Sheryl Crow @ 東京国際フォーラム (東京) (Mar. 2, '10)
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Sherylの1年2ヶ月振りとなる来日公演初日を見てきました。今回はJackson Browneとのジョイントツアーという、ちょっと珍しい形のツアーとなりました(が、UDOは最近こういうのに味を占めている模様。。)。SherylとJackson Browneとの接点というと、まず思い浮かぶのがDetoursのiTunes Store US 限定ボーナストラックでの"Doctor My Eyes" のカバーですが、'05年にはJames TaylorがMusicare Person of the Yearを受賞した時の記念コンサートで共演したこともあります。もっと最近では、グラミー賞授賞式の数日前に映画監督Paul Haggis主催のチャリティイベントや、Neil YoungのMusicare Person of the Year受賞記念コンサートに二人とも参加してました(共演はなかったかも)。ただ、SherylはLinda Ronstadtを最も影響を受けたシンガーの一人にあげるくらいですし、前述のJames Taylorを始めとしたシンガーソングライター、Eagles(Sheryl本人はもちろん、Linda Ronstadt, Jackson Browneともつながりがありますね)などのウェストコーストロック系にも大きな影響を受けているのは明らかですから、そういう意味ではそれほど突拍子もないカップリングというわけではないと思います(日本でのファン層はわかりませんが)。ステージ上ではJackson Browne、Sherylの両方が共演を楽しみにしている、と何度も口にし、お互い心から敬意を払っている様が伺えました。最初に出てくる方が前座という扱いにはまったくなっていないツアーなのでSherylの演奏時間は通常より若干短いですが、だからといって見に行くのを見送るにはあまりに惜しいツアーだと言えます。
コンサートはまずJackson Browneが7時を8分ほど過ぎたところでバンドともに登場してスタート。バンドは、UDOでも紹介されていたように4人+2人のバックボーカルで、12曲で1時間18分ほどの演奏でした。Jackson Browne目当てのファン(ハムレットのような葛藤があった人もいるみたいですが)も結構来ていたようで(自分の周りにはJackson Browneの昔の(海外の?)ツアーや最近の来日公演のTシャツ着てる人もいました)、場内はほぼ満員に思えたのですが、観客の反応は終始マイルドでした。でも、最後のRunning on Emptyでは場内総立ちになってました。個人的にはJackson Browneの音楽はあまり聞かないので、バックボーカルのアフリカ系女性2人の迫力に驚きました。始めのうちはミスマッチな気が正直したのですが、Valerie Carterがコーラスをやっていれば、と思うと違和感はなくなりました。
Jackson Browneのステージの後、20分強のセットチェンジ&休憩を挟んで、8時50分ころにバンドメンバーに続いてSherylが登場し、Sherylのコンサートが始まりました。Sherylの衣装は、水色のジーンズにラメの散りばめられたベージュのトップ(服の種類の名称がわかりません、、以前着ている姿を写真で見たことがある服装です)でした。バンドは、UDOからあらかじめ発表されていた通りで、前回のツアーからWally IngramとJon Buttonが抜けただけ(Tim Smith, Peter Stroud, Mike Rowe, Jeremy Stacey, Nayanna Holley, Stephanie Alexander)で、その分今回Sherylはちゃんとギターを持って演奏してました。コンサートはA Changeから始まりましたが、イントロはちょっといつもと変わっていて、耳慣れたフレーズが奏でられるまではそれとわかりませんでした。この曲から始まるのは最近の北米ツアーの流れに沿っていてとてもいいと思いますが、日本ではこの曲から始まるコンサートは初めてかもしれませんね。時間の制約があるからか、この後はMCもそこそこに、Sheryl達はほぼメドレー状態でどんどん演奏して行きました(※途中まで演奏したら曲を変えていくという形ではなく、ちゃんと1曲1曲演奏しきってから、音を途切れさせることなく次の曲に入るという形です)。ですが、このように一気に演奏が進んでいくようなセットの方がSherylの出来がいいことが多いので、安心して聞いていられました。実際、Sherylは演奏によく集中していたと思いますし、曲によってはPeterやJeremyの見せ場もしっかり用意されていました。前回のツアーと違って、今回はほとんどの曲でギター(かベース)を持っているために歌に専念する場面はほとんどありませんが、だからこそ逆に初期(というかセカンドアルバムのツアーのころ)のSherylを見ているような感覚を味わうことができ、前回のツアーとは違った意味で感慨深いものがありました。そうした感覚を特に強く味わえたのがStrong Enough, My Favorite Mistake, Homeといったところで、Strong Enoughはそれこそ昔のような素朴な歌い方(歌詞を噛み締めながら歌っている感じ)で良かったですし、久しぶりに聞けたHomeもとても良かったです。そして、日本ではこれまで演奏されたことのない、The First Cut Is the Deepestを演奏してくれたのはとても嬉しかったです。この曲は前回のツアーで演奏されなかったので日本で生で聞くことはもう出来ないとあきらめていただけに、Sherylが曲紹介をしたときは感激しました。この曲、AOR路線だと悪く言う人も中にはいますが、今のSherylにとっても合ったアレンジになっていて、Sherylの歌声も味わい深く、リリースされた当時から個人的にはとても好きな歌です(もっというと、Rod Stewartのバージョンももともと好きでした)。この曲が聞けるだけでも今回のツアーは見る価値があると思いますが、Real Gone(ピクサー映画のCarsに使われた曲)が演奏されたのも特筆できます。この曲ではSherylは久しぶりにハーモニカの演奏も披露してくれますが、その姿がとにかくかっこいいです。それ以外の場面でのSherylの姿もロックしていて、今回のコンサートの中で一番見栄えがする歌だと思いました。この曲のあとにも、やはり前回は演奏されなかったThere Goes the Neighborhoodが復活し、今回もOut of Our Headsが演奏され、本編の最後は今回もEveryday Is A Winding Roadだった、といったことが嬉しく、とても満足ができるコンサートでした。アンコールはSheryl達だけで出てきたのでもしかして共演はないのかな、と思っていたらそんなことはなく、SherylがJakcson Browneを呼び出して、両者の共演で2曲が演奏されました(ボーカルもちゃんと分け合ってました)。最後に全員で挨拶をしたときも、ステージから下がろうとしたJackson BrowneをSherylが呼び止めて、一緒に挨拶をしていたのもいい光景でした。
セットリストは以下の通りです(※Jackson Browneの方のセットリストはUDOで紹介されてます):
1. A Change
2. Love is Free
3. Leaving Las Vegas
4. Strong Enough
5. Can't Cry Any More ~ I Can See Clearly Now
6. My Favorite Mistake
7. The First Cut Is the Deepest
8. Detours
9. Home
10. Real Gone
11. There Goes the Neighborhood
12. If It Makes You Happy
13. Out of Our Heads
14. Soak up the Sun
15. Everyday Is A Winding Road
(Encore)
16. Doctor My Eyes
17. Peace, Love & Understanding ※Elvis Costelloのカバー
※アンコールの2曲はJackson Browneと共演
本編だけで 1時間17分、アンコール含めて 1時間28分(※終わったのは10時20分頃です)
観客の反応はJackson Browneのときよりは良かったですが(ほとんどの人が1曲目から立ってた)、それでもやっぱり少し静かだったように思うので、これから見に行く人は頑張ってください。