銀輪会 会報 Vol.1	---- 中伊豆編 ----
小鳥のさえずりもなくまだ夜の真っ只中にある7月25日午前3時45分、 集合場所であるサントムーンの駐車場に愛車プジョーVTT900で到着した。
今回の銀輪会初ツーリング参加者はN山田氏、 鈴木氏、 I上氏と私(小川)である。 もともと7月23日・24日の2日間で下田往復を予定していたが、 あいにくの雨で延期となっていた。
今回のツーリングは下田の前哨戦という意味を含めて狩野川上流チャレンジ&渓流釣りである。 目的地は狩野川上流というだけで、 その具体的な場所は決まっていない。 行ってから決めるという大胆な計画である。
もっとも、 天気予報によると夕方から雨らしいので早めに帰る予定。 したがって、 それほど奥地へは行けない。
私がサントムーンに到着した時には他のメンバーはまだ来ていなかったが、 すぐにN山田氏が到着。 続いて、 鈴木氏も到着した。 あとは今回参加中の若手I上氏が来ると全員集合である。
ところが、 このI上氏がぜんぜん来ない。 集合時間を10分過ぎても20分過ぎても来ない。 家に電話しても出ない。 携帯電話の番号を教えているので連絡があってもよさそうなのだが、 その連絡もない。 私(小川)を含め3人とも今か今かと待ちつつ、 意味もなくサントムーンの駐車場を愛車でぐるぐる 回っていた。


4時20分過ぎに再度I上氏のアパートへ電話をすると、 『はい、 I上です。 』と元気一杯出る奴がいた。
なんて奴だ。
一応言い訳を聞くと集合時間が5時だと思っていたそうだ。 苦しい言い訳である。 結局I上氏は集合時間から遅れる事50分、 4時50分にサントムーンに到着した。 到着するなり駐車場に大の字に横になった。
相当急いできたのだろうと思いきや、 どうも様子がおかしい。 話しを聞いてみると、 どうも4時近くまで飲んでいたらしい。
アホである。


I上氏の言い訳とも思える話しを適当に聞き流し、 いざ中伊豆とばかりに出発した。 先頭を私が走り、 その後を鈴木氏、 N山田氏、 I上氏と続いた。 1時間遅れの出発を挽回すべく、 なかなかの調子でペダルをこいでいった。 ところが韮山に入ったあたりで後ろからちりんちりんとベルが鳴ったので振り返ってみると、 鈴木氏が『I上君が遅れてる。 』と叫んだ。
この言葉が後のハプニングの始まりだった。 とりあえず、 I上氏を待ち再出発。
ところが、 そこから1Kmも進まないうちに今度は当のI上氏が『隊長、 休憩しましょう。 』と叫んだ。
どうも様子がおかしい。 サントムーンを出発してからまだ30分しか立っていない。 この後の行程を考えるとこの時点で休憩という事はおかしい、 などと思いながらすぐ先のセブンイレブンに 入った。
入ると同時にI上氏はアスファルトの上に大の字に寝転んだ。大丈夫っす・・はい
(!?) 『あーーー、 だめだーーー。 』と酔っ払いのように叫びながらアスファルトの上に横になっている。
本人曰く、 1・2時間前まで飲んでいた酒が抜けていなく、 というよりも酔っ払った状態でここまで来たようだ。
はっきり言って、 アホ。
どうするのかと思いきや、 元気一杯(というよりも酔っ払い特有の元気で)『リタイア』と叫んだ。 その後、 I上氏は柵に寄りかかり『ゲロゲロ、 ゲロゲロ...大丈夫です、 ゲロゲロ、 ゲロゲロ...』 とやっていた。げろげろげろ〜 自転車には鍵をかけず、 財布はポケットから飛び出た状態でどう考えても大丈夫でないのに、 本人が大丈夫を連発していたので、 ここで見捨てて再出発する事にした。 気付いた時には自転車はなく、 財布も拭き取られているだろうと笑いながら先を急いだ。


6時過ぎに修善寺大橋に到着した。 この先で狩野川が分裂するのでこの先の進路について相談。 天城峠方面も考えられたが、 ちょっぴり弱腰になり中伊豆方面に決定した。 途中入漁権を買う為、 どう見ても民家にしか見えない販売所に立ち寄った。 ここで店のおばちゃんにどの辺りで釣れるか、 この先の道はどうなのか、 など貴重な情報を聞いた。
このおばちゃん曰く、 この販売所周辺でも釣れる事は釣れるが雑魚の餌取りが多いとの事。 理想的にはこの先の『万城の滝』の辺りがいいらしい。 ただし『万城の滝』はここから2・3Kmという距離ではなく、 とても自転車では行けないと言っていた。
まあ、 そんなことを聞いて諦めるような銀輪会メンバーではない!! (最近、 名誉会長はかなりの弱腰君、 というか、 根性なしではあるが...。 ) おばちゃんを振り切り遥かなる渓流をめざしペダルを漕ぎはじめた。


