Eddi Reader: "Eddi Reader"
80年代中盤、女性をリード・ヴォーカルにおいた幾つかのフォーク/ロック・グループが登場した。そのどれもがぼくのお気に入りだったが、今ではもう影も形もない。エディ・リーダーはその中でもっとも早く解散したグループ、フェアーグラウンド・アトラクションのヴォーカリスト。ぼくは彼女と同グループの中心マーク・ネヴィンとのバランスが大好きだった。でもレコードではマークの才能ばかりが目立ち、ライブで観るほどの楽しさは感じられなかった。つまり二人の関係は(レコードでは)エディが頭ひとつ分前に出ていて均等なのだ。
本作ではマークとドラムスのロイ・ドッズも加え、事実上フェアーグラウンドの再編成である。しかし作品はエディ名義である以上マークは影の存在。2人のパートナーシップはこのレコードでとてもいいバランス感覚を取り戻している。気のせいかエディの声が伸びやかになり、1では彼女がたくましくなった印象さえ受ける。さぁ、ここからがスタート。
評者: 北村和哉
from CD ジャーナル '94/8号