真空成型  Vacuum Form 

イベント等で皆さん(選手、観客問わず)から受ける質問で一番多いのが外装の事です。
そして、「バキュームフォームで作ってます」と答えるとほとんどの人が
「??? それは何?」とさらに聞いてきます

ここでは、そんな一番人気(?)のバキュームフォームについて解説してみます

バキュームフォームとは熱可塑性の樹脂シートを熱して原型に押しつけ、同時に原型と樹脂シートとの間の空気を掃除機で吸い取る事により、樹脂を密着させて成型物を作る方法です。
バキュームフォームを行うには、専用の「バキュームフオーマー」という器具が必要になります
有名なのは、
ワークから発売されている簡易型真空成型機「バキュームプレッサー桃像」(下写真)です(ロボファイトで有名な中川デンキさんもこれを使っているそうです)
でも、これは原理さえわかってしまえば簡単に自作出来るので私は自作してみました



これが、自作バキュームフォーマーです
全て100円ショップで購入した部品で製作しました
材料代は以下の4つ、全部で400円です
タッパー、焼き網、フォトフレーム、掃除機のノズル

あとはガムテープが少々
作り方は・・・写真を見ればわかりますね(^^;
下の写真にフォトフレームは写っていませんが、フレームは
材料となる樹脂板を固定する枠として使います

ちょっと簡単(というかチープ)で拍子抜けしましたか?

この他に、電気コンロ、掃除機などが必要です
あと軍手もあった方がいいですね

では、実際の使い方です
まず、作りたいパーツの模型を作ります
今回は木で作ったので、これを木型と呼びます

これはシャイニングGのショルダーキャノン(両肩に装備している
ミサイル発射装置)のカバーの木型です

この様に別に原型を作っての作業になるので、作業としては二度手間のように感じますが、
後述するように型さえあれば同じ部品をいくつも作れるので、
壊れやすいプラ製のパーツ作成には便利な方法だと思います

バキュームフォーマーの上に木型を載せます

ちゃんと固定しないと失敗します

フォトフレームにはプラ版をガムテープで固定します
本当はクリップ等で挟めるように作ると使い勝手が良いと思います
材料はプラ版だけでなく塩ビ版とかも使います
私は近所で塩ビ版が入手出来ないのと、プラ版で作ると
後工程でプラモデル用の道具が使えるので、もっぱらプラ版を使っています

プラ版をコンロで暖め、掃除機のスイッチを入れます。

下の写真では直接コンロの上に置いてるように見えますが
実際は両手でフレームを持ってあぶるように暖めてます

ころあいを見て木型に押し付けます。
金網部分は掃除機で減圧されているのでブシュ〜っといきます

木型を取り外して、必要な部分を切り取ってパーツの完成です

この時は1つだけしか作りませんでしたが、その後
キングカイザー用にも同じ木型で2つ作りました
木型さえあればいつくでもすぐに複製出来るのがバキュームフオームの
良いところです。予備のパーツも簡単に作れますしね

木型の材料としては、私は主にバルサを使いますが
目的の寸法のものがあれば他の木材でも大丈夫
というか、その方がいいです
バルサはやわらかいので、木目が出やすく、壊れやすいですから

そのため、バルサを使用した場合は目止めと補強を兼ねて、
表面に瞬間接着剤を塗っておきます
この時はハケ塗りタイプが便利です

ちょっと考えるとわかりますが、この方法だと逆テーパの形は作れるけど、
木型が取り出せなくなります
そこでそういう場合は逆テーパにならない部分でパーツを分割します

写真はその一例で、キングカイザーの腕パーツです
この場合は3分割しています

木型の例

キングカイザーのボディ、足、腕の木型です
全てバルサから削りだしています
 
足の木型です
バルサを削りだしてつま先と踵を別に作ってます

それをバキュームで成型したのが、これです
左右対称パーツなので2個抜いてます
こういう時にバキュームは便利です

プラ板を切り抜くには、こういう道具を使ってます
いずれもタミヤの製品です

そして、プラ板で連結パーツを作り

塗装して完成です

実際に取り付けるとこうなります
写真のロボットは足だけでなく、腕やボディー等の全ての外装を
バキュームフォームで作っています