と、 かっこいい事を言ってはいるが3人とも汗だく状態で、 とても遥かなる『万城の滝』はむりと判断し、 それらしい所を探す事にした。
途中狩野川はいくつかの支流に分かれ、 それに従うように道も分裂していった。
我々3人は野生の勘にしたがって山道を進んでいった。プジョー×2
ところが、 行けども行けども想像しているような渓流は見当たらない。
周囲は山・山・山&田んぼと行った具合で期待しているような渓流の気配がない。
当然釣り人もいない。
どうやら選んだ道が悪かったようである。
と、 気付いた時にはかなり急な坂を登った後で、 針路変更する為には今登ってきた道を下らなければならない。
『ここまで来たのにーーーー。 』という気持ちを押さえ汗の結晶である坂道を下った。
やっぱり下りは楽である。
あんなに苦しんだ急坂もあっという間であった。
嬉しいような、 悲しいような...。
次の進路を決める為、 わさび漬け店に寄った。
ここのおっちゃんの話しでは、 さっき我々が登った先にヤマメのポイントがあるらしい。
それ以外ではこのわさび漬け店の上方にあの『万城の滝』があるとの事。
登って下ってまた登るのはしゃくに障るからこの後の進路を『万城の滝』方面に決定した。
てなわけで、 またまたせこせこペダルを漕いだ。
すぐに標識があり『万城の滝まで3.7Km』と書かれていた。
いつのまにかとんでもない所まで登ってきたようである。
ここまで来ると意地でも行きたくなるのが人情であろう。
ペダルを漕ぐ足にも自然と力が入る。
(力が入っていると思っているだけで、 実際にはへとへとである。
) その後、 約1Kmおきに標識があり『万城の滝』が近づいている事が分かった。
結局、 『万城の滝、 キャンプ場入り口』と書いてある標識まで来てしまった。
時はすでに8時を回っていた。


修善寺から2時間近くかかってしまったが、 そこはニジマス・イワナ達の『釣ってくれーーー!!』 という声が聞こえそうな川があった。
ここまでの疲れも忘れ、 我々3人はさっそく竿を振り出した。
川にはすでに先客が2名いた。
この2人は我々のようなど素人ではなくベテランらしい格好をしていた。
が、 しかし、 我々の鬼気迫る気迫に押されたのか、 さっさと帰ってしまった。
こうなるとこの川は我々の独壇場である。
3人それぞれのポイントを選び静かなる戦いを開始した。
私の選んだポイントにはすれたニジマスが10匹くらいと、 全然すれてないニジマスが3匹ほどいた。
この、 すれてないニジマスをさっさと釣ってしまい、 すれたニジマスと対決した。
結果全敗。
鈴木氏はニジマスがうじゃうじゃいるポイントを選択。
とにかくこのポイントにはニジマスがうじゃうじゃいる。
その中にはイワナもいる。
この周辺で最もいいポイントである。
そんな絶好のポイントで好調に釣果を伸ばしていった。
私も鈴木氏も釣果は上がっているものの、 サイズは決していいとはいえない。
そんな中、 N山田氏は大物ねらいをしているらしく、 1人どんどん上流に登っていった。
この戦法が功を奏したのか、 はたまたこれがN山田氏の実力なのかは分からないが、 30cm程の良型を上げた。
このニジマスが本日の最大サイズだった。
途中、 この近辺の山中に住むという山姥と山爺が現れた。
この山爺がすさまじかった。
あっという間に10匹ほどを釣り上げ、 帰っていった。
ほんとに山姥と山爺だったようだ。
もっともちょっと抜けていて、 せっかく釣り上げたイワナを逃がしてしまった。
(逃げてしまった。
) かなり悔しがっていたようだ。
多分、 ニジマスが今晩の前菜でイワナが今晩のメインディッシュだったのだろう。
メインディッシュをなくした怒りで、 帰りに子どもをさらって行かなければいいが...。
この後も好調に釣果を伸ばし(というよりも入れ食い状態)12時30分頃終了のゴングを鳴らした。
釣り具をしまい、 今回の目的其の二『修善寺温泉&いのしし鍋』を目指した。


さすがに下りは楽である。
上りは休憩を含めて2時間近くかかった道のりも、 たったの30分で修善寺駅に到着した。
ここから修善寺温泉まではまたまた上りである。
さすがに足とケツが痛い。
(マウンテンバイクとはいえママチャリとは違いサドルが固い。 ) 苦しさと痛さで顔を歪ませつつ修善寺温泉へと坂道を進んだ。
途中温泉案内所に寄り日帰り温泉を紹介してもらった。
ここのおやじ曰く、 『いのしし鍋』は時期外れで今はないとの事。
非常に残念である。
温泉は『湯の華温泉』なる町営の温泉に行った。
疲れた体には温泉とその後のビールが一番である。
ビールの後に遅い昼食をとり、 疲れた体を休めた。


午後3時30分、 『湯の華温泉』を出発し我が家への帰路に就いた。
天気予報が見事に外れ、 下界はカンカン照りだった。
この暑さがこれまでの疲れを倍加させた。
行きの快調だったペースもその面影はなく、 ただただペダルを踏むだけだった。
途中I上氏がリタイアしたセブンイレブン覗いたが、 さすがにその姿はなかった。
無事帰れたか、 もしくは、 警察のお世話になったかは不明である。
ただ1つ言える事は、 今回の騒動でI上氏は会員から見習いに降格だという事だけだ。
その後も我々3人は重くなったペダルをひたすら漕ぎ、 我が家へとその歩を進めていった。
午後5時30分、 無事我が家に到着。 同じ頃、 2人もそれぞれの家に到着したようである。
午後7時、 就寝。





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