”ロックを通過した生楽器音楽が英国席巻”


 突然全英チャートの1位に輝いた曲がある。”パーフェクト”というのがそれ。歌っているのはフェアグラウンド・アトラクションというグループ。今どき珍しいというか、今だからこそというべきか、彼ら4人組の披露する音楽は、完全にアコースティックなものである。

 イギリスの音楽紙も”パーフェクト”の大ヒットで彼らに急接近したようで、ようやくインタビュー記事も見かけるようになった。

 既にイギリスではデビュー・アルバム『The First of A Million Kisses』も発売され(日本発売は8月21日)好調なセールスをあげているようだ。

 紅一点のヴォーカリスト、エディ・リーダーは、これまでにユーリズミックス、アリソン・モイエ、ウォーターボーイズ、ギャング・オブ・フォー等のバック・ヴォーカルを勤め、またアリソンと一緒に来日したこともあるという。彼女の声はトレイシー・ソーンとマリア・マルダーのちょうど中間に位置するような感じで、涼しさと暖かさを共に運んでくる。顔のエラの張り具合にはボニー・レイット(プリンスのペイズリー・パーク・レーベルから新作を出す!)の面影もあったりする。

 彼女はアリソンのツアーで来日した時、あまりの物価の高さにあきれて、毎日ハンバーガーを食べていたというから、日本に対してはあまり好い印象を持っていないようだ。

 彼らの音楽の魅力は彼女のヴォーカルとマーク・ネヴィン(g)の作る曲自体の素晴らしさにある。ロックをしっかり通過した感覚を持つアコースティック・サウンド。とでも言えようか。写真(注:The First of A Million Kissesのブックレットの中に使われている写真 = トップページに使用している写真)からも分かるように、街頭演奏も可能なスタイルでもあり、まさに誰もがちょっと手をのばせば触れることのできる音楽だ。

 もしかしたら、日本でも大歓迎されるかもしれない。

 

筆者: 村田幸治

from クロスビート '88/8号

 

Articlesトップに戻る

トップページに戻る