司法試験不合格体験記2002

 まだ、択一の発表は無いのですが。今は便利になったもので、予備校で解答速報というものをしてくれる。おかげで私は、司法浪人になってしまいました。
 前回司法試験を受けたのは、今から10年位前でしょうか。断念したというより、自然に勉強から遠ざかっていったという方が正解なのでしょうかね。受験をやめていたのです。
 去年の今頃、パソコン関連の資格を取ろうとしてたりしましたが、しかし、それも明日の見えない道だったのです。
 基本情報処理技術者の試験が終わった後、本の整理をしていると、昔買った法律書がたくさん出てきました。未練なのか、捨てられずにいたのです。おまけに、六法は毎年とはいかないものの新しいものに買い替え続けていました。
 この頃から、法律書を少しずつ読むようになりました。憲法の本を読み始めたら頭の血液が全部引いてしまう感覚があるくらい難しかったです。
 「忘れているんだろうな、もっとも最初から学力はないのだけれど」と思いました。
本屋で伊藤真の「憲法入門」という本を買い。読んでみると、やっぱり頭から血液が引いて意識を失いそうになりました。
 しかし、刑法はすらすらと読めました、読んでいくうちに、だんだん思い出したのか、ひさしぶりに見る本なのに、章のタイトルを見ただけで、この後書かれているはずの論点が浮かんできます。
 そして、夏ごろ、会社法の本は400ページ程度の本を2日で読み切れてしまったのです。
 「どうしようか、いけるのかな。しかし、やるなら私の年齢なら一発で合格しなくてはならないし。」
 本格的に司法試験を受けると言う事は、その時点では考えていませんでした。様子をみるのに少しずつ本を読むと言った具合です。
 しかし、ある日、私は本屋さんで「司法試験六法」を買うかどうか迷っていました。それを手に取る事は、司法試験を受けるという事を意味していました。
 そして、私は司法試験六法を手に取りました。

 しかし、時間が無い、私が司法試験の勉強を本格的に始めたのは、早稲田セミナーの後期答練が始まる直前だったのです。急いで、答練を申し込み。初学者同然の私がいきなり、2002年合格を目指す人達に混じって参戦したのです。
 申し込みから、答練開始まで、2週間あまり、この間に会社法を急いでやらなくてはなりませんでした。しかし、私の持っている本は殆んど10年以上前に買った本で、法律もかなり変わったので、基本書を改めて買い換える必要を感じていました。
 まず、当面の商法は「会社法入門」(前田庸)を買い、手形法は法律が変わっていないようなので、前から持っていた「手形・小切手法入門」(前田庸)を使う事にしました。
 しかし、私の持っている前田手形法と今店頭に並んでいる前田手形法は改定が無くて、同じ本なのに値段は大違いですね。同じ本なのに、今は6000円で、私の持っているのは2800円なのだから。
 割と読み込んでいたので、手形法の方は表紙が取れかけているしね。もし覚えていたら、点数はかなりなものかも。
 しかし、前田先生の会社法は分厚すぎたようで、答練に間に合わせる為に、会社法の本をよむだけで精一杯で、成績は、答練では0点に等しい20点のオンパレード。
 そうこうするうちに、セミナーでのフェアが始まり、いよいよ基本書を本格的に揃えなおす事にしました。
 憲法は、以前、佐藤幸治先生のを使っていましたが、以前苦手の憲法は芦部先生のにしました。
 民法は、我妻先生のでしたが、今回は時間が無いので、ダットサンにしました。しかし、これでは、あまりに分量が少ないので、後で内田先生の本を買う事になります。
 刑法は定番の大塚仁先生の本を使っていましたが、今では、大塚先生の本を使う人は少ないのと、結果無価値の台頭を知り。山積みにされていた前田先生のにしました。
 民事訴訟法はセミナーの「解法マニュアル民事訴訟法」を買いましたが。著者が以前と違っていて、思っていたよりいい本ではありませんでした。以前の速水講師の本と違って相性が合わないのかもしれません。以前は、基本書として新堂先生の本を使っていましたが、商法で大苦戦中の私には、今回は新堂先生の本を読む時間は無いので、それは断念です。
 刑事訴訟法は、以前は平野先生で、そのあと、渥美先生の本にしていましたが、渥美先生が試験委員を退任されているのを確認して。田口守一先生の本にしました。
 
