Eddi Reader @ King Tut's Wah Wah Hut in Glasgow, UK (December 23, '02)


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12/23にEddiの故郷グラスゴーで行われたクリスマスコンサートを見てきました。
このコンサートが発表された当初は見に行くつもりはなかったのですが、今年の夏に見るチャンスがあったのに仕事の都合で日程変更を余儀無くされて見逃したこと、また来年はオーケストラと一緒のツアーになるためにEddi, Boo Hewerdine, Colin Reidのトリオによる演奏は今回が最後となるかも知れないこと、そして現在のEddiの歌声をいま一度聞いておきたかったことなどがあって土壇場になって行くことを決意、飛行機のチケットを押さえてグラスゴー、ロンドンに2泊づつという日程でイギリスに行ってきたのでした。

会場となったKing Tut's Wah Wah Hutというのはライブ施設のあるパブで、入り口入ってすぐのところはパブのスペースで、奥に入ったところにドアで仕切られたライブスペースがある造りとなってました。入場は整理券番号があったりするわけではなく早く並んだもの順で、あらかじめドアの近くで飲んでた人たちが先に入っていくという感じでしたが、既に酒が入ってる人ばかりということもあって皆ゆったりとした入場でした(当然会場内で押し合いになったり、場所の取り合いをすることもありません)。8時半にドアが開いて、私は中央やや右寄りの前から2列目に位置を確保(EddiのセットではEddiの真ん前最前列に)。隣にいる人達に声をかけられて話してるうちに、20分ほどたったところでBoo Hewerdineが一人で登場、椅子が用意されているにも関わらず立ったままで、新曲も交えて40分弱を演奏しました。

(セットリスト - Boo Hewerdine)
1. Name - 新曲
2. Not the Only One(?不明) - 新曲
3. Geography - 新曲
4. Stone in Your Shoe - 新曲
5. Honey Be Good
6. Last Cigarette
7. Joke (I'm Laughing)
8. Murder in the Dark

Honey Be GoodとかLast Cigaretteを演奏する時の紹介(内容はいつものですが)が、イギリス人相手だとかなり皮肉が効いた喋り方となっていて、半ば自虐的なレベルに達していたのがちょっとした発見。。。新曲(最近レコーディングしたらしい)からはどれもBooらしさが感じられましたが、4曲目が特に良かったです。

Booが下がった後、20分ほど経ったところでEddiがColin Reid, Booとともに登場して、Eddiのセットが始まりました。この日のEddiの衣装は、トップがラメの入った濃いグレーの服で(写真で緑っぽく見えるのはマイクスタンドにくくり付けられてたリースの影響です)、下は紺のジーンズでした。

(セットリスト - Eddi Reader)
1. I Felt A Soul Move Through Me
2. Patience of Angels
3. Wolves
4. Scarecrow
5. Bell, Book & Candle
6. The Wanting Kind
7. Follow My Tears
8. (Colin Reidのソロ)
9. I'm Satisfied *Mississippi John Hurtのカバー
10. World's End  *Boo with Eddi
11. Kiteflyer's Hill
12. Footsteps Fall
13. Find My Love
14. Allelujah
15. Hummingbird
16. California
17. The Girl Who Fell in Love with the Moon
18. Perfect
19. Please Don't Ask Me to Dance
20. The Right Place/Walking in A Winter Wonderland
(Encore)
21. I Fought the Law
  *The Clashのカバー(前日に亡くなったJoe Strummerに捧げる、と言って演奏された)
22. Ay Fond Kiss
23. Clare (アカペラ)

今回は敢えて一曲一曲について細かくは書きませんが、全体を通して言えるのは、ホームタウンでのホリデーシーズンでのコンサートということもあってか、これまで見たどのコンサートよりも自然体のEddiが見られたということ。この日のEddiの歌は、一言で表現するとすべてが「適度」にコントロールされていて、今年の日本公演以上に、どの曲もハイライトと言える出来でした。

BooとColinという信頼できるメンバーのバックアップのもと、いたずらに声量を上げることなく、会場の大きさに合わせた「適度」な声量で、感情の入れ方や声の強弱、スキャットの入れ方、曲中でのペース配分などどれをとっても「適度」で、そのくせごく自然に発せられてるとしか思えないその歌声を聞いていると、Eddiが現在のシーンでは誰も到達していない領域に達してしまっていると感じさせられます。

コンサートは曲にまつわる逸話やジョークなどをふんだんに交えつつ、あらかじめ用意した「演奏候補曲リスト」の中から演奏する曲をEddiがBooと適宜相談して決めながら進んでいきました。場内からはたびたびリクエストのかけ声が飛んで、実際Kiteflyer's HillやFootsteps Fallなどはリクエストが出たタイミングで演奏されたのですが、まだコンサートが始まって間もない頃に出た"Glasgow Star!"というリクエストに対して"Thank you very much."と返してた余裕が素敵でした :-)

Eddiは途中何曲かではギター(25年間使ってるらしい)を弾きながら座って歌ったりもしましたが、この日はほとんどの曲で立ったまま歌ってました。BooはEddiに「立たなくてもみんな見えるのに」と言われつつも立ちっぱなし、Colinは終始座ったままでの演奏でした。

この日一番印象深かったのはThe Right Place〜クリスマスソングへの流れと、アンコールで演奏されたAy Fond Kiss。素晴らしかったThe Right Placeに引き続いてEddiがそのままクリスマスソングを歌い始めた時には、会場からは自然と歌声が起こり、またThe Girl Who Fell in Love with the MoonでコーラスをつけていたEddiの妹のRochelle(ショートカットでBridgette Fonda似の美人です。来年早々結婚するらしい)がコーラスに飛び入りして、とても楽しい雰囲気のまま本編を終えることができました。Ay Fond Kissはたびたび出ていたリクエストに応える形でアンコールで歌われましたが、今回はFairground Attractionのスタジオバージョンよりも2コーラス多いやや長めの演奏で、クリスマスソング同様、最後は観客との合唱となってました。個人的にはFairground Attraction が発表した中で最も好きな曲ということもあり、この曲をまた生で聞けてとても嬉しかったです(この曲はRobert Burns作なので、来年のツアーでは必ず演奏されることでしょう)。

会場が地上2階建て長屋風建物の地下ということもあってか終了時間に制約があったようですが("Curfew 11:45"と書いてあった)、それでもEddiのセットだけで2時間強のコンサートでした。

終演後にはEddi達がロビーに出てきてファン達と談笑していましたが、私が日本から来たということがEddi達にも伝わっていたらしく、少し話したり握手をすることも出来ました(Colinは来日時に私と話したこと覚えてる、と言ってたけど本当かな?)。

今年の来日公演を見たときから感じていましたが、シンガーとしてはもちろんのこと、アーティストとして、またライブパフォーマーとしてもいま一番好きなのはEddiだということを、今回のライブであらためて認識しました。歌声を聞いて、また歌う姿を見ていて、Eddiほど聞き手の気持ちを解放してくれるシンガーは他にはいません。

PS
この時期のイギリスは、あまり観光目的で行くものではありませんね。


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