Sheryl Crow @ 日本武道館(東京) (Oct. 21, '02)
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3年ぶりの待望の日本ツアーの初日@武道館を見てきました。最初に言っておきますが、今回のSherylは見逃しちゃいけません。歌や演奏はもちろんひとつひとつの動きにもとても貫禄が感じられ、全編見せ場と言えるようなパフォーマンスを見せてくれます。

私は会場には7時の10分ほど前というけっこうギリギリの時間に着いたのですが、観客の集まりが比較的よくて、7時を回った頃にはほぼ満員になってました(スタンドの立ち見客もかなりいましたね)。7時を10分ほど過ぎたところで客電が落ちて、Peter Stroudを先頭にバンドメンバーとともにSherylも登場してコンサートが始まりました。

今日のSherylは星条旗ライクなビニールのパンツに大きく胸の開いたデニムのシャツという衣装で、その衣装からも今回のツアーがロック度の高いものであるだろうことを予想させられます。実際3、4曲ずつくらいをひとまとまりとして、メドレーのように曲間をほとんど開けずにどんどん進むその演奏は、セカンドアルバムの時のツアーを思い起こさせるほどロック度が高かったです。前回のツアーではアルバム同様成熟した完成度を感じさせてくれましたが、その反面少し落ち着いてしまったと感じさせられたのも事実。それでもAm I Getting ThroughやIt Don't Hurtなどでストリングスセクションが有機的に機能して、バンド一丸となった、まとまった迫力のある演奏を聞かせてくれてました。今回は前回のツアーメンバーからストリングスセクションのLorenza Ponce(前回日本には来なかったけど)とMatt Brubeckが抜けた4人 ーTim Smith, Peter Stroud, Jim Bogios, Mike Rowe ーで、特にLorenza Ponceが抜けて正直どうなるかと思ってましたが、ストリングスがないことをむしろプラスにするようなタイトなロックサウンドを聞かせてくれました。

今日のセットリストは以下の通りです:
Steve McQueen
Everyday is a Winding Road
My Favorite Mistake
C'mon C'mon
You're An Original
Leaving Las Vegas
Strong Enough
If It Makes You Happy
Lucky Kid
Hole in My Pocket
The Difficult Kind
A Change/I Can't Explain
Home
All I Wanna Do
Soak up the Sun
There Goes the Neighborhood
(Encore)
Safe & Sound
Rock and Roll
オフィシャル・サイトのセットリストに載っているWeather Channelは今日は演奏されてません。

今日のコンサートはまずSEのバイクの音でスタート。Steve McQueenです。今年初頭のヨーロッパツアーなどでの演奏と較べて格段にエネルギッシュで完成度の上がったSherylの歌を聞いて、今日のコンサートがいいものになることは確信しました。この曲の後半にはドラムのJimを除いた全員がステージ前方に集まってギター、ベースを演奏するという見せ場もありました(Peterが一番目立ってましたね)。この後Everyday is A Winding Road, My Favorite Mistakeといきなり代表曲が続きましたが、特に Everyday〜では前回のツアーと違ってSherylは終始アコギを演奏しながら歌っており、今回のツアーが”演奏”に重点を置いていることが伺えました。

「こんばんは」、「こんにちは」(笑)、「お元気ですか?」、「すいません」などと日本語のフレーズを少し話したりした後にC'mon C'monが演奏されましたが、この曲でのSherylの歌声は伸びやかで声量もあり、アルバムバージョンよりも格段に良くなっていました(Stevieがいないことだけを除けば、ね)。前半のハイライトの一つです。続くYou're An Original, Leaving Las Vegas(コーラス付けましょうね)も良かったですが、その後の2曲がとっても素晴らしかったです。ミラーボールも似合うゆったりとした幻想的な演奏のStrong Enough、また途中わざとダルな歌い方をしたと思ったら一転突き抜けるようにコーラスを歌い上げるIf It Makes You Happy。好対照をなすこの2曲が今日のSherylの出来をよく物語っていました。

続くLucky KidではSherylはギターを置き、マイクをスタンドから外して動き回りながら歌ってましたが、その動きの一つ一つが決まってて貫禄に溢れており、視線を釘付けにされました。私はアリーナの左側(Peterのやや左のブロック)の3列目にいたのですが、途中Sherylがすぐ目の前まで来てくれて、その動きをじっくりと間近で見ることが出来ました。この曲もアルバムよりも遥かに良くなってましたね。TimとJimのコーラスが楽しいHole in My Pocketに続いてはThe Difficult Kindが演奏されました。この曲こそ前回のツアーで最もストリングスセクションが貢献してた曲だと思いますが、Sherylの歌が良く、物足りなさなどまったくありませんでした。この後演奏されたHome(Peterのギターの元気なこと)とならんでロッカ・バラードの魅力を味あわせてくれました。

そして今日のハイライトはなんといってもA Change〜I Can't Explainの流れで、イントロでSherylが空に足を蹴りあげた瞬間(ここしかないというタイミングです)から、会場のノリがこれまでのどの曲をも上回ってました。Jim Bogiosのボーカルもそのドラミング同様パワフルで、この時ばかりはSherylも脇役に徹してました。

Sheryl自身楽しみながら演奏していたAll I Wanna Doからの3曲もライブならではの魅力を発散していて、文句無しに楽しかったです。特にThere Goes the Neighborhoodはいつ聞いてもバンドのまとまりを最も感じさせてくれる、ライブで映える歌だと実感出来ます。

アンコールではピアノが運び込まれ、Sherylはトップをレザーのベスト(Steve McQueenのプロモで着てるあれです)に替え、腕には紅白模様でたくさんのフリンジが付いたアームバンドを身に付けて登場。今回最も聞きたかった曲の一つであるSafe & Soundを演奏してくれたあと、おもむろにピアノの上へ(この先はとりあえず自粛)。かっこいいという言葉しか浮かんでこない貫禄のパフォーマンスを見せてくれました。Sherylって身長150cmそこそこしかないんですが、ステージ上(この場合ピアノ上)ではそんなこと信じられないくらいとっても大きく見える(少なくともTim Smithと同じくらいには見えます)ところがすごいです。本編だけで約1時間半、トータルで1時間40分強のステージはとても楽しくて満足度が高く、やっぱりSherylは本物だと改めて実感できるライブでした。

今回のツアーグッズはツアープログラムのほか、TシャツがちびT含めて4種類くらいとバンダナ、ステッカーが2種類、あとキーチェーン(サーフボード形状)といった感じでした。プログラム(買いました)以外はあまり期待しない方がいいかもしれません。。。

(ここから先おまけ)
私は今年のGWにLAで行われたFan Nation 2でのSherylを見に行ったのですが、このときのSherylは体調が良くなかったのか(サイン会の時から)今一つ元気がなくて、Steve McQueenなどの新曲もアルバムバージョンの出来とくらべるとバンドの演奏自体は良かったものの肝心のSherylのボーカルにパワーが感じられなくて、不完全燃焼に終わったのです。でも今回のライブはSherylが長い全米ツアーを経て鍛えられ、ほぼ完成形に達していると思える素晴らしい出来でした。実は告白すると、Fan Nation 2でのパフォーマンスの件があって、今年の3月に言葉を失うほど素晴らしい圧倒的なライブパフォーマンスを見せてくれたEddi Readerとはちょっと思い入れに差が付いてしまっていたのですが、今回のライブで再び匹敵するポジションまで戻って来ました。

明日の名古屋も行きます。

PS
当日券は5時半からアリーナ/一階席用の入り口の右脇にあるブースで売っていたみたいです。24日もきっと出るでしょう。


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