Eddi Reader: "エディ・リーダー"
3年前、その新鮮で心暖まるアコースティック・サウンドで、デビュー・アルバムからいきなり全英ナンバー・ワンに昇りつめてしまったフェアーグラウンド・アトラクションを覚えているだろうか。そのリード・ヴォーカリストとして、暖かい歌声を聴かせてくれたのがエディ・リーダー。フェアーグラウンド〜は、’89年の来日公演の後しばらく確たる理由も分からないまま突然解散。その解散の理由は、『商業的な成功で本意の音楽活動が出来なくなってしまったこと』が大きな原因だったようだ。
そして今、よりピュアにアコースティックで素朴で暖かみのある歌になって、忘れていた音が戻ってきた。アコースティック楽器中心の歌を大事にする姿勢はフェアグラウンド〜の頃から変わらず、バンド当時は大道芸風のバスキング的な要素やトラッド風味が強かったが、今回のソロではそれが少し後ろに隠れ、より私的で純粋な”歌”の魅力が前面に出ている。早いテンポの曲は少なく、どちらかと言うとじっくり聞かせるものがアルバムの主流を占める。
スペースが許すなら、1曲毎に細かく解説したい所だが、なにはともあれアコースティックな音が好きな人、女性ヴォーカル物が好きな人には大お勧め盤だ。
評者: 小林正樹
from クロスビート '92/2号