商法総則

勉強の経緯
商法では少し手薄になりがちな科目だが、「商法は、そのうち手形法から出題されなくなる。」という噂もあり、過去の司法試験で手形法の論点は、ほとんど出題されつくしたことと、現実の社会で手形が利用されなくなりつつある今、今後も手形法からの出題を続ける意味が少ないと考えられることなどから、商法総則、商行為法は、かなり意識している。
 ただ、司法試験の教材としては、しっかりしたものが少ないのも事実で、さらに、基本書も司法試験にふさわしいものがない。

 また、商行為法という法律自体が、例外から入り、原則が例外になったような立法となっていて、立法上の問題もあり、改正の多い会社法に比べて、研究の対象としては、話題が古すぎる。
 
 基本書も何十年前の本で、A説、B説とか学説が記載されていても、その説の論者はもう死去されていたり、引退されていたりして、さらに現在の商法学者は誰もそんな説は支持していないというのも多くて使いものにならない本が多い。
 
 誰も支持する学者もいなくなった本で、実務も考えていないことが通説のように書かれていたりすることもある。出版から何十年経っても、本自体は存在するわけで、こういう本を除ぶくと実際に使える本は少ない。

 はっきり言って、基本書としては、今の人が、今書かれたものを使用するべきで、出版年代には注意するべきだ。私見では大隈先生、服部先生の本と有斐閣アルマしか選択の余地がないと思う。

 もちろん、現在の学者の書いた薄い本はたくさんあるけれど、こと司法試験で論点となるようなことをカバーするとして、分量や入手の容易さからいうと有斐閣アルマしかないと思う。
 その他の本は、知識一通り書いているが、理論を深めるという点では有斐閣アルマとかなり違う。

 実際に教材がないというのが悩みである。

 講義の方も、数時間という短いものばかりで、甚だ不十分。実際に論文試験で本格的に問われると、その程度の講義で対応可能なのか疑問だ。。
 私は古い講義だけれど、大塚英明先生の「完全マスター商法総則・商行為」(辰巳)を聞くことにした。31時間の講義は、分量としては、他の講義よりも多いが、主用判例もつぶすことができ、レベル的には200〜300ページくらいの基本書ではほとんど書いていない論点が扱われ、水準的にも最高レベルでないかと思う。

使用教材

基本書
 商法総則・商行為法  
        大塚英明・川島いづみ・中東正文 著  有斐閣アルマ
  これしかない。

 商法総則・商行為法  蓮井良憲・森淳二朗 編  法律文化社
  他書より少し分量があるが有斐閣アルマを読むための基礎知識はつく。

判例集
 判例百選 有斐閣
 判例マニュアルT 総則・商行為  三省堂
 「最新重要判例200商法」」 弥永真生 著 弘文堂

講義テープ
 「完全マスター商法総則・商行為」 講師 大塚英明  (辰巳)
  レベルは高く、講義時間は31時間。予習として、上に書いた基本書を読んでおかないとついてゆけない。