 しかし、商法は最低でした。以前得意科目だったのに、初学者同然の学力なので仕方ないとも言えるのですが、残念です。あれだけやっていた手形法でも22点がやっとでした。創造説には評価が厳しかったのかとも思いましたが、それが今の実力なのでしょう。
 民事訴訟法の答練に入ると、先の解法マニュアルだけでは私が未消化なためなのか、またしても歯が立ちませんでした。そこで、伊藤真先生の本を買いましたが、これも大冊なので、すぐに断念して、伊藤塾のシケタイを買いました。民事訴訟法の後半には23点が出るようになりました。
 しかし、私が未消化なのか、伊藤塾長との相性が悪いのか、シケタイのみでは、あまりいい点が出ないと感じ、刑事訴訟法では、田口先生の基本書をじっくり読みました。まさしくトイレの中まで、片時も離さず、時間の限り読み込みました。
 刑事訴訟法では24点前後の点になり、受験生らしい成績に近づいたかなと思ってきました。
 憲法は、芦部先生の本と、判例集を中心に、答案も判例に沿って書きました。成績も合格レベルに近づいてきました。唯一悪い点を取った時は、プログラム規定説で書いた答案の時でしたが、あれは印象悪かったのかもしれませんね(笑)。本番ではプログラム規定説の評価はどうでしようね。
 民法は、さすがに苦戦で、勉強期間の短い私には負担でしたし、これは駄目だと思い答練を休んだりしました。憲法で、少し自信が付いてきた後なので、司法試験の難しさや分量を思い知らされました。点数的には23点前後取れていたので、本人が思うほど出来ないわけではないかもしれませんが(最初の商法と比較して)やっぱり勉強不足を痛感しました。
 刑法は、かって全国ベスト10の常連だった科目。それで、刑法の答練の時には、もう択一の3科目を均等に勉強していて、刑法の答練に対しては、そんなに勉強していなかったのです。
 しかし、刑法が得意科目だったのは遠い過去の話だったのです。今は、そんな学力は無かったのです。22点ばっかりでした。
 そこで、各論の答練に入ると、少し力を入れて勉強しました。しかし、大塚説で完璧に書けたと思ったのに、評価はまたしても22点。あとから基本書を見ながら自分の答案を検討したけれど、やっぱり、ちゃんと書けている。「何でやねん・・・・」と思ったけれど、答練とはそんなもの、22点以上を維持できる事が大切なのだと納得する事にしました。それと、コメントにも書かれていましたが、たしかに「不法領得の意思不要説」を採るなら説得力が無い論証だったとおもいますしね。
 とか言っているうちに、択一直前となりました。私の場合、準備期間が短いので、いろいろな学説の比較研究が薄かったので、択一は準備が大変です。
 最初は、簡単な解答の過去問題集を買ったのですが、私の勉強方針は、先に問題集を解き、後から基本書、参考書を見るという主義なので、いきなり問題集をしても、解答に納得できない事が多く、もっと解説の詳しい方がいいと、辰巳法律研究所の過去問集に変えました。この本は、基本書までかえらなくてもいいくらい解説は詳しいです。
 しかし、私は基本所に戻り、この問題集の解説でいい所は、基本書に書き込みました。
 それと、試験時間を考えると、各論点で、論点→結果→理由→批判という表を暗記して
 現場で考えるという時間を節約する事にしました。「Aの意味をBと考えるならならCという結論になる」というような理論は、現場で考えると、時間を食うし、頭も疲れるので、なるべく暗記化した。
 しかし、それが瞬間的に反射的に出るまでの訓練はできていなかったのです。
 本番、憲法では、問題を見て「ラツキー」と思いました。判例は割りと読んでいたからです。しかし、憲法も後半は予定時間より遅れ始め、民法では、完全にペースダウン。刑法は残り1時間で解かなくてはならなくなりました。しかも、勉強が遅れていて、今年は、模擬テストは1回も受けていないので、本番で集中力が持つかどうか不安でしたが、その不安は的中しました。刑法を解く時には、思考力が殆んど無くなっていました。結局、半分近く問題を残し、しかも、終了間際に適当にマークしたものも、「全部はずれ」でした。
 1個か2個は、合って欲しかったなと思いましたが、それは期待してはいけない事ですね。
 結果は、発表を待たずに択一落ちでした。