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 雨はいつまでも降っていた
 傘の端から雨は僕を濡らす
 髪から滴る水が
 足元に吸い込まれる
 雨はいつまでも降っていた...

 哀しいわけじゃないのに
 淋しいわけじゃないのに
 てるてる坊主をつるしても
 この雨は止まなかった
 感動なんかしてないのに
 嬉しいわけでもないのに
 いくら待っても
 雨は降り続いていた

 雨が止めば虹がかかる
 君と僕の間に
 笑顔が生まれればいいのに...
 虹がかかればいいのに...
 ...それなのに
 雨はいつまでも降っていた
 君は雨が止むのを待ってくれていた




  暖涙

 1ヶ月の記念日を
 君は覚えててくれたんだね
 電話の向こう側の君の声が
 手の届くところにあった
 もちろん僕は知ってたけど
 まさか君が知ってるとは思わなかった
 電話の何気な一言が嬉しくて
 君の声が聴こえなくなるほど
 涙を流してしまった

 頬を伝う涙は暖かかった
 君の温もりまでもが
 涙に含まれていそうな気がした
 涙に映る君の声が優しくて
 一度は止まった涙がまた流れ出した
 夏の夜中はまだ蒸し暑くて
 それに君の電話もあったから
 その日の夜は瞼が閉じなかった
 いつまでも声の残響は鳴り続け
 僕の目は渇くことはなかった

 たった1ヶ月でも
 いろんな事がありすぎた
 想い出は1年分以上もあって
 保存しきれないほどまでになった
 でも君のことで泣いたのは
 たぶん初めてだったよね
 久しぶりに流した涙が
 こんなに暖かかったなんて
 ずっと忘れてた......




  去涙

 別れの言葉が喉まで来てるのに
 君を目の前にするとやっぱり出てこなかった
 絡んでた指が離れ
 その手を使って君に別れるのは
 やっぱり嫌だった
 君は僕に触れた逆の手を僕に振った
 まだ君の温もりが手のひらにあって
 僕は君にその手を振りたくなかった

 君の後姿なんかもう既に見えなくなっていて
 足音だけが地面に響いていた
 君の体温を手のひらに感じ
 未だ覚めない君の魔法に
 僕は去った君を想って涙を零した
 涙を落とせば魔法が解ける...
 そんなコトもなく
 僕の手に残った感触はずっとずっと消えなかった

 手を洗うと君まで流されそうで
 僕は帰っても自分の手を見つめるだけだった
 この手で君と...
 自動ドアの向こうに消えた君が
 また僕の眼の奥に甦った
 洗面所の蛇口は捻りっぱなしで
 鏡には僕の泣き顔が映っていた...




  乾涙

 哀しいのに涙は落ちなかった
 淋しいのに涙は流れなかった
 いや...涙は出たはずだった
 でも感触がない
 泣き声はあげていた
 目が熱くなるのも感じた
 でも頬に水滴が感じられなかった

 嬉しすぎて泣きそうになった
 感動して涙が出そうになった
 でも...涙はいくら待っても零れてこない
 手で目を覆っても
 空を見上げていても
 頬に水滴が感じられなかった

 もう乾いてしまったのか
 もう涙は出ないのか
 つまらないことで涙していたあの頃が
 今になって思い出してくる
 もっと大切に涙を使ってれば...
 無理なことばかりが頭をよぎる
 泣けない自分が淋しくて
 哀しい顔だけはしていた......