Mirmama
(アルバム, '92)
BMGビクター, BVCP-176(日本盤)
RCA, 4509-96177-2(英盤)
Compass, 7 4242 2(米盤)
曲目
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クレジット
(ソングライティング)
1. Si Kahn
2. Eddi Reader/Neill MacColl/Roy Dodds/Phil Steriopulos
3, 7, 8. Eddi Reader
4. John Prine
5. Fred Neil
6. Traditional arranged by Reader/MacColl/Dodds/Steriopulos
9, 12, 14. Eddi Reader and Roy Dodds
10. Loudon Wainwright III
11. Steve Earle
13. Carmichael/Brooke
15. E. Saliers
(プロデュース)
1以外はThe Patron Saints of Imperfection。1は Kevin Moloney and The Patron Saints of Imperfection
解説
'92の1月に日本先行リリースされたソロデビュー作。なぜか日本盤のみセルフタイトルとなるが、これは後にレコード会社の失敗であったことが明らかになる。ジャケットも日本盤のみ異なる。
Fairground Attractionから脱退して一時期音楽ビジネスに失望していたEddiが、Fairground AttractionでのバンドメイトRoy Doddsに励まされて再び歌うことを決意し、製作したアルバム。当初 The Patron Saints of Imperfection 名義でEddiは発売したかったらしいが、レコード会社の意向によりEddi名義での発表となった。
ライナーによるとThe Patron Saints of Imperfectionのメンバーは
Eddi Reader (voice/noises)
Roy Dodds (percussion/drums)
Phil Steriopulos (S-string double bass)
Neil MacColl (guitar)
となっている。
その後のソロ来日公演(’92/4)ではこれらのメンバーにCalum MacCollを加えて来日した。ギターにDominic Millar、ハモンドオルガンなどにJools Hollandを迎えて、'30年代の駅舎を模した狭いスタジオ"Helicon Mountain"で、セッション形式でリラックスした雰囲気の元レコーディングは進められ、わずか2週間で完成させたらしい。
初めてこのアルバムを手にした時、まずジャケット写真のうつむきかげんのEddiの表情に目を奪われた。ライナーの写真を見ても笑顔のものは見つからず、このアルバムが当時のEddiにとってリハビリ的役割を担っていたという発言には納得させられるものがあった。それだけにその年6月の来日公演で元気なステージを見た時には安心したものだが、FA時代の曲はアンコールでたった一人、ギターを弾きながら歌ったFind My Loveだけだったことが彼女の心の中のわだかまりがまだ消えていなかったことを示していた。
このアルバムではカバー曲も多く、歌いたい歌を歌っていって作った、という印象が強い。一聴しただけでは地味な印象を持ってしまいがちなこのアルバムだが、厳かな印象さえ受けるメロディにEddiの声が舞うWhat You Do with What You've Got、彼女のトレードマークとも言えるHoneychild、再出発の決意を表明したかのような元気なAll or Nothing、リラックスした歌唱を聴かせるThat's Fairなど聞きどころは多い。2作目を聞いてから改めて聞くとまた違った印象を持つことは間違いない。現在のEddiの音楽性の原形を見い出すことのできるアルバムである。
リリース当時はアメリカ盤は存在しなかったため13〜15は日本盤のみの収録となった。この中でAll or Nothingシングルにも収録されたThe Girl with the Weight of the World in Her Handsが素晴らしい。Eddiの自宅の庭、”桜の樹の下”でDATにマイクを2本繋いだだけ(このためEddiの歌声は右チャンネルからしか聞こえない)で録音された歌だが、Patron Saints of Imperfectionによる、生々しく響く演奏をバックにすぐそばで歌っているかのように聞こえるEddiの歌声には感情を激しく揺さぶられるものがある。国内盤を持っていない人にはこの1曲だけのためでも米盤を買う価値があると断言できる。
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