Guildford Live Festival ('00/7/30@Stoke Park, Guildford (UK))
7/30(最終日)→ この日の写真はこちら
Cambridge Folk Festivalの最終日を捨ててほぼ同じ期間に開催されていたGuildford Live Festivalの最終日を見てきました。この日はVan MorrisonにJools Holland、そしてKathryn Williamsが出演するということで行くことにしたのですが、いまイギリスで売り出し中のDavid Grayも出演するということで同じ日のCambridge Folk Festivalよりは遥かに魅力的なラインアップだったと言えると思います。
会場に着いたのがKathryn Williamsの開始予定時間の5分前だったのにチケット交換で手間取って結局見ることが出来ず、やっと入った時には(違うステージでの)次のJoan Armatradingが既に始まっていました。バンドは彼女の他にパーカッションとキーボードを主に担当する二人で、曲によってはベースやサックスなどが加わっての演奏でした。彼女の作品はあまり聞いたことがなく、ライブを見たのももちろん初めてなのですが、その低く張りのある声による歌は静かではあるものの説得力があると感じました。後半は観客が合唱することも多く、その人気には正直驚かされました。前日にアメリカから戻ってきてこのあと飛行機でドイツに移動してまたコンサートをすると言っていたので確実なファンベースが存在するのでしょう。
その後は一旦ステージの方から離れ昼食。Noodle Sumoというのを食べましたが、何のことはないただの焼そばです。でも焼そばなのにトマトが入っていたり、「日本から持ってきた送られた」と書いてあるにも関わらず独特な味のするソースなど多少変な点はありましたが、わりと美味しかった。
食べ終わってステージに戻るとその後のThe Hamstersというバンドの演奏が始まっていました。ギターにベース、ドラムが加わったスリーピース・バンドで、ZZ Top的なロックを展開していました(と思っていたらZZ Topのカバーもやってた)。着飾った?Neil Youngといったルックスのギター&ボーカル担当のメンバーはAlbet Collinsに”(音楽的な)子供の一人”と言われたらしいです。この人達は毎年このフェスティバルに出演しているらしく、その為かなり盛上がっていました。最後の方にはメンバーが楽器を持ち替えて演奏するというサービス?もありました。
この後ステージ前2列目まで進み、未聴のアーティストのうち今回の旅行で最も生で見るのを楽しみにしていたDavid Grayのステージが始まるのを待ちます。するとBGMで流れてきたのはSherylのMaybe Angels(^-^)。Sheryl CrowのCDをそのまま流していたようで、その後も曲を飛ばすことなくSweet Rosalynまでいったところで突然サウンドチェックをしていたDavid Grayのバンドのドラマーが余興のつもりか演奏を始めました。じゃまだ!どけ!と心のなかで思っているとほどなく終了し、またIf It Makes You HappyからLove Is A Good Thingまでかかりました。If It〜ではコーラス部で会場から合唱が起こり、その後も私と横にいた女の子3人のグループ(ひとりがSheryl+Sophie B Hawkinsな感じだった)は合唱してました。こんなに退屈しないサウンドチェックの時間も珍しい。
バンドメンバーの一人がトラブルで到着しなかった為に少し開始が遅れたものの、プレス関係者が約20人ステージ前に陣取っていたのが彼が旬のアーティスト(シングルがトップ5で、アルバムも2位まで上がった)であることを物語っていました。バンドは本人の他にはベース、キーボード、ドラムが加わり、David Gray自身はギターと曲によってはキーボードを演奏していました。全部で10曲+アンコール1曲を演奏したのですが、会場の反応は期待していた人が多かったためかかなり良かったです。7曲目に演奏されたブレイクのきっかけとなった曲、Babylon(今年のイギリスを代表する1曲となるでしょう)での観客の熱狂ぶりは凄まじく、大合唱が起こっていました。私もこの曲は本当にいい曲だと思う。彼の声はハスキーさを抑えたBob Dylanといった感じで、歌い方にも彼の影響が感じられました。音楽的にはニューウェーブを通過したフォークという感じでしたが、本編最後の曲ではエッジを効かせたベースを強調するだけでなくLed ZeppelinのWhole Lotta Loveの一節を思いっきりシャウトして見せ、意外な一面も見せてくれました。また一人でキーボードを演奏してじっくり聞かせる曲もあったりして幅の広さが感じられました。
この後のセットチェンジ中最初にかかったのはShelby LynneのYour Liesでまた私好みの選曲だと思っていたら、この後は1曲ごとに違うアーティストの曲がかかって少しがっかり。長めのサウンドチェック時間を少し退屈しながらJools Hollandを待ちました。予定時間よりも少し早めに、まずドラム、ギター、キーボードなど4人のメンバーを率いてJools Hollandは出てきたのですが、2曲演奏した後には9人という大編成のホーンセクションと(美人)女性ボーカル(パワフルな歌を聞かせてました)が登場し、このあとは総勢16人という大人数での演奏となりました。これだけの人数がいる為にその迫力は並み大抵のものではなく、'50s〜'60sのころのオールドタイム・ロックを現代風にアレンジしたスイング感のある演奏は全く古臭さを感じさせない緊張感と迫力のあるものでした。そして特筆すべきはJools Hollandのサービス精神(予定時間より早く出てきたのもそうでしょう)で、普段キーボードを担当している弟のChristopherにピアノを弾かせたり、ホーンセクションの各メンバーに見せ場を設けてたりしてメンバーへの気遣いを見せるだけでなく、一度観客全員を座らせてから合図で立ち上がるように促したり、観客をいくつかのブロックに分けて「ここからここまではこう歌って、こっちはこう歌って」というふうに演奏に積極的に参加するように呼び掛けて、会場を上手く盛り上げていました。この人、観客を乗せるのが非常に上手い。約70分で18曲くらい?のステージは非常に楽しく完成度の高いものでした。
そしてこの日のとりを務めるのはVan Morrison。まずバンドメンバー8人が登場して軽く1曲演奏してVanを迎え入れます。その後11曲が演奏され、アンコールでもう1曲、トータルで約1時間のステージでした。周りには熱狂的なファンも多く、たびたび合唱が起こって非常に盛上がりました。で見た感想なのですが、、、Vanの声の強さ、歌の魅力はわかったし、バンドの演奏は確実で破綻のないものだったのだけど、ジャムセッション的なハプニングや緊張感は希薄でちょっと緩く感じてしまいました。直前にJools Hollandバンドのエネルギッシュで見せ場の多い演奏を見ただけになおさらそう感じたのかもしれません。でも私がいままでVanのライブを見てきたことがないからかもしれませんが、Van Morrisonくらいのアーティストならもっと高いレベルのパフォーマンスを見せてくれるだろうと期待していました。それでも5曲目くらいにJames Brownの曲のフレーズを突然口ずさみ、バンドに”ファンキーに”演奏することを要求して演奏が一変した時とか、アンコールでモジュレーターを使ってそれまで以上にエモーショナルな歌を披露した瞬間とかは期待に沿うレベルの演奏でした。とはいえ、6曲目のBrown-eyed Girl以降での観客の熱狂ぶりは凄まじく、ステージ直前の特別ゾーンから男性客二人がステージに興奮のあまり飛び出したのは余計としても場内からは大合唱が起こり、1曲終わるごとに大歓声が上がっていてその人気のほどを体験することが出来ました。
全体的には期待以上のレベルのパフォーマンスが見られ、満足できた1日でした。
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