Paula Cole Band (4/8@ラフォーレミュージアム原宿)


Paula Cole Bandの東京公演初日の初回を見てきました。彼女にとって初来日となる今回、東京では今日、明日の2日間で、両日とも1日2回公演という信じがたい予定の公演が組まれています。タフな(動きが激しい)ステージングには定評がある彼女だけにこんなにやって最後まで持つかは少し心配。

しかし今日見たコンサートは結論からいうと非常に素晴らしいもので、個人的には初めて見たライブとしてはSheryl Crowの初来日公演(@リキッドルーム)に匹敵するほどの衝撃を与えてくれました(この意味分かりますね :-)。Eddi ReaderからAni Difranco、そしてAlanis Morissette, Fiona Appleまでのすべての女性ボーカルファンに見に行かれることを強くお薦めします。今回見逃すと後々後悔することになることでしょう。

会場となったラフォーレミュージアム原宿はコンサートもやる、といった場所(けど立ち見にはならない)なので折り畳み式の椅子が置かれていて、整理番号順入場の自由席という体裁でした。ちなみにここは3年前のJewelの初来日公演でも使われた場所です(このときは体育館に置かれるような椅子だった)。チケットの売れ行きが心配されていたのですが、250席ほどの椅子は全て埋まり、(Jewelのときのように”たくさん”というほどではないが)少し立ち見の人もいるほどでした。私は初回の5時からの回を見ました。

(セットリスト)
1. Rhythm of Life
2. Mississippi
3. Amen
4. Be Somebody
5. Throwing Stones
6. Pearl
7. Tiger
8. Where Have All the Cowboys Gone?
9. I Believe in Love
10. Me
11. God is Watching
(Encore)
12. Feelin' Love
13. ?
14. I Don't Want to Wait
本編11曲+アンコール3曲の構成。

10分ほど遅れてアルバムにバンド名義でクレジットされている3人で出てきてPaulaの力強い手拍子で始まった1曲目は、ドラマーいるけどドラムマシーンの音を加えての演奏でした。たっぷりとした声量で、非常に通りの良い声を自由自在に駆使するPaulaの歌は素晴らしく、最初の一声を聞いた瞬間から私は彼女の声に釘付けになりました。そしてこの曲が終わるころには明日もチケットを買ってまた見にくることを決めていました。

1曲目が終わるとさらにキーボード、バイオリン担当の女性とベース担当の男性(元Living Color)が出て来て、これ以降はこの5人による演奏となりました。2曲目の前に「気軽に踊って」というようなことをPaulaが言って演奏が始まった瞬間、椅子座っていた人達が続々と立ち上がり、早くも総立ち状態になりいい雰囲気。3曲目のAmenを歌う前には「雷のように突然出来た曲で、神様からの贈り物」と紹介していました。歌いはじめる前に上着を脱いで上半身半袖になったPaulaは腕も存分に動かして、リズムに合わせて動き回ります。感心するのはただ動き回るのではなく、バックの演奏を巧く捉えた動きをしていることで、リズム感の良さを窺わせます。

5曲目のThrowing StonesではPaula自らピアノを弾いての演奏でアルバムよりさらに激しいアレンジとなっていましたが、Paulaの歌声はそれに全く負けることがない力強いものでした。途中静かになる部分で、ハイトーンで丁寧に歌うところでもPaulaの声はしっかりと会場中に響き渡っていました。動→静、また静→動と一瞬で見事に切り替えるところはJewelを思い起こさせますが、Paulaの方が乱れもなく自然で、けど凄みがあります。この辺になると観客の方ものってきて、演奏後の拍手や歓声も大きくなってきました。

彼女にとってブレイクのきっかけとなった曲、Where Have All the Cowboys Gone?から最新アルバムからのシングル、I Believe in LoveといったところではPaulaの顔からも笑みがこぼれ、楽しんで演奏していることが分かります。それにしてもこの2曲は凄かった。Where〜はアルバムでのアレンジが凝った曲だけにPaulaのバックコーラスのテープを使いながらの演奏でしたが(注:これは手抜きではなくて普通のことです)、前面に出てくるのはあくまで彼女の生の声。簡単ではないこの歌が生命感溢れる歌声で歌われると、やはりいい曲であることを改めて実感。I Believe in Loveもアルバムのようにストリングスは入りませんが、活き活きとした歌声は印象的でした。

本編は約1時間で終わり、ベース以外の4人で出てきたアンコールの1曲目ではキーボードの女性もコーラスに参加して、Paulaもギターを抱えての演奏となりました。2曲目ではPaulaはステージ後方の椅子に座って目を閉じながらゆったりとした歌を聞かせ、ギターのソロなどに目を閉じたまま優しく微笑みかけていました。そして最後お待ちかねのI Don't Want to Waitは日本でも映画City of AngelsのCMに使われて(CMだけでサントラには未収録)話題をとった歌だけに、イントロだけで大歓声が湧きました。映画の他にもアメリカのテレビドラマDawson's Creekにも使われたりして本人も代表曲という意識があるようです。この曲はブレイクしたセカンドアルバムThis Fireのなかでも聞き易い歌だと思いますが、ライブで聞いてみるとそのメロディが綺麗なのはもちろん、やはりPaulaのボーカルコントロールの巧さが際だつ曲でした。

終始一点の乱れもなく、硬軟自在に使い分け、たっぷりな声量で聞かせる、そして魅せたコンサートは実に素晴らしいものでした(間違いなく今まで見た全ての中でトップ10に入る)。トータルで1時間20分強という時間は少し短いですが、満足度は非常に高く、去年のMary Black, 一昨年のSarah McLachlanすら上回る出来だったと言えます。今年これから見るコンサートはこれを基準(目標)に較べてしまうことになるでしょう。

 

#明日も見に行きます。

 

関連リンク:
オフィシャルサイト
House of Blues(ライブが見られる)
Lilith Fair '97(インタビューが見られる)
Bayern 3(ドイツでのライブからの音源が聞ける)
Rhythm of Life
(悠)さんによるPaula Cole Bandのファン・サイト。

 

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