今日はやけに空が緑色だなぁ.
朝起きた時,そう思った.頭も体も重いし,何か水飴の中にでもいるような感じだ.
あーぁ,今日も会社行かなくちゃなぁ.毎日毎日大変だよ.
あれっ,今日は東側に山が見えるぞ.いつもは西側なのに.
平坦なアスファルトの原野を歩いて駅についた.今日は小田急線がタクシー程度の大きさにま
で縮まっていて小さくて乗れないので,歩いて会社へ行くことにした.
1本の筋に沿って曲がったところで,円錐の形をした人に会った.
”どうです,お茶でも”
ぼくはご厚意にお礼を言って,そこでお茶を呑んだ.
なんで円錐なのか聞きたくてしょうがないんだけれど,失礼かなぁ.
だめだ.もう我慢できないっ.
”なんで円錐なんですか?”
そのとたんに,その円錐の人が高速で回転して飛んでいってしまい,どういうわけかぼく自
身がみるみる等身大の単なる円錐になってしまった.複雑な色をしてる.でも,実際は金属色
なのだ.周りの景色も一変して,広大な黄色の畑になっていた.
”今の人みたいに飛べないかな”
色々やってみたけどうまくいかない.そして,とうとうてっぺんから落ちて地面に刺さってし
まい,抜けなっちゃった.もがいていると,地面の底から一斉にたまねぎが顔を出して一斉に
笑い始めた.ものすごく甲高い笑い声.地面に刺さったまま一生を終えると思うと悲しくなっ
てきた.
そのとき,あることに気が付いた.さっき,なんで円錐なのか訪ねたとたん,飛んでいって
しまった人のことを思い出し,自分で自分に”なんで円錐なんですか”と訪ねてみた.する
と,ぼくは高速で回転しだして,一旦方向上,地面に深く潜った後,空に飛び出した.
地面では相変わらずたまねぎ達が大笑いしてる.そこでぼくは仕返しに,一つ一つのたまね
ぎを,円錐のてっぺんで起用にひっくり返して,たまねぎをこらしめた.でも突き刺してはか
わいそうとも思って慎重にひっくり返した.一斉にたまねぎ達が,
”ごめんなさいごめんなさい”
泣きそうな声で言い始めたので,ぼくは許してやった.
ぼくは,たまねぎを引き連れて円錐のまま会社へ向かった.これはこれで,何か良いことも
あるさ・・・ってな感じで.
そのうちに,とてもなついてしまったたまねぎ達が,段々とぼく(円錐)によじ登ってきて,
とうとうぼくは埋まってしまった.そこで思いっきり回転したら,円錐がどんどん巨大に膨れ
てきて,とうとう円錐のてっぺんからぼくの本体と思われるものが飛び出た.
”今なら何にでも好きなものになれるぞ”
と思い,そしてぼくは巨大なしまりすになった.
そして,無事にしまりすの仲間のところに帰ったのでした.
ところで会社は? いいんだ,しまりすなんだから.