Eddi Reader @ 渋谷クラブクアトロ (May 22, '07)


約3年ぶりの来日公演の初日、東京公演を見ました。今回のツアーは'01のツアー以来ひさびさに東京、大阪、名古屋のクアトロを回る & 東京での公演が2回あるというのが嬉しいところです。今回、開演時間が夜8時と日本でのコンサートとしては異例に遅めの時間になっているのがどう影響するかが心配でしたが、やや遅いから来れるという人だけでなく遅いから(翌日を考えると)来れないという人もいたのか、客の入りは悪くもないけどとてもいいというほどではないという感じで、見渡す限り人で埋まっているけど、最初に立った位置を動く必要もなければ、ライブ中でも周りの人とぶつかることもない、という状況でした。私は予定開場時間の20分ほど前に到着したのだけど、サウンドチェックが長引いたのか開場が25分ほど遅れたために結構待ちました。開場が遅れたことが影響してか、Eddiのコンサートでは珍しく、Eddi達がステージに登場したのは予定時間を15分ほど過ぎてからでした。今回のバンドは春のイギリスツアーと同じで、Roy Dodds (Yes!!)、Boo Hewerdine, John McCusker, Alan Kelly, Ian Carr, そしてダブルベース担当のKevin McGuireというメンバーでした(後半にもう一人登場)。Eddiはベージュ地で花柄のスカートに黒地でやはり花(草)柄のタンクトップの上にグレーで玉状の飾りがたくさんついたカーディガン?に、黒のつば付きの帽子を被って、黒ぶちの眼鏡(東京では前回もかけてましたね)という格好で、息子に「みんなに見せるように」と渡されたというグラスゴーのサッカーチーム、セルティックの中村俊輔のユニホームを持って登場しました(※Eddiはセルティックのサポーターです)。

2月に見たロンドン公演とは違って、コンサートはBaron's Heirからスタートし、かなり違う内容となりました。セットリストは以下の通りです。

(セットリスト)
 1. Baron's Heir + Sadenia's Air
 2. Patience of Angels
 3. Allelujah
 4. Peacetime
 5. Brose and Butter
 6. The Shepherd's Song
 7. Prisons
 8. Honeychild
 9. Perfect
 10. Aye Waukin-O
 11. Mary and the Soldier
 12. Winter It Is Past
 13. As Time Goes By
 14. The Afton
 15. Muddy Water
 16. Bell, Book & Candle
 17. Find My Love
 (Encore)
 18. Oh My Love *John Lennonのカバー
 19. Willie Stewart/Molly Rankin

本編だけで1時間35分ほど、アンコール含めて1時間45分ほどのコンサートで、終わったのは10時ちょうどでした。

今回のEddiはずっと立ちっぱなしでの演奏だったこともあり、全体的にソウルフルで声も良く出ていたと思います。声色はややハスキーになってきたのかなと思いましたが、それで高音が出ないとか歌のバランスが崩れるというようなことはもちろんありません。バンドの演奏そのものに関してはロンドンで見たときと同様の印象を持ちましたが、ロンドンと違うのは、John McCuskerが一歩引いて主役のEddiの引き立て役に徹していたように思えるところです。と言っても、もちろんソロを取っているときとか、出るべきところは出ているのですが、ステージがやや狭いこともあってか終始控えめな動きで、演奏に徹していました。

ロンドン公演よりは新作からの曲をやや減らし(それでも8曲演奏してるので少ない訳ではないですが)、3曲目にいきなりAllelujahを演奏したり、ロンドンではリクエストを軽く受け流したPerfectもちょうどいいタイミングで自発的に演奏してくれたところに日本のファンへの配慮が感じられましたが、それにしても久しぶりにHoneychildを演奏してくれたことにはちょっと驚きました(日本でこの曲を演奏するのは'01年のツアー以来)。途中に「うさぎ」をはさみ込むという遊びを入れながら、Eddiは気持ち良さそうに歌っていました。

今日のコンサートもおそらく開演の直前とかにセットリストを決めたのではないかという感じがありましたが、今日のハイライトはやはりハプニング的な出来事のあとに訪れました。Mary and the Soldierの演奏後にEddiが"I know I have to tune up for this song!"と真剣に焦っている様子でギターのチューニングを始めたのですが、なかなかうまくいかずに(4分くらいはかかったような)、BooやJohnがあきれる中でようやくチューニングを終えたEddiはおもむろにWinter It Is Pastを歌い始めました。これがいままで聞いた中でも一番と思えるくらい良く、また、続けて演奏されたAs Time Goes Byもその流れを引き継ぎ、初めてこの曲を聞いた前回ツアーの大阪公演のときのような、じっと聞き入らずにはいられないような素晴らしい出来でした。チューニングを始めたときにはBooに「話でもするか、歌ってよ」なんて軽口を叩いたり、なかなかうまくいかないことの照れ隠しか、突然中村俊輔を讃える即興の歌を歌ったりしていたEddiですが、チューニングがもう少しで終わりそうだという感触を持った頃から心の中で歌への準備ができていたのか、明るいだけでなくせつなさも感じさせてくれる感動的な歌声を聞かせてくれました。

本編の終盤では、Muddy Waterを演奏しようとしたときにEddiはバックステージにいたHeidi Talbotを呼んで一緒に歌うように促しました。このHeidi Talbotと言う人(ブロンドで結構美人)、アイリッシュ/アメリカンの女性グループであるCherish the Ladiesのリードボーカルで、3年前にリリースしたソロアルバムでMuddy Water(ともう1曲)を歌っていたり、今年の4月にはBooと一緒にイギリス国内をツアーしていたりして縁がある人なのですが、今回の来日公演にゲストとして同行しているようです。Muddy WaterとBell, Book & Candleの2曲で高音のハーモニー(ちょっとCara Dillon風?)をつけていました。

アンコールではJohn LennonのOh My Loveを歌ってくれたのですが、これも意外な選曲でした。21日にTOKYO FMの番組に出演した際にも歌ったそうですが、ワンコーラス歌って次の曲にいくのかな、なんて思っていたら、Ian, Roy, Kevinをバックにギターを弾きながらフルコーラス歌いきっていました。As Time Goes ByやShirt and Combなどと同様に、いまのEddiにはシンプルな演奏をバックに、静かだけど奥行きの深い表現をする曲がよく似合うとあらためて思いました。

今日の観客は盛り上がるべきところはしっかり盛り上がっていたと思うのだけど、すこし淡白だったように思いました。また、Eddi自身もちょっとゆるい感じで、それがいい方向に作用した時もあれば、そうでなかった時もあったかもしれません。でも、時間が進むにつれてEddiは楽しそうに歌ってくれていたので、次第にそんなことは問題ではなくなりました。もうちょっと長く聞いていたいとは思いましたが、十分に楽しめたコンサートでした。

会場では、PeacetimeツアーのTシャツ1種類(ベージュ)、国内盤およびイギリス盤のCD(Driftwoodのオリジナル盤もあります)といったところを売っていました。イギリス盤CDはスタジオアルバムが1枚1500円、ライブアルバムが1枚あたり1000円で、驚くことに2枚組ライブアルバムのSt.Clare's Night Outが2000円で売っていました。オンライン通販でも安くても2500円を下回らないことを考えるととてもお買い得なので、まだ持っていない人はぜひ買いましょう。


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