林道放浪記
高泉林道〜冬季編〜
2007年 1月28日 晴れ時々曇り
トランポ 136km バイク 29km
「もう、雪の林道はいいや。」ついこの間までそう思っていた。しかし、この暖冬では「さほど雪なんてないんじゃないか?」 「だったらこの目で確かめて見ようじゃないか」という事で、赤城山麓北東に位置する高泉林道に行くことにした。 実はこの林道は前々から冬の間に一度は行って見たかったのだ。雪が降ったら“絵”になるであろうパラダイスを求めて・・・ 銅山街道から沼田大間々線に入る。いくら暖冬と言えど山岳道路になれば多少の雪はあるはず。 が、しかし・・・すでに標高800mは越えているもののまったく道路は乾いている。とても真冬とは思えない。 日陰のコーナーには若干アイスバーンがあるが、ゆっくり走れば夏タイヤでもまったく問題ない。 森林公園入り口の道を曲がり、橋の手前にトランポを停めた。橋の上はものすごいアイスバーンになっている。 どうやら交通量の少ない道路ではそれなりに雪が積もっている様だ。林道にもそれなりの雪が期待できるだろう。 バイクを降ろし、混合ガスを補給しようとガスキャップを開け、何気なく中を覗く。 「あれ?すっからかんじゃないの!」いつもなら多少のガスが残っているはずなのに、まったくないのだ。 前回のA山アタックで38kmしか走ってないのに6リッターも使ってしまったのか?やばい、やばい、あやうくガス欠するとこだった。 俺は「あんな大雪の中、ガス欠しなくて良かった」と思う反面、丁度燃料を使い切ったという満足感に浸っていた。 まさに紙一重ではあるが、人間はギリギリのところに快感を感じるのである。 今回用意したガスは5リッター。考えが甘かったのか、やる気がなかったのか・・・ ただ単に混合比の計算がしやすかっただけなのか・・・ |
沼田大間々線を1.8km程走ると林道入り口にたどり着く。ゲートは開放されている。
やはり林道は入り口からけっこうな量の雪になっていた。わくわくすると同時に無事にもどってこられるのかという不安に包まれる。
積雪は10cm〜20cm程度。車のタイヤで圧雪されている為だいぶ走りやすくなっている。
中央にあるキャタピラが走ったような跡が、スノーモービルの走行痕であると気付くのにそう時間はかからなかった。
小ピーク地点。心地良い風が通り抜ける。やっぱり来て良かったと思う風景に出会う。
緩やかな下りがしばらく続く。この調子なら結構な距離を走れそうな予感がする。
日差しがあれば、それほど寒さは感じられない。燃料を満タンにしておけば良かったかな?
一時は強い風雪が吹き荒れたのであろう、所々木々がなぎ倒されていた。
基本的に圧雪されたラインをキープしていれば問題ないのだが、ちょっとよそ見をするとこんな事に・・・
それにしても俺はなんでこんな道を走っているのだろう?答えは簡単だ。
雪道こそオフロードライディングに必要な要素がたくさん詰まっているからだ。何も特別なテクニックなど必要ない。
ただ基本に忠実に走る事を心掛けるだけ。どんな状況になっても・・・・それがなかなかね〜やっぱり難しいけどおもしろい!
何度か右左折を繰り返し、本線から伐採林の脇にある支線を登る事にした。
記憶によればこの奥に絶景ポイントがあるはずなのだが・・・・・
標高が上がるにつれ斜度もきつくなり、しだいにリヤタイヤの空転する割合が高まっていく。
一旦停まると再発進するのがきつい。圧雪路の上に新雪が積もっている状態だ。無理もない。
あのコーナーの先にパラダイスがあるのかもしれないと思うと心残りだが仕方あるまい・・・
時には戻る勇気も必要なのだ。平らな所まで下ったら飯でも喰おう。今日は特別メニューを用意したおいたのさ。
昼はいつもコンビニのおにぎりが定番だった俺にとって、カップラーメンの味は刺激的だった。
胃袋の中に全てのものを流し込むと何とも言えない満足感に包まれた。
こんな雪山だからこそ味わえる格別メニューであろう。
俺はこの時、浅間山荘事件の機動隊員の気持ちが少しだけ解かったような気がした。
戻る途中、別の支線を進むといきなりパラダイスらしき場所にたどり着いた。
左手にある尾根道を登った先には360゚の絶景ポイントがあるはずだが、この雪では歩いていくのも辛そうだ。
「新雪のパウダースノーの時にもう一度来て、感動の一瞬を切り撮ろう。」そう心に誓い再び下山する事にした。
この時季、山はたくさんのハンターであふれている。まったく“ハンターマウンテン”とはそう言う意味なのだろう。
標高が下がるにつれ徐々に雪は少なくなっていく。このまま春になってしまうのか?
約20kmの雪道走行も無事終わり、トンネル側の林道起点に着く。ゲートも開放されていた。
安堵感に包まれながらも、やや物足りない気持ちがないわけでもなく・・・・でもまあこのくらいが丁度いいのかもしれない。
トランポに戻ったとたん灰色の雲が広がり、あっという間に雪が降り出してきた。山の天気は変わりやすい。
一人で雪山に来た時は、あまり深追いしないのが鉄則である。
さ〜て次はどこの林道に行こうか・・・・・・・・
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