'01.3.13 東京・渋谷クラブクアトロ
40代の女性をつかまえて失礼かもしれないけれど、本当に本当にチャーミングな人だった。ストリート・バンドらしい雰囲気を残した、どこか野暮ったいルックスのフェアグラウンド・アトラクション時代のイメージが頭にあっただけに、淡いピンクのストリップ・ドレスで現れたキュートな彼女に釘付け。思わず、曲そっちのけで、彼女の一挙手一投足に注目してしまったときもあるくらい。
とは言うものの、音に惹かれないわけがない。CDで聴くよりもずっと伸びやかで響くヴォーカル。その麗しい歌声を引き立てるのが、ブー・ヒュワディーンや元フェアグラウンドのロイ・ドッズをはじめとするバックの味わい深い演奏だ。最新作『シンプル・ソウル』からが約半分、「ジョーク」や「天使の嘆息」などのソロの代表曲と「パーフェクト」などのフェアグラウンド時代の曲が半分という構成で、始まって2〜3曲目でたちまち観客の心をつかみ、最後まで離さないでいた。そのことは10代からストリート・ミュージシャンとして歌ってきたエディの芸人根性を強く感じさせたりもした。曲間には観客と話を楽しんだり、ジョークを飛ばしたり、ア・カペラで歌ったり。ほかにも即興で「バラ色の人生」を歌い出したり、リクエストでアンコールを決めたりするなど、ストリートで歌うように絶えず関心をステージに向けさせていた。歌や演奏はさることながら、そうしたステージでの振る舞いも実に見事。僕も彼女の姿を含め、最後までステージから目を離せないくらい素敵な一夜だった。
評者: 油納将志
from Music Magazine '01/5号