Insensitive Songwriter
(Mark Nevin, '99)
Raresongs Recordings, markned1(英盤)
曲目
1. Have A Go Hero
2. Blue Rose
3. Simple Faith
4. Impossible Eyes
5. What the Hell is Going On?
6. Queen of Angels
7. Heatwave in a Ghost Town
8. Home
9. You Don't Have to Make Me Laugh
10. Thank You Goodnight
クレジット
(ソングライティング)
1, 3, 6, 9. Mark Nevin
2. Mark Nevin and James Hallawell
4. Mark Nevin/Bob Dipero/Graeme Duffin
5. Mark Nevin/Rebecca Martin/Graeme Duffin
7. Mark Nevin and Deborah Mollison
8. Mark Nevin and Edward Shearmur
10. Mark Nevin/Joey Tempest/Jenny Jones
(プロデュース)
All except 6: Mark Nevin
6. Stephen Lipson
概要
イギリスでは6/28に発売された、Mark E. Nevin初のソロアルバム。Fairground Attractionの来日公演からちょうど10年を経て発表されたのが個人的には感慨深い。この作品からアーティスト表記がMark Nevinに変わっている。レコード会社の契約の誘いを断り、自ら設立したレーベル、Raresong Recordingsからの発表となった。
地味なアルバムである。Fairground Attraction時代の小気味良い曲調やEddiの緩急をつけたボーカル、あるいはSweetmouthにおけるロマンチックな歌詞を期待して聞くと肩透かしを食らうだろう。待ちかねたこのアルバムが7月初旬、イギリスから届いて初めて聞いた時は私も正直ちょっと戸惑った。しかしこれが現在のMarkを反映した曲の数々なのだ。
いままで他のシンガーを立てて自ら歌うことのなかったMarkが全編ボーカルを取っているということがまず興味を引く。ゆったりとした曲を噛み締めるように歌っていくその歌い方にBob Dylanを連想する人も多いだろう。
曲の方はFairground Attraction時代よりも少ない楽器数で演奏した、シンプルな曲調のものが多い。そんななかでRoger Beaujolais(Fairground Attractionとのツアー経験も有り)のビブラフォンがいいアクセントになっている。
穏やかなギターのイントロにのってMarkが静かに歌い始める1はこのアルバムの持つムードを象徴する曲だと思う。優しいメロディに合わせてMarkが歌うこの曲は、The First of A Million Kissesを聞き終えた時に耳に残っているA Smile in A Whisperのような存在だといったら言い過ぎだろうか。そう感じる理由の一つはやはりビブラフォンの音色が印象的に響くからだと思う。
この後も穏やかな演奏の曲が続く中で3のSimple Faithと、アルバムのリードトラックで女声コーラスも入っている6のQueen of Angelsは、このアルバム中で例外的に色がついていると言える曲で、聞きやすいだろう。
歌詞に関しては1人称の視点で語られる曲が多かったFairground Attraction時代とは異なり、1、5、8、9、10など目の前の相手に自らの気持ちを語りかけていくようなスタイルの曲が多い。そんななかで彼ならではのラブソング4、タイトルからしてFA的な6、Comedy Waltzと似たテーマに違うアプローチをしている7などはFairground Attraction時代の曲を思わせるところがあると思う。
歌に関してはやはりEddiやBrian Kennedyのように歌うというわけにはいかず、ところどころで声が震えたりペースを乱してしまうようなところもあり、まだ歌うことに不馴れなのが覗く時がある。しかしMarkはまだ自らの言葉を自分で歌い始めたばかりなのだ。これからライブ経験を積むに従って自らの歌い方を確立していくことだろう。Dotmusicでのインタビューで披露したQueen of Angelsではうまく感情を込めた歌を披露しており、これからの進歩に期待を持たせてくれる。じっくりと向かい合って聞いて、初めて価値が分かるアルバムだと思う。
アルバムにクレジットされているバンドメンバーは以下の通り:
Mark Nevin - ボーカル、ギター
Roger Beaujolais - ビブラフォン
Roy Dodds - ドラム
Julian Crampton - ベース
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