが聞き返した時、大きいバカは既に島中央の高台を目指し草むらに分け入っていた。なんとかたどり着いた高台には灯台があり、島内を見渡すことが出来た。
高台から降りると大きいバカが再びつぶやいた。
「横断できるかな?」
小さいバカが答える。
「かなり階段崩れてるっすよ。」
「大人の階段はいつか登る時が来るもんさ。」
「オレには天国への階段に見えるがな…。」
結局二人の結論は大人の階段ということで落ち着いた…
二人は探索の後、夏草生い茂る島を後にし人の住む街を目指して漕ぎ出した。